※本記事は2018年7月10日に執筆・公開を行い、2018年9月17日に記事を更新しています。
2018年6月5日、Instagramのビジネスアカウントが利用できる新サービス「ショッピング機能」を日本国内で導入開始することが発表された。
ショッピング機能により、ビジネスアカウントはフィード投稿に表示される商品に、「商品名」、「価格」が記載されるタグをつけることができるようになった。(2018年9月17日にInstagram Stories(以下:ストーリーズ)にもショッピング機能が実装された)また、タグをタップすることで商品の購入ページへ遷移することもできる。ECサービスを展開する企業との相性抜群なショッピング機能が、よりスムーズな形でInstagramによる購買体験を促進する。
Instagram上でシームレスな購買体験を
ショッピング機能は2017年3月に米国で導入が開始され、2018年度初めに対応する市場(対応国)を拡大した。2018年7月10日時点で、アメリカや日本、欧州諸国を始めとした世界46カ国での利用ができる。
ショッピング機能の導入により、ユーザーはフィード投稿を見て商品を「発見」し、タグをタップすることで価格や商品の詳細を閲覧、購入を「検討」できるようになる。そしてタグに埋め込まれたリンクから外部ECサイトへ移動し、投稿で見た商品を実際に「購入」することが可能だ。
現在、フィード投稿でのみタグ付けが可能でInstagramStoriesではテスト中。フィード投稿において、画像ごとに最大5つの製品が、そしてカルーセルごとに最大20の製品がタグ付けできる。
ショッピング機能がストーリーズにも登場(2018年9月17日更新)
日本でフィード投稿にショッピング機能が登場してから約3ヶ月、ストーリーズでもショッピング機能が利用できるようになった。
これは、現在世界で毎日4億以上のアカウントがストーリーズを利用していること、ストーリーズの閲覧数ランキングの上位にビジネスアカウントが多数入っていること。さらには、ストーリーズに先駆けて実装されていたフィード投稿でのショッピング機能において、現在、毎月世界で9,000万以上のアカウントが商品タグをタップしていることが理由としてあげられるだろう。
また、ストーリーズでのショッピング機能利用開始に合わせ、Exploreページ(検索機能がある虫眼鏡アイコンのページ)にショッピング機能を利用した投稿のみを紹介するチャンネルが追加された。
現在、世界で毎日2億以上のアカウントがExploreページを利用しており、Exploreページがユーザーにもたらす“発見”は非常に大きなものとなっている。Exploreページのショッピングチャンネルでは、フォローしているアカウントを元にユーザーの関心の高い投稿を表示してくれるのも嬉しい。
今回、ストーリーズでのショッピング機能導入に先駆け、Instagramに協力し試験運用を行っていた企業は以下のようにコメントしている。
「普段はストーリーズの特性を活かし、イベントの様子をリアルタイムで投稿したり、テーマ毎の作品紹介などに活用しています。ショッピング機能の導入以降、作品に興味を持ってくださった方がスムーズにminneのサイトまでたどり着いていただけるようになり、フォロワーとのエンゲージメント向上にも一役買っていると思います。」(minne)
ECサービスとの相性がバツグン
ショッピング機能はECサービスとの相性が抜群だ。そもそもInstagramというプラットフォームは、ファッションや雑貨をオシャレにアピールするのに適している。オシャレな投稿で興味をユーザーの興味を惹いた後、スムーズに購買に繋げられることから、ECサービスを展開する企業の利用が予想される。
実際に、すでにショッピング機能を導入している例を挙げてみよう。日本国内で導入しているのは、ファッション・雑貨ECを展開するBAYCREWS、ハンドメイドマーケットを展開するminne、ファッション通販で知られるZOZOTOWNなどだ。
ショッピング機能について、各企業は手応えを感じているようだ。例えば、minneはショッピング機能について以下のようにコメントしている。
「minneはもとより多くの作家にとっても、Instagramはすでにブランディングや集客の重要な役割を担っています。Instagramで紹介した作品に対して “どうすれば買えますか” という購入者からの問い合わせも多かったため、ショッピング機能は作家・購入者双方の利便性を高めてくれるソリューションであると期待しています。」
また、ZOZOTOWNは以下のようにショッピング機能を捉えている。
「Instagramはブランディングの形成という位置付けでしたが、ショッピング機能により、ひとつの販売チャネルとして活用できることを期待しています。商品の詳細ページから購入リンクへの遷移率は思った以上で、ユーザーの購入モチベーションと、ショッピング機能のユーザビリティの高さを感じました。」
日本に先行してショッピング機能が導入されていたアメリカ企業では、すでにショッピング機能による成果も報告されている。例えば、米国でヘアケア商品を展開するTYME。TYMEは、ショッピング機能を導入して、 Instagramからのトラフィックが44%増えたと報告。また、米国で乳幼児向けの洋服やアクセサリー販売を行うSpermint LOVEは、ショッピング機能の導入によりトラフィックが25%、収益が8%増加したと報告している。
インフルエンサーとの親和性
現在、ショッピング機能はビジネスアカウントに限定されているだけでなく、リポストができないよう設定されている。そのため、インフルエンサーが自身のアカウントにショッピングタグをつけた投稿をすることはできない。しかし、ECサービスを扱う企業にとって、インフルエンサーの力は活用したいところだろう。
そんな中、うまくインフルエンサーを活用している企業もある。それがフランスで化粧品や香水を扱う専門店Sephoraだ。Sephoraは、インフルエンサーが自身のアカウントで製品を使用している画像をリポスト。そのリポストにショッピングタグを設定している。
また、インフルエンサー自身の投稿の中にも、Sephoraの製品を使用していることが明記されている。インフルエンサーの投稿から、Sephoraのアカウントへ遷移してきたユーザーが、インフルエンサーが使用していた製品をスムーズに購入できるのは、ユーザーにとっても企業にとっても嬉しい。
インフルエンサーの投稿にも@sephoraの文字が見られる
フィード、ストーリーズ共に利用できるショッピング機能。また、検索チャンネルにおいてもショッピングが追加され、Instagramというプラットフォームは、今や購買体験に欠かせない場となっている。