2002年公開のスピルバーク監督、トムクルーズ主演のSF映画マイノリティ・リポート。殺人を犯罪予知システムによって先に予知し、予防できるようになった2054年の未来を描いた作品です。劇中に、自動運転車、音声認識の家電など様々なテクノロジーが登場していることも大きな話題になりました。
全米の専門家や学者を招集して、近未来に実現する可能性の高いテクノロジーのアイデアを聞き、映画の中で再現しました。その中で、トムクルーズ演じる刑事ジョン・アンダートンがファッションブランドGAPの店舗に入店した時に「早々に再度のご来店ありがとうございます。アンダートンさん…」とデジタルサイネージに映った店員が話しかける場面があります。
この映画のように個々人にパーソナライズした広告が可能なデジタルサイネージの導入は進みつつあります。今回、デジタルサイネージが通行人に対して、パーソナライズした商品の広告を表示するように機能させるソフトウェア「Offer Moments」をご紹介します。
SNS連動したデジタルサイネージとは
Offer Momentsのパーソナライズの鍵はスマホ。デジタルサイネージの画面には「画面上にあなたの顔を映したいですか?映したい場合はOffer Momentsのアプリをダウンロードして下さい」と表示されています。その後アプリはFacebookアカウントでログインすることを求めてきます。
アプリにFacebookアカウントでログインするとデジタルサイネージとスマホが連動し、Facebookのプロフィール写真がデジタルサイネージの画面上部に表示されます。そして、画面下部には、デジタルサイネージの近くの店の商品広告が表示されるという仕組みです。
興味がなければNextタブで次の商品を閲覧、興味があればLikeタブを押します。
商品広告のLikeタブを押すとオリジナルクーポンを獲得したり、商品の詳細(店舗、制限時間)を閲覧できます。
オリジナルクーポンを店舗の店員に見せると割引や景品などの特典を得ることができます。
この商品広告は通行人個々にパーソナライズしたものです。Offer Momentsアプリへのログインと共に通行人のFacebookなどのSNSのユーザー情報がOfferMomentsのクラウドプラットフォームに送信されます。そして、通行人はどのようなブランド、どのような色の服が好きか、通行人にパーソナライズした最適な商品広告がデジタルサイネージに表示されます。
また、30秒おきに最も高額な入札をした店舗の商品広告を自動で表示するプログラマティック配信で運用されています。
進むパーソナライズされた街頭広告
すでに英国の巨大ショッピングセンターManchester Arndale centreではセンターの通路にOffer Momentsのソフトウェアをインストールしたデジタルサイネージを並べており、アディダスやニュールックなどのブランド企業が広告を掲載しています。
従来のデジタルサイネージでは通行人個々にパーソナライズした広告はできず、不特定多数の通行人に常時、同じ商品を訴求するのみでした。一方、ソフトウェアOffer Momentsをインストールしたデジタルサイネージでは、その商品を購入する可能性の高い通行人に対して、商品広告を表示することで店舗へ通行人を誘導できる可能性を高めることができます。パーソナライズされ街頭広告により、広告効果も高まることが期待できそうです。