卒業シーズン真っ盛りの3月。とある企業のプロモーションが話題を集めました。
そのプロモーションは、NTTドコモと動画コミュニケーションアプリ「SNOW」がタイアップしたキャンペーン「卒業“盛ルバム”」。第1弾としてSNOWで撮影した写真を製本し、「卒業“盛ルバム”」としてプレゼント。第2弾はWEB上で誰でも“盛ルバム”がつくれる「“盛ルバム”ジェネレーター」を公開する、というもの。
「卒業“盛ルバム”」
卒業アルバムといえば、長らく形を変えてこなかったもの。なぜ、NTTドコモは「卒業“盛ルバム”」キャンペーンを展開しようと思ったのか。
今回プロモーションに携わった、株式会社NTTドコモ プロモーション部 第二コミュニケーション担当の古関潤一さんに話を伺いました。
動画の再生回数は広告なしで12万再生
ー「卒業“盛ルバム”」を始めようと思った、きっかけは何だったのでしょうか?
古関:もともと、NTTドコモでは春になると「ドコモは学生を応援している」というメッセージを伝えるために“学割”と銘打って、毎年、学生を対象に料金のキャンペーンやウェブコンテンツなどを展開していたんです。
そうした文脈があった中、SNOWが若者から絶大な支持を得ていたので、SNOWと一緒に若者を応援できるようなデジタル施策をやろう、と。また卒業アルバムに関しては、ほとんどの学生が「カッコよく写れていない」「盛れて写れていない」というインサイトを持っていたので、「卒業“盛ルバム”」キャンペーンを立ち上げることにしました。
古関:その第1弾として進めたのが、SNOWで撮影した写真を製本し、「卒業“盛ルバム”」として抽選で当たった1校にプレゼントする、というキャンペーンです。
ー実際、どれくらいの応募があったんですか?
古関:1,000件以上です。特に広告を打ったわけでもなく、ウェブサイトと動画でしか告知をしていなかったのに、これだけの応募があり、正直驚きました。また動画の再生回数もオーガニックで12万回再生され、かなり学生のウケは良かったのかなと思います。
実際、Twitterの反響を見ていても、「こういうのがやりたかった」「アルバムって可愛く写れないからありがたい」という声が多かったですね。そして、第2弾としてWEB上で誰でも“盛ルバム”がつくれる「“盛ルバム”ジェネレーター」を公開しました。これもテレビなどの取材が多くあり、広告効果は想像以上でした。
「“盛ルバム”ジェネレーター」
ーさまざまなカメラアプリがありますが、なぜSNOWだったんでしょうか?
古関:当時、若者からの人気が圧倒的だったからです。迷うことなく、SNOWと一緒に何かしらの施策を展開しようと思いました。
「#最後くらい盛らせろ」という共感しやすいハッシュタグ
ー申し込み件数が1,000件以上、動画再生回数は12万回。古関さんから見て、何が学生のインサイトに最も刺さったと思いますか?
古関:卒業アルバムはもらって嬉しいし、思い出に残るものですけど、みんな「自分の顔は見たくない」「キレイに写らないから嫌だ」と思っていた。
古関:そのインサイトに対して、SNOWとタイアップすることで、「可愛く盛れるんだったら」と感じてもらえたことが一番大きかったのかもしれません。
ーインサイトを捉えたこと以外に、学生の反応が得られた要因はどこにありますでしょうか?
古関:動画の存在が大きいですね。最初にコンセプトムービーとして、女子高生ミスコン2015-2016グランプリの“りこぴん”こと永井理子さん、男子高生ミスターコン2016グランプリに輝いた本田響矢さんに出演していただき、残念な卒アル“あるある”をネタにした動画を公開しました。
古関:続けて、盛りポーズの歴史を振り返る動画「盛リコレ~JKの盛りポーズの歴史~」など、合計で3本の動画を公開したのですが、どれもウケが良かったですね。広告費が潤沢にあるわけではなかったので、動画のクオリティにはかなり気を配りました。
あとは「#最後くらい盛らせろ」というハッシュタグを用意したことも良かったです。キャンペーン全体のツイート数は2万件を超えました。若年層はハッシュタグを使うのが当たり前になっているので、このハッシュタグを用意することで、SNSでバイラルしていく仕掛けを作れたのかな、と思います。
「ドコモってなんかいいよね」と思ってもらうために
ー何か課題はありましたか?
古関:第2弾として公開した、「“盛ルバム”ジェネレーター」は改善すべきポイントがありましたね。これは、“盛ルバム”を手軽に、より多くの人に体験してもらうために開発したのですが、盛るバムが出来上がるまでに、写真の内容をチェックする必要があり、それなりに時間がかかってしまうんですよ。
古関:スマートフォンで写真を撮影し、その場で加工・共有をするのが当たり前になっている若年層にとって、待つ時間が多いのはストレスになってしまう。なかなか難しい部分もあるのですが、もっとスムーズに盛ルバムが出来るようにしておくべきでしたね。
ー最後に今後の展望を教えてください。
古関:すでに3月で終わっているのですが、「卒業“盛ルバム”」は想像以上の反響を得ることができました。ただ、このキャンペーンがうまくいったからといって、学生の契約数が大きく変わるわけではないと思っています。学生はどうしても親が契約しているキャリアによって、契約が決まってしまうので。
ですから、学生のうちから少しずつアプローチを続け、「ドコモってなんかいいよね」というイメージを持ってもらえれば、将来、ブランドリフトしてもらえるかもしれない。今後も継続して、学生にドコモを好きになってもらえるコミュニケーションを考えていきたいと思います。
Interview photo:ENO SHOHKI