「Creators for Change」(クリエイターズ フォー チャレンジ)とは、YouTubeチャンネルを通じて社会問題を取り上げ、認知や寛容性、共感を促進しているクリエイターをサポートする、グローバルな取り組みです。
Creators for ChangeはYouTube独自の取り組みではありません。オンラインニュースサイト「Upworthy」とタッグを組んで行っています。Upworthyは、同性婚、世界の貧困問題など、伝えることに社会的意義のある、重要な情報を伝えることをミッションに掲げているオンラインニュースサイトです。社会問題を取り上げ伝えるクリエイターを支援する、Creators for Changeにとって不可欠なパートナーだと言えます。
世界中のクリエイターをサポートしている
Creators for Changeには39人のクリエイターが参加しています。11人のアンバサダーと、28人の仲間たちによって成り立っています。
アンバサダーを担うのは、登録者数が数十万人から最大300万人までと大きな影響力を持つクリエイターです。彼らは、アメリカ、アラブ首長国連邦、イギリス、インド、インドネシア、オーストラリア、ドイツ、トルコ、ベルギーの計9ヶ国のクリエイターから成り、世界中に幅広くメッセージを発信しています。
アンバサダーの1人である、ディナ・トーキアはロンドンを拠点に活動するブロガーです。ライフスタイルやファッションセンスが支持され、ソーシャルメディアスターとも呼ばれています。また、オマーフセイン氏はアラブ首長国連邦のクリエイターでサウジの環境を伝える社会風刺番組の制作を行っています。
Youtube より
(左)Dina Torkia氏 (右)Omar Hussein氏
加えて、次世代の新鋭クリエイターの30人弱のメンバーを仲間たちと呼んでいます。登録者数は、数万人から20万人程度のメンバーで形成されており、アメリカ、アラブ首長国連邦、イエメン、イギリス、インド、インドネシア、オーストラリア、オマーン、ドイツ、トルコ、フランスの計11ヶ国のクリエイターが在籍しています。今後、世界中にさらなるメッセージを発信していくことが期待されます。
そのうちの1人である、ジョビ アディグナ ハンターはインドネシア出身で、動物保護に情熱を注いでいます。また、エザルディーン アレフはイエメン人の YouTube クリエイターです。若い視聴者に向けて、熱中できるものを見つけ、学ぶことの楽しさを発信しています。
YouTubeより
(左)Jovi Adhiguna Hunter氏 (右)Ezaldeen Aref氏
声を上げて変革をもたらす
YouTubeは、社会を変えるための動画には、自分の言葉、ストーリー、勇気、コミュニティ、アクションの5つの要素が必要だと主張しています。5つの要素を大事にし、社会を良い方向に変えていくのが、Creators for Changeの目標です。
1.自分の言葉
どのような話をするにあたっても自分の動画スタイルを大きく変えることは必要ありません。しかし、社会が抱えている大きな問題を取り上げる際は、誰のものでもない自分自身の意見を主張し、自分の言葉を伝えることが大事です。
2.ストーリー
ただ事実を伝えるよりも、ストーリー性のある話の方が視聴者の記憶に残ります。クリエイター個人にまつわるストーリーを盛り込むことで、主張により深みを持たせ流ことができます。
3.勇気
勇気というのは、人から人へ伝染していくものです。勇気を持って自分の率直な意見、本音を伝えることで、視聴者の間には意見だけでなく、勇気が伝染していきます。
4.コミュニティ
コミュニティは多種多様な人々が集まって作られます。YouTubeは世界中で視聴することができるため、動画の視聴者には様々な境遇を持ったいろいろな国の人がいます。そのような視聴者が、コメント欄でクリエイターにメッセージを送ったり、視聴者同士で交流したりすることで、その動画に関わる全ての人がいろいろなことを学べます。
5.アクション
視聴者の中には、クリエイターの意見に賛同し、クリエイターに協力したいと思っている人がたくさんいます。クリエイターは支援してほしい内容を具体的に視聴者に示すことで、良いアクションが生まれ、世の中は良い方向に動いていきます。
多文化共生を掲げる「Cameo Project」
「Cameo Project」はインドネシアのYouTubeクリエイターです。国内のデリケートな社会問題について認知度を高めるため、動画での情報発信を行っています。
インドネシアは民族や言語が多種多様に存在する国です。彼らの目的はインドネシアという国が多文化共生であることを知ってもらうことです。社会のタブーに切り込んでいきながら、自分たちの意見をしっかり主張し、その中でも笑いを忘れない動画作りが人気です。
Creators for Changeでは、インドネシア国内に幅広い学生のネットワークを持つ「Maarif Institute」というNGO団体と提携しています。この団体の協力のもと、インドネシア国内10都市の高校と大学で、前向きなコンテンツを制作することの重要性を伝える活動を行っています。
インドの男尊女卑を考える「AIB」
インドのコメディアン4人から構成されるAIB(All India Bakchod)は、元々コメディポッドキャストを行っていました。今や登録者が250万人を超える(2017年8月29日現在)インド最大のYouTubeチャンネルの1つへと成長を遂げています。彼らは、影響力のあるものを作りたいという信念を持ち、くだらなく笑える動画か、社会的な動画作りを行っています。
彼らがCreators for Changeで行うのは、「女性がオンラインで受けるセクハラ」をテーマにした活動です。この背景にあるのは、インドで社会的な問題になっている男尊女卑が背景にあります。女性ゲストを招いた討論会では、女性たちが悩まされている問題について理解してもらうことを目的としました。
過激思想の持つ危険性について語る「Humza Arshad」
Humza Arshadは、英国を中心に活動している、英国系パキスタン人のYouTubeコメディアンです。自虐的なコメディを通じて、過激思想や犯罪組織の暴力といった難しい問題を扱っています。
動画の中で彼は、「私はムスリムであるが、テロリストではない」と強く主張しています。ムスリムに対する認識を変えようと試み、啓蒙活動を行っています。
また彼は、YouTube外で英国の学校訪問ツアーを実施したこともあります。子供達に対して、自分たちのアイデンティティを大切にすることや、ヘイトクライム、過激思想を持つことの危険性についても話しました。
Creators for Changeは、他人の意見を尊重し合いながら、世界中にある社会問題を1つずつ世界中のみんなで解決していく取り組みです。こうしたオピニオンリーダーたちの発信を、是非ご自身の目でチェックしてみることから始めてみてははいかがでしょうか。