アメリカのプロバスケットボール協会であるNBAは、スポーツ団体の中でも非常に積極的にSNS活用しています。そしてSNSの中でも特にInstagram(インスタグラム)の活用に力を入れています。1日の投稿数はおよそ20投稿にものぼります。彼らの超積極的なSNS活用について今回はフォーカスしていきます。
Instagramの投稿数は1日20投稿以上
企業や団体のInstagramの投稿数は数日から1日に1投稿〜3投稿が平均です。2・3日に1投稿という企業も少なくありません。しかし、NBAのInstagramの投稿は平均して1日に20件ほどあります。これは他の企業や団体と比べると非常に多い数ですが、投稿が多ければその分フォロワーがタイムラインで目に留める回数が増えます。
また、投稿のほとんどは20秒から1分程度の短い動画です。動画の中身は、各試合のダイジェスト、クライマックスシーン、またその試合で活躍した1人の選手に焦点を当てたものです。
各試合のダイジェスト・クライマックスシーンをまとめたもの
テロップ入りの編集コンテンツも
テレビで放送された映像を編集したものだけでなく、例えば10本のシュートをまとめた動画だと、動画の左下にカウントをつけるなどの工夫をしています。また、ブザービーターの動画ではそれが一目でわかるように動画の下部にテロップをつけています。
※ブザービーター…はバスケットボール用語の1つで、ピリオドや試合の終了直前に放たれ、ボールが空中にある間に残り時間が0となり、ゴールに入るショットのこと
左下にカウントのついたシュートシーンをまとめたもの
動画下部にbuzzer beaterのテロップのついたもの
アルバム機能も有効活用
NBAのInstagramは動画投稿が多くを占める中、毎日必ず投稿される画像があります。それはその日1日の全試合結果を画像でまとめたものです。最近のInstagramのアップデートにより1つの投稿に複数枚の画像を貼れるようになりましたが、NBAはこのシステムも積極的に利用しています。これによりファンは自分の応援するチームのスコアを知ることができるだけでなく、一目で他のチームの試合結果も知ることができます。
試合結果をまとめたもの
その日の優秀選手の発表はStoriesで
1日で投稿が消えてしまうInstagram storiesですが、やはりNBAはこの機能も積極的に活用しています。毎日全ての試合が終わると「top plays of the night」のテロップがついた動画が3位から1位までランキング形式で投稿されます。これは全試合の中でその日の最も輝いていたプレーを3つ選出したものでとても迫力があります。
「top plays of the night」のテロップがついたInstagram stories
Instagram storiesはフォロワーのタイムラインに流れるものではなく、フォロワーが自発的に投稿を見なければなりません。しかしこの投稿によって、ファンは1日が終わるごとに「今日は自分の応援しているチーム、選手が載っているかな」、「今日はどんなすごいプレーがあったのだろう」とワクワクした気持ちでNBAのInstagram storiesを見ることができます。
NBAのInstagramは投稿数の多さ、その日の試合結果を即時に投稿する速さ、またテロップ編集などに見られる投稿の質、どれを取っても高いレベルであると言えます。ここからNBAのInstagram運用体制がどれほど整っているかがうかがえます。
選手とファンの距離を縮める運用を
NBAのInstagram活用術はこれだけではありません。投稿には全て簡単なコメントが添えられており、そこには動画に登場する選手のInstagramアカウントが掲載されています。これによりファンが簡単に選手のInstagramを閲覧することができます。
また、試合の動画だけでなく、練習風景やインタビューの動画もあり、試合のテレビ中継以上のコンテンツをInstagramで閲覧できるといっても過言ではありません。
加えてNBAは選手の誕生日には誕生日を祝う画像投稿も行っています。もちろんこの投稿のコメント欄にもその選手のInstagramアカウントが記されています。ファンはその投稿のコメント欄で選手を祝うことができるだけでなく、その選手のページに簡単に飛び、直接選手を祝うことができます。ここにも選手とファンの距離感を縮める工夫がなされています。
選手の誕生日を祝うもの
もちろんTwitter、Facebookも積極活用
NBAはInstagramだけでなくTwitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)も活用しています。その活用方法にもファンとの距離を縮める工夫、それぞれのSNSの特性を活かした工夫が伺えます。
NBAのTwitter活用術はInstagramと似ていますが、Twitterでは積極的にRT(リツイート)機能を使っています。リツイートをするのは主にNBAに所属しているチームの公式アカウントによるツイートです。チームのアカウントに載せられる投稿はそのチームに関することがほとんどですが、チームそれぞれについてはそのチームの公式アカウントの方がより詳細な情報を掲載しています。
またNBAはFacebookでは1本あたり10秒から5分を超える長い動画まで幅広く掲載しています。Instagramは最大60秒までの動画しか掲載することができないので、これは長時間の動画を掲載できるFacebookの特性を活かしています。
テレビ以上の影響力?
SNSの特性をうまく活かし、ファンとの距離を縮め、バスケットボール界を盛り上げるたくさんの仕掛け。非常に効果的にかつ積極的にSNSを活用しています。NBAのInstagramアカウントは2017年3月現在ですでにフォロワーが2000万人を超え、各動画の再生回数は平均して50万回を超えています。
2016年のNBAファイナル最終試合では、放送した米ネットワークABCのNBA中継史上最高視聴率となる18.9%を記録しました。また毎分平均視聴者数は約60万人でした。
つまりInstagramでは毎日、テレビ放送の試合で最も視聴された試合と同じ程度の視聴者数を獲得していることになります。視聴者とのコミュニケーションを日々行う重要さや、Instagramアカウントの影響力が分かるのではないでしょうか。