2019.6.13

6月15日(土)・16日(日)に、アメリカ・ロンドン発のビューティーイベントBeautycon Tokyoが東京・渋谷で開催される。ビューティーイベントと言えば、近年はコスメブランドが新製品のプロモーションをするためにポップアップショップや商品を体験できる機会を設けているが、このイベントは規模や内容が通常のものとは大きく異なる。

来場者が楽しむ“イベントの企画” や “イベント運営” にお困りの方はこちら。

主にミレニアル世代やZ世代向けのこのイベントは、アメリカでは参加者が楽しむだけではなく、すでに企業にとっても自社のコスメアイテムをPRする重要な機会となっている。

Beautyconとはどのようなイベントなのだろうか。日本での開催を前に、アメリカで人気となった理由やイベントの価値などを探ってみる。


2011年、ロサンゼルスでBtoBのイベントとしてスタート。


(Beautyconプレスリリースより

「Beautycon」とはイベントの名称であると同時に、このイベントを主催している会社の名前でもある。ロサンゼルスやニューヨークで開催されているこのイベントは、150以上の企業に加えて多くのビューティープロフェッショナルやクリエイターが出展・登場する大規模なもので、ビューティー業界の展示会だ。

Beautyconは、2011年にロサンゼルスで美容系YouTuberにコスメアイテムを宣伝し、その商品を彼らの動画の中で使ってもらうための、企業が美容系YouTuberへ向けた小規模なBtoBの展示会だった。なお当初からユーチューバーファンも参加はしていたが、その数は多くはなくユーチューバーとファンとの境界線もそれほどなかった。その後2013年に投資家・Moj Mahdara(現・Beautycon CEO)が目をつけ会社化へ。2014年には、インフルエンサー向けのBtoBイベントから、インフルエンサーとファン・コスメ好きの若者が集まるBtoCイベントへと移っていった。

現在、ロンドン・ニューヨーク・ロサンゼルスで開催されており、2018年ロサンゼルでの開催では、150以上の企業が出展・600人以上のクリエイターが出演し、2日間で30,000人以上が来場するビッグイベントとなった。

 

ミレニアル世代やZ世代の大好物が詰まったイベント「Beautycon

それでは、どのようにしてアメリカのミレニアル世代やZ世代に絶大な人気を誇るイベントとなったのであろうか。

Beautycon公式サイトより

まず第一に、「参加型のイベント」であることがあげられる。Beautyconは会場で行われている催しに参加することで、行った意味を見い出せる。
数多くのコスメに一度で触れることができ、プロにメイクをしてもらうこともできる。

「Beautyconに行くときは、ヘアメイクを完璧にしていく必要がない」と言われるほど、会場内は体験ブースに溢れている。また、かなりレベルの高いインスタ映えするスポットや仕掛けも会場内に点在している。


Beautycon公式サイトより

例えばこれまでのイベントでは、スペース全体が鏡に覆われて光と近未来感が溢れる“プリズム・パウダールーム”や、本物の撮影さながらのセットの中でCMやミュージックビデオのような動画を撮ることができる場所があった。


Beautycon公式サイトより

動画を撮りたいけれど人目が気になる現代の若者の複雑な心境を理解し、周りからは見えないようにボックス型になっているという心配りもしている。このように、買うだけでは心が満たされない今の若い世代に「体験」という価値を与えているのだ。

さらに普段は会うことができないYouTuberやインスタグラマーといった、美容系クリエイターたちと実際に会えることも人気の理由だ。

https://www.instagram.com/p/Bv-XF3gj6pi/?igshid=xsl2st84lsg8

 

https://www.instagram.com/p/Bv-N7JkndpV/?igshid=sab1qk1iwxrp

今や職業の1つとして捉えられるようになり、多くのファンを抱えてアイドル的な存在となったYouTuberやインスタグラマー。Beautyconでは、そういった美容系クリエイターが登壇しデモンストレーションを行う。いつも画面を通して見ている彼らを生で見ることができたり、彼らと写真を撮ることもできる。これは、好きなアイドルのコンサートに行くことと同じくらいティーンたちにとっては価値のあることだ。

もちろんクリエイターだけではなく、これまでに女優のドリュー・バリモアやラッパーのカーディ・B、キム・カーダシアンといった女優やミュージシャンなどの大物セレブも登場している。しかし彼らたちはより多くの参加者を集めるために呼ばれているのではない。彼らは女優やミュージシャンとして活動しながら、自身の美容を発信していたり、美容に関する事業を行なっているため、イベントに参加しているのだ。実際にイベントでは、美容に関するトークセッションに登壇している。

 

この「コスメ・メイクを体験できる」「映える写真が撮れる」「憧れのクリエイターやセレブに会える」というミレニアル世代やZ世代が大好きな3要素が、アメリカの若者をBeautyconに呼び寄せているのだ。

 

一般人・クリエイター・企業を取り込みビューティー市場での新たな地位を獲得した「Beautycon」

Beautyconに参加したいと思うのは、クリエイターや一般人だけではない。
現在はコスメブランドが参加したいと願うイベントになっており、アメリカではBeautyconという企業は、ブランドにとって自社のアイテムを広めるのに欠かせない存在だと言われている。特にまだ歴史が浅く知名度が低いブランドにとっては、自社を知ってもらう絶好のチャンスなのだ。

ユーザーの意見やアイテムを使った反応を聞いたり見たりできることも、企業にとってはメリットとなっている。それが、今後のアイディアや新製品開発のきっかけになるからだ。

Beautyconは自社のアイテムを広げたい企業の手助けとなり、美容系クリエイターたちにリアルな場でのパフォーマンスの機会を設け、ミレニアル世代・Z世代のメイク好きに楽しめる場を与えるという三者を巻き込んだ戦略をし、ビューティー界で唯一無二の地位を獲得したのだ。


Beautyconの美の定義は「ありのままの自分でいること」

 

ここまで見ると、Beautyconは美容が大好きな若い女性向けのイベントだと思うかもしれない。だが実際はそうではない。それは、Beautyconが掲げるスローガンから分かるだろう。

Beautyconのスローガンは「ALL RACES, ALL GENDERS, ALL COUNTRIES OF ORIGIN, ALL SEXUAL ORIENTATIONS, ALL RELIGIONS, ALL GLAMAZONS, ALL NATURAL BEAUTIES, ALL UNICORNS.」。

それぞれの単語を訳すと「すべての人種、性別、国とオリジン、性的指向、宗教、体型、自然体、ユニコーン(米国でLGBTQの象徴)」という意味。つまり、ありのままの飾らない自分であることは見た目が美しいということ以上にとても美しいことであると訴えていて、イベント対象者を年齢や性別などで決めていない。

(Beautyconプレスリリースより

ここ数年、LGBTQをはじめとする性別や体型に関することなどのアイデンティティの自由を主張する風潮が強くなっている。Beautyconも例外ではなく、先陣を切って自然体の自分でいることが何よりも大事であるということ、もう一度美しいとはどういうことなのかをみんなで考えていこうということをビューティー界から声をあげて呼びかけてきたのだ。

そのためイベントでは、活動家や作家など社会面からのゲストを迎えてのトークセッションも行われている。

そのような面でBeautyconはビューティー業界だけではなく、社会にも影響を及ぼしており、アメリカやイギリスに加え、アラブ首長国連邦でも開催をしている。今回、初めての東アジア圏での開催である日本での開催を含め、今後はその影響力がさらにましていくと言えるかもしれない。


満を辞しての東京での開催に期待が高まる。


Beautyconプレスリリースより

そしてついに今年6月、日本の若者文化の発信地・渋谷に初上陸するBeautycon。女性向け動画メディアを配信しているC Channelと朝日放送グループの共同で運営され、プロデュースはファッションとビューティーに通じており、デジタルを武器にPRをしている双子タレント・広海・深海である。

また開催ごとに異なるコンセプトがあるこのイベントは、今回の東京での開催は「PLANET」というコンセプトのもと行われ、日本をはじめとする世界のビューティートレンドに触れることができるイベントになっている。


Beautyconプレスリリースより

ゲストには、まだら肌のモデルとして世界で活躍しているウィニー・ハーロウが出演することが決定しており、他にも自身の名前がついたコスメも人気なメイクアップアーティストのイガリシノブや千吉良恵子に加え、モデルやタレントなども登場予定だ。
もちろん彼らによるメイク講座やトークセッションも行われる。

アメリカではビューティー界に欠かせない存在になっているBeautyconが、日本ではどのように受け入れられて地位を確立していくのか、さらに今後世界のビューティー界にどのような影響を及ぼしていくのかにも注目だ。

 

編集:前田沙穂

Written by
COMPASS編集部
Written by
COMPASS編集部
  • LIKE@COMPASS
  • FOLLOW@COMPASS