エアタグとは、スマホのカメラを通して、風景に仮想的に添付できる情報のこと。最初にこの機能が登場したのは、「セカイカメラ」(2017年現在はサービス終了)というiOSアプリでした。
エアタグは“デジタルなポストイット”とよく表現されます。その名の通り、位置情報を利用し、ユーザーが現在いる場所から見ているものに対して、ARでデジタルに情報を残しておくことができます。
ユーザーが情報を残しておきたいと思った場所で、エアタグを利用できるアプリを用いて写真を撮影し、そこに文字やスタンプなどの情報を自由に追加するが可能です。情報はその場所に残り、別のユーザーがその場所を通りかかった際に同じアプリを使うと、ユーザーの画面上でも同じ情報を共有することができるのです。
24時間だけ表示されるエアタグ「Mirage World」
Mirage Worldというエアタグを利用したアプリが注目を集め始めています。「Mirage」とは直訳で「蜃気楼」を表します。その名の通り、このアプリで投稿されたエアタグはいつでも見ることができるわけではありません。Mirage Worldにおいて、ユーザーによって投稿されたエアタグがARとして、その場所に残るのは24時間だけです。
Mirage Worldを起動すると、画面上部に小さなGoogleマップのサムネイルが表示され、画面全体にはカメラビューが表示されます。エアタグを追加するためには、まず写真を撮ります。その後、撮った画像にテキスト、図面、3D絵文字、画像やアニメーションGIFを付け加えることができます。
投稿されたエアタグはマップ上にサークル状で表示されます。マップ上に表示されているサークルに近づくと、他のユーザーが投稿したエアタグの存在する場所を詳細に表示してくれます。
また、Mirage Worldは他のSNSとも連携しています。写真を撮影し、そこにスタンプやテキストを貼り付け、Mirage Worldのアプリ内からInstagramに投稿することが可能です。
観光地や大学で積極活用されている
観光地など、マップを用いて案内を行う場面で、すでにエアタグの積極活用がなされています。
例えば、箱根町の観光案内アプリ「街めぐ〜箱根関所編〜」では、アプリ内で目的地に設定した場所に向かっている際に、どの方向に行けばいいのか、目的地まであとどのぐらいの距離があるのか教えてくれます。
また、滋賀県立大学も受験生や来校者に向けて開発しているアプリ「滋賀県立大学アプリ」でも、今いる場所から見える建物はそれぞれ何の建物なのか、そしてその建物の情報をエアタグで知ることが可能です。このように、案内を行うアプリにおいてエアタグは積極的に利用され始めています。
オンラインとオフラインを繋げるAR
現在、Instagram StoriesやSnapchatなど、24時間で投稿が消えるSNSが若者から人気を集めています。Mirage Worldのエアタグが24時間で消えるのも、若年層を意識しているコミュニケーションだと推測することもできます。加えてMirage Worldは、24時間でエアタグが消えるため、ユーザー同士でどんどんと街を塗り替えていく、装飾し直していく面白さもあります。
ARを活用し、オンラインとオフラインを繋げる仕掛けによって、ユーザー同士のつながりが生まれるだけでなく、プロモーションに生かす企業も増えていくかもしれません。AR技術の進歩と可能性に期待が高まります。