企業がプロモーションの場としてSNSを活用することは珍しいことではありませんが、慈善団体も、SNSを活動のツールとして用いてる団体の1つです。チャリティーのプロジェクトにSNSを用いるケースも多く、プロジェクトに参加したユーザー同士のコミュニケーションは海を越えて行われています。また、ユーザーやセレブリティが、自発的に啓蒙活動として、ハッシュタグをつけ声をあげることも、とても多いです。今回は、SNSで拡散されていく、チャリティープロジェクトについて紹介していきます。
FASHION REVOLUTION(チャリティー団体)
FASHION REVOLUTIONは、2013年にバングラディッシュで起こったファスト・ブランドの服を製造する工場が倒壊、1134人の死亡者、2500人の被害者をもたらした事件をきっかけに生まれた、イギリスの非営利団体です。
ファストファッションは、コストを抑えるために、労働基準が定まっていない工場やチャイルドレイバー(子供の労働者)を違法で雇用し服を生産するという、環境や社会貢献に反した製造過程が以前より問題視されていました。
こうした業界の悪循環に声をあげたのが、FASHION REVOLUTIONです。『価値のある人々・環境・想像力・利益を平等に』をスローガンに様々なアクションを起こしている団体です。彼らは、人々へ問題提起を行うアクションを、SNSで積極的に行っている団体でもあります。特に注目したいのが、ハッシュタグでの投稿呼びかけです。
#whomademyclothes(私の服を作ったのは誰?)プロジェクト
このプロジェクトでは、「ブランド側に自分の着ている服が誰によって作られているのかを明確にしよう」というテーマで投稿が呼びかけられました。洋服のタグとセルフィーの写真に、「#whomademyclothes」を付けて投稿するというもの。
SNSでの投稿以外にも、「ブランドに直接聞いてみよう」という連絡フォームも存在し、生産過程を問い合わせることも可能です。
*訳:私は、(名前)、私の(服)を作ってくれた方にお礼が言いたいのです。こんにちは@(ブランド)、#誰が私の服を作ったの? サイン済み、(メールアドレス)(国)
すでに今年に入って、プロジェクトによってブランド側と消費者の動きがどう変わったのか、報告に関してもウェブサイトで確認することができます。
街中などのリアルな場でも活動
FASHION REVOLUTIONは、街やファッションブランド店舗でのPRイベントも斬新です。また、ショッキングで考えさせられる内容のものが多いのが特徴的。彼らのYouTubeチャンネルでは、様々なプロジェクトやインタビューやPRイベントも行われた様子を公開しています。
*街に2ユーロで買えるTシャツの自動販売機が現れます。服を作った子供の労働者の動画が流れ始めます。動画を見た上で、今投下した2ユーロで「Tシャツを購入するのか、寄付するのか」選択を求められるというプロジェクトでした。この動画は700万回以上もの動画再生数を記録しています。
UNIT9より
また、各プロジェクトにはセレブリティやインフルエンサーも立ち上がっており、イギリスを拠点に活動するYouTuberとタッグを組んで、ファスト・ブランドとどう向き合うかという内容で様々なビデオが配信されています。
*ファッションデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドもコメントを寄せている
訳:「Buy less,Choose well, Make it last(消費少なく、賢く選択、長く保つ)」
*イギリスの有名VloggerであるCutiePIeMarziaがFASHION REVOLUTIONとコラボレーションしたビデオで#Haulternative(服を買わずにワードローブを蘇らせる)というプロジェクトの際に投稿されたビデオ
Table for twoのおにぎりアクション(プロジェクト)
日本の特定非営利団体TABLE FOR TWOは、10月16日が国連発の「国際食料デー(国際的に食べ物や食物の問題について考える日)」を記念して、10月11日〜11月30日までの間、おにぎりの写真をSNSまたは特設サイトに投稿すると、一枚の投稿につき協賛企業・支援者を通して、アフリカやアジアの子どもたちの給食5食分として寄付するというプロジェクトになっています。
Instagramには、#onigiriactionでの投稿は3万件も投稿されており、プロジェクトの当初の予定は1万5000件=500人分の子どもたちの1年間の給食分で、プロジェクトからまだ1カ月も経っていないのですが、投稿数は倍以上にまで増えています。参加するにあたって特別なものを必要としないため、だれでも参加しやすいところが参加者の増加に至ったのではないでしょうか。
投稿の際、おにぎりのみの投稿ももちろん可能ですが、協賛である伊藤園「お~いお茶」とおにぎりと共に投稿すると、伊藤園より寄付が通常投稿の倍である、10食分になるといった仕組みになっています。一般ユーザーの間では積極的な投稿が行われています。
さいごに
今回は、チャリティー活動をデジタルベースで行う団体やプロジェクトをご紹介しました。SNSでの動線を生かした寄付や、投稿による活動を広げる動きはデジタル社会である今だからこそ、行える手法です。SNSでも声のあがりやすいチャリティー活動や社会問題について、今後もCOMPASSでは動向を追っていきます。