全世界で視聴可能な動画ストリーミングサイト「Netflix」(ネットフリックス)のオリジナルドラマ「13の理由」が話題を呼んでいます。「13の理由」はジェイ・アッシャーのベストセラー小説「13 Reasons Why」をドラマ化したもの。「13の理由」では、ある女子高生の自殺を軸に、いじめや性差別といった、難しいテーマでありながらリアルな問題を扱っています。
いじめ、同性愛。ティーンにとってリアルな内容である
「13の理由」は、ある高校で、1人の女子高生が自殺した後から物語が始まります。主人公となるのは自殺した女子高生に好意を寄せていた、同じクラスの男子生徒です。
物語の展開は、女子高生の死後、彼の元に、彼女の遺したカセットテープと地図が届き、それを元に様々な人と出会ったり、様々な場所を巡ったりして、いじめの原因を探っていくというもの。女子高生が自殺した後の現在の世界と、女子高生が自殺する以前の回想が交互に映し出され、視聴者を惹きつけます。
物語の中心にいるのは高校生で、またテーマが性差別、男女間の友情関係によって生まれるいじめなど、現代の中高生が直面するリアルな問題をフォーカスしています。さらに、学校生活だけでなく、主人公と両親との距離感などもうまく表現されており、老若を問わず視聴者が共感を抱き、物語に没入していきやすいのも人気の理由です。
まるで登場人物が実在しているかのよう
「13の理由」は、公式Instagramを上手く活用しています。
2017年6月の時点でフォロワーは300万人を超えています。また、画像投稿へのいいねの数は平均して40万程度あり、動画投稿に関しては、多いもので400万回以上再生されているものもあります。
「13の理由」のInstagramの投稿は大きく分けて2種類あります。1つは、ドラマ内で登場する場所などの写真をまとめ、告知文などを添えるというもの。ドラマなどにおいて、公式アカウントとしてよく使われる使い方です。
もう1つは、登場人物が持つアカウントをリポストしていくというもの。登場人物が持つ、Instagram投稿をリポストしたり、スクリーンショットでまとめたりしています。
登場人物はそれぞれInstagramアカウントを持っており、パーティの様子や学校で友達と一緒にいる写真を投稿しています。しかし、登場人物それぞれのInstagramアカウントは、自殺した女子高生役のアカウントを除き、全て非公開アカウントとなっています。
そのため、登場人物たちの投稿を公式アカウントがリポストしたり、スクリーンショットで複数まとめたりすることで、視聴者に、ドラマの中の登場人物が現実世界にいるかのような印象を与えています。
回想シーンを挟むドラマならではの運用も
前述したように、「13の理由」では、女子高生が自殺した後の世界と、女子高生が自殺する前の世界が交互に映し出されています。そのようなドラマの構成を、うまく利用したInstagramの投稿もあります。
こちらは、自殺した女子高生と、主人公の男子生徒が並んで座っているところから突然自殺した女子高生の姿だけが消えてしまうというもの。
また、こちらは死んだはずの女子高生から主人公にメッセージが届くという投稿。さらに、このやりとりはドラマ内の回想シーンでのセリフとなっており、視聴者にとってはとても親近感のある内容です。
SNSを運用するからこそ、より身近なドラマになる
「13の理由」は、登場人物のInstagram、メッセージのスクリーンショットなど、若者が実際に行うコミュニケーションツールをうまく取り入れることによって多くの若者から支持を集めています。日本では、ドラマ番組がSNSを上手く活用している事例もまだ多くありません。
しかし海外では、ノルウェーで人気を博したドラマ「SKAM」(スカム)のように、SNSや、チャットのフォーマットを活用し、若者を惹き付けているドラマもあります。SNSに注力したからこそ、ドラマも見られるというようなサイクルが、今後日本でも見られるかもしれません。「13の理由」は、その人気ゆえにシーズン2の制作も決定し、公開予定は2018年とのこと。今後も、「13の理由」から目が離せません。
Source by NETFLIX
Edit:Rina Ishii