2019.2.13

近年、シェアハウス、コワーキングスペースといった、住む場所やオフィス環境を多くの人と共有するサービスが注目されている。

これらにIT技術の発達も相まり、住む・働く・旅の境界線がなくなり、リモートワークやフリーランスといった新しい働き方が提案されてきている。日本でも政府主導で「働き方改革」も進められており、働き方が大きく変わろうとしている。

ミレニアル世代を中心に拡大する、新たな働き方はどういったものなのか。その背景と、新たなトレンドの予感を探る。

 

ミレニアル世代に広がる「自由な働き方」

そもそも、なぜ場所や時間に囚われない、リモートワークやフリーランスといった働き方が注目されているのか。それにはまず、彼らの働き方に対する価値観が変わってきているからだろう。

米クラウドソーシング大手Upworkが行った調査によれば、2027年までに米国の労働人口の半数以上がフリーランス化するといわれている。中でも若年層のフリーランス率は高く、2000年代に成人になる「ミレニアル世代」に限ってはフリーランス率が47%に達するという。

公益財団法人日本生産性本部と一般社団法人日本経済青年協議会が実施した、平成30年度新入社員1,644人を対象にした「働くことの意識」調査によると、「働く目的」で最も多い回答は、「楽しい生活をしたい」の41.1%であった。一方、かつてはバブル期を除いてトップになることもあった「自分の能力をためす」は長期にわたって減り続け、10.0%と過去最低を更新している。

また、「仕事中心」か「私生活中心」か、という設問でも、「私生活中心」は、”平成28年度11.0%→平成29年度14.0%→平成30年度15.2%”と増加傾向に対し、「仕事中心」は年々減少傾向にある。

 

ミレニアル世代は個人のライフスタイルにあった仕事観を重視し、そのため彼らは、フレックスタイム制や、副業・テレワークなどの柔軟な勤務体系を求めているのではないだろうか。

ミレニアル世代は、幼い頃から既にデジタル機器に囲まれて成長したため、デジタルネイティブとも呼ばれており、テクノロジーを駆使した新たなサービスへの抵抗がない。

新しいテクノロジーを駆使して効率化を図ることが得意な彼らは、リモートワークやフリーランスといった働き方に惹かれるようだ。

 

キーワードは「コミュニティ」。WeWorkの「コミュニティマネージャー」に注目

そこで新たに浮上してくる問題は、「どこで作業をするのか」である。

そういった需要から近年増えているのが、「コワーキングスペース」だ。
「コワーキングスペース」とは、オープンにオフィス環境を共有できるコミュニティスペースのことであり、利用したいタイミングを個人で決めて利用することができるのが特徴だ。個人での作業だけでなく、複数人でのミーティングの場として利用することも可能で、相互にアイディアや情報を交換することができる。また、フリーランスにとっては、オフィス環境を共有することで人との交流が生まれ、新たなアイディアやビジネスが生まれるといった相乗効果を期待することができる。

 

そんな中、コワーキングスペースを展開する企業として注目を集めているのが、アメリカ・ニューヨーク発のWeWorkだ。

(Ginza SixにあるWeWorkのコワーキングスペース:https://www.wework.com/ja-JP/pressより)

WeWorkは、世界97都市にコワーキングスペースを展開するアメリカ企業。

日本でも2018年にサービスを開始した。

WeWorkの特徴は、「コミュニティ・マネージャー」がいる点。「コミュニティ・マネージャー」とは、コミュニティの世話係として、メンバー同士がつながりやすくなる仕組みを整備する役回りだ。

彼らは、ハッピーアワーやゲストスピーカーを迎えた勉強会を開催したり、必要に応じてメンバー同士を紹介したりすることで、利用者内の交流を活発化させている。

さらには、WeWork メンバーのネットワーク・アプリもあり、利用者の交流を活発に促していることが他のコワーキングスペースとの大きな違いだ。

WeWorkが提供しているiPhoneアプリ

このアプリは、Facebookのメッセンジャーのようなチャット機能もあり、他のメンバーやコミュニティマネージャーからの情報を受け取ることができる。スペースの予約、イベントへの出欠席の返信といったことも行うことができ、さらには求人掲示板もあるので新たな仕事を発見することもできるそうだ。

柔軟な働き方とそれを可能にする環境が整いつつある。そんな中で、働き方の軸として大切となってくるのが「どんなコミュニティに属したいか」だ。

会社という枠組みではなく、自分でコミュニティを選べる時代だからこそ、WeWorkのようなコミュニティが確立されているコワーキングスペースが注目を集めるのだろう。

 

コワーキングからコリビングへ。世界中で「旅するように働く」が実現可能に!

日本でも徐々に増えてきているコワーキングスペースであるが、最近欧米を中心に台頭しつつあるのが、“co-living(以下・コリビング)”というスタイルだ。

コリビングとは、シェアハウスとコワーキングスペースの合体版で、居住スペースと仕事用のプライベートな空間が一体化したものである。
海外のコリビングには、スパやジムをはじめ、図書館やレストラン、映画館を設置している施設もあるそうだ。コワーキングスペースと同じように、コリビングではコミュニティが重視されており、ジョギングやヨガのレッスンなどのイベントが定期的に開催されている。 こうしたイベントに参加することで居住者同士のつながりが生まれ、コリビング内で新しいプロジェクトやビジネスが生まれることもあるようだ。

先ほど紹介した、コワーキング大手のWeWorkも「WeLive」というプロジェクトを始動させており、コリビングの波は拡大している。さらに、コリビングサービスをメインに展開するRoamは、月額約20万円を支払えば世界中の施設が利用可能となっている。

Roamが展開するインドネシア・バリ島の拠点「Roam Ubud」

Roamは、現在マイアミやバリ島、ロンドン、サンフランシスコに拠点を持ち、日本では六本木に施設を持っている。定額制で、世界中の施設が利用できるのは非常に魅力的で、「旅をするように働く」ことを実現可能にしている。

 

そんなコリビングを日本からも広めていこうとする流れがある。
株式会社KabuK Styleは、「旅をするように働く」のコンセプトのもと、「HafH」というコリビングスペースを展開している。

HafHは、2019年1月にサービスを開始した、コリビングスペースだ。長崎に第一号店がオープンし、順次東京や大阪、福岡、海外といった拠点を展開していく予定だ。居住に必要な光熱費・ネット費用・敷金・礼金・保証金といった経費がオールインワンで毎月定額、国内外問わず1ヶ月から住むことができる。

毎月定額で、HafHの施設であれば、日本でも海外でも利用することができるので、行き先を決めて宿泊先を探すのではなく、HafHの中から宿泊先を決めてから旅をすることも可能だ。

また通常の住宅と異なり、光熱費などの諸経費がすべて込み、2年縛りもないため、日本で留学したり、働いたりする外国人や、別の地域に普段住んでいて日本に数ヶ月戻って来る方などにはもってこいのサービスとなっている。まさに他拠点生活を実現できるサービスだ。

 

また、2019年4月には定額で複数の家に住めるコリビングサービス「ADDress」もサービスがスタートされる。ADDressでは全国の空き家や古民家などの使われていない物件をコリビング活用していく方針で、月額4万円からの定額で、ローンチ時には5カ所の物件でのサービスを開始予定だ。

 

ミレニアル世代は、モノに価値をおかない「ミニマリスト」や、良好な人間関係に価値を置くという価値観を持っており、合理的な側面と、コミュニティを重視する側面を持っている。彼らは、高い家賃を払って決まった家に住むよりも、クリエイティブな空間で、素敵な人と交流しながら生活できるスタイルを望んでいる。だからこそ、コリビングが受け入れられているのだろう。

 

今後も、働き方の選択肢はさらに広がっていくと思われる。この分野では、今後も新たなトレンドやビジネスが生まれるのは間違いなく、目が離せない。

 

かんな
Written by
かんな
1995年生まれ。静岡出身。首都大学東京経済経営学部に在学し、マーケティングを専攻。カメラが趣味でInstagramを中心としたSNSについて勉強中。
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かんな
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1995年生まれ。静岡出身。首都大学東京経済経営学部に在学し、マーケティングを専攻。カメラが趣味でInstagramを中心としたSNSについて勉強中。
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