「もし◯◯が✕✕だったら」という例え話は、いつどの時代でも、人々の話題にあがる内容です。ともすると、SNSでも親和性の高いコンテンツあることは容易く想像ができるのではないでしょうか。
ところで、David Maというクリエイターをご存知ですか?「誰もが知る映画監督が、料理動画を作ったら」という内容で、自身のYouTubeに作品を投稿しています。動画のクオリティの高さ、「あー分かる!」と思わず笑ってしまう共感性が話題を呼んでいます。
タランティーノがスパゲッティとミートボールを作ったら
コンテンツ作りをプロジェクトとして行なっているのが、フードアーティスト兼ライターや商業ディレクターをこなすアメリカ人David Maです。彼は、「Food film」と題したプロジェクトの中で、「有名な映画監督が料理のレシピ動画を作ったらどうなるか?」をコンセプトにしたコンテンツ作りを行っています。
例えば、「キル・ビル」などで知られ、犯罪や暴力を描く映画監督として有名なクエンティン・タランティーノ監督。彼がスパゲッティとミートボールの料理動画を撮ったらどうなるのかという動画は、トマトを包丁で切る、パスタを折る様子などのシーンがスローモーションで描かれています。トマトは、あたかも人の血が飛ぶような演出がなされ、ミートボールの肉はこれでもかと握りつぶされ、憎しみすら感じるほど。
料理の完成シーンもお皿は割れ、トマトケチャップも飛び散り、戦いのあとにすら見えてくるほど。最後には血が飛び散った演出に#FOODFILMの文字で動画は締めくくられます。
マイケル・ベイがワッフルを作ったら
彼の再現性の高さはこれに留まりません。「アルマゲドン」や、変形ロボット映画「トランスフォーマー」などの映画監督で知られる、「マイケル・ベイがワッフルを作ったら」という映像も驚くほどクオリティの高い動画となっています。
また、フィルムタイトルの文字や、小麦粉が吹き出すシーンなど「確かにそんな感じになりそうだ」と思わされます。ワッフルが完成しても、引いた構図で一切映ることなく、崩れ落ちていくような演出がなされています。
ウェス・アンダーソンやアルフォンソ・キュアロン監督も
その他、「グランド・ブタペスト・ホテル」などを代表作に持つ映画監督である「ウェス・アンダーソンがスモアを作ったら」という内容や、宇宙映画「ゼロ・グラビティ」で知られる「アルフォンソ・キュアロンがパンケーキを作ったら」という動画もユニークな映像となっています。
可愛らしい容器からマシュマロを丁寧に取り出す様子がウェス・アンダーソンの世界観そのもの
「ゼロ・グラビティ」さながら無重力でパンケーキを作る様子
また、彼のInstagramには、有名映画監督が料理を作った動画以外のものも存在します。
こちらの動画は、「スーパーヒーローが仕事から帰宅したら何を作るか」をイメージして作られたものです。映画「アイアンマン」の主人公アイアンマンが、自身の能力を使ってステーキを作ると、どのような料理過程を経るかが描かれています。
「もし◯◯が✕✕をしたら」という人気フォーマット
日本では、2017年6月に「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」(宝島社)という書籍が販売され、SNSを中心に話題となりました。日本を代表する偉人作家から、現代の作家・著名人を含む100人が、それぞれの文体でもしカップ焼きそばの作り方を書いたらどのような文章になるかが記されています。
国内外、時代を問わず「もし◯◯が✕✕をしたら」というフォーマットは人の共感性を得られやすいでしょう。そしてSNSでもシェアされやすい人気コンテンツだと言えそうです。
早回し料理動画への風刺か?
David Maは、趣味でこれらのコンテンツ作りを行っているわけではありません。彼はフードアーティストとして活躍するだけでなく、商業ディレクターとしても活躍しています。そうした彼だからこそ、料理のレシピ動画と映画の世界をうまく組み合わせ、表現することができるのです。
SNSで見かける「料理動画」というと、定点で上部から撮影された、早回し動画というイメージを持つ人も多いでしょう。それほど、早回し動画は、料理動画というジャンルの中で散見されます。
David Maの動画は、高いクオリティとユニークさを持って「自分だったらこんなに面白いコンテンツが作れる」「料理を楽しんでもらえる」というような、彼からのメッセージとも受け取ることができるのではないでしょうか。
Source by David Ma YouTube