近頃メディアアートが商業におけるシーンでも活用される機会が増えました。メディアアートとは、ビデオやコンピューターなど電子機器を用いた芸術作品のことです。メディアアートは、技術の先進性と表現の高さにより国内外を問わず人気と注目が高まっています。また、メディアアートだけを専門に扱った展示会なども開かれています。
そして、メディアアートが食事の場面で使われる機会も増えてきています。“メディアアート×食”の融合は一体どのような体験を生み出しているのでしょうか。
日本の四季を五感で感じる
“メディアアート×食”によって生み出されるシンパシーは「五感の全てで食事を楽しむことができる」ということです。
チームラボは、佐賀牛restaurant SAGAYA銀座(東京都中央区)にメディアアートを利用したインタラクティブ空間「世界は解き放たれ、そして連なっていく–SAGAYA」を製作しました。部屋全体がスクリーンに覆われており、プロジェクションマッピングで日本の四季を感じながら、季節ごとのコース料理を食べることができます。
映像が映し出されるのは部屋の周囲を覆っているスクリーンだけではありません。テーブルの上にも映像は映し出され、さらにこの映像は料理が乗ったお皿を置くたびに変化します。お皿を乗せるたびに映像が変化し、さらにその映像は、お皿を置いている間も流動的に変化し続けます。
teamLabより
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上海では劇場型レストランの登場も
“メディアアート×食”を楽しむことができるレストランは海外にも存在します。それが、ULTRAVIOLET BY PAUL PAIRET(上海)です。
こちらのレストランは、ただのレストランではなく食事をしながらエンターテイメントを楽しめる劇場型レストランと称されます。また、佐賀牛restaurant SAGAYA銀座と異なり、お店の中に存在する席はメディアアートを使った席のみです。
部屋全体でプロジェクションマッピングを使った映像が流れるだけでなく、料理に合わせた音楽、料理に合わせたアロマが香る、まさに五感の全てを使って楽しむことができるレストランです。
期間限定でメディアアートを活用するレストランも
佐賀牛restaurant SAGAYA銀座や、ULTRAVIOLET BY PAUL PAIRETのように常設でメディアアートを用いるレストランだけでなく、期間限定でメディアアートを取り入れるレストランもあります。
9STORIES(ナインストーリーズ)(東京都渋谷区)というレストランは、期間限定でメディアアートを取り入れました。
2015年春には、「古都」をテーマにしたメディアアートを提案。エントランスに入ると、桜の花びらが床に広がる仕掛けや、川のせせらぎイメージした映像を机の上に投影し、そこにお皿を置くと波紋が広がる仕掛けが話題となりました。
シェフが自分の体に桜の花びらを散らしている遊び心のある投稿も
また、2016年のクリスマスシーズンにはレストランの中に雪が舞っているようなプロジェクションマッピングを行っています。
国内外を問わずメディアアート×食の文化が注目されている昨今。ただ美味しい食事をするだけではなく、五感の全てで「食」を楽しめるのが人気の秘密です。我々があっと驚くような、メディアアートレストランが今後も登場してくるかもしれません。
Main photo by teamLab