こんにちは、編集長の石井リナです。
ビジネスマンが活用するSNSといえば、FacebookやLinkedinが有名だと思いますが、最近では名刺管理ツールの「Eight」(エイト)をSNSとして活用しているという声もよく聞きます。加えてEightで仕事がきたという話も聞くほど、ビジネスマンのコミュニティとして、質が高い模様。今回はEightのエバンジェリストである日比谷さんに「EightのSNS化について」お話をお伺いしてきました。
Eightとは…名刺を撮影するか、知り合いとつながることで、自分の名刺データベースを構築することが可能なサービス。つながった相手に対して、「いいね」やコメントを送る事ができ、相手との関係を深めることもできる。
SNS化は戦略だった
石井リナ: 早速ですが、「Eight」(エイト)はいつからリリースされているんですか?
日比谷さん: Eightは100万人が利用する名刺アプリですが、2012年の2月末から開始しているので、現在で4年半になります。フィードがつき、SNSとしても利用して貰えるようになったのは、ここ1年の話です。
石井リナ: ビジネス版SNSとして利用されることが多い中で、FacebookやLinkedInと比較されることも多いと思います。他と比べたときの特徴はどのような点でしょうか?
日比谷さん: 名刺がベースになっていることが、1番の違いです。名刺交換した相手と繋がっているので、所属している会社や役職などの情報がお互いに正確と言えます。例えばFacebookですと、プライベートとビジネスの繋がりが区別なく混在しますが 、Eightは名刺アプリなので、ビジネスシーンで出会った人たちとの繋がりを形成するという一面が特徴です。
石井リナ: 確かに私も転職した際に、Eight経由で連絡を下さった方もいました。名刺交換をしていれば、Facebookなどで探すより繋がるのが簡単ですよね。当初よりSNS化は狙っていたものなんでしょうか?
日比谷さん:そうですね。元々僕達の戦略のもとにありました。Sansanの会社自体の考え方として、「つながりを自由に、より簡単に」というものがあるんですね。ただ、マーケティング戦略として最初からSNSとして打ち出すのは理解頂けない部分も多かったり、難しいと思ったので、「名刺管理」にあえて絞っていたんです。
石井リナ: InstagramやMixChannelは画像加工や動画加工からピポッドしてSNSになったと思うのですが、Eightは戦略的だったんですね。
情報が正確なコミュニティだから仕事が発生する
石井リナ: 最近では、Eightのフィードに近況報告をすると仕事がくるという話も聞きます。Facebookなどの他のツールではなく、Eightにおいて商談がスムーズに行われる理由は何なんでしょうか?
日比谷さん: 名刺で繋がっているという安心感があるというのはあると思います。新商品の情報を投稿したり、採用募集の投稿をしたり、投稿内容は人それぞれですが、名刺を軸に繋がっているクローズドなコミュニティなので、ビジネスの話をしやすい雰囲気があるのかなと思います。
石井リナ:少し意地悪な質問かもしれませんが、そもそも「名刺管理ツール」として、認識をしているユーザーも多いと思います。そこでフィードを見よう、更新しようというモチベーションは生まれるのでしょうか?
日比谷さん: 当初は「名刺管理アプリ」として打ち出していたところがあるので、いきなりSNSとして浸透することは確かに難しいと予想しています。ただ、活用してくださる方も確実に増えてきていて、実例として、フィードやメッセージ等を追加した2015年7月から、ユーザーひとりあたりの平均つながり数が倍増しました。Eightでつながった後に発生するコミュニケーションに期待するユーザーが増加したことが理由だと考えています。
石井リナ: じわじわとSNSとして認識されている方も、活用もされる方も増えてきたということですね。
「弱いつながり」を大切にする
石井リナ: Eightが推奨する活用方法などはありますか?
日比谷さん:身の回りの友人や知人だけでなく、1度会っただけの人が自分のことを助けてくれたり、仕事をくれたりするという様な、「弱いつながり」を大切にする考え方があるんですね。Eightの中でも「弱いつながり」を大切にしてほしいので、プロフィールをきちんと書いたり、フィードも積極的に活用していってほしいなと思います。
石井リナ:確かに思いがけないところでご縁があったりしますよね。私自身、しばらく会っていない後輩から仕事の相談を貰うこともありました。
日比谷さん: まさに弱いつながりですね。自分が想定していなかったつながりが生き返る、価値をもつということもあります。他のSNSでもそうだと思いますが、Eightに関しては仕事におけるつながりが再発掘できる場所なので、是非活用してほしいなと思います。
新しい価値観を浸透させることが使命
石井リナ: Eightとしての今後の展望を教えて下さい。
日比谷さん: 「名刺を軸にしたつながりを作る」という概念自体が新しいものなので、ダウンロード数やユーザー数という数値目標のみを追うのではなく、新しい価値観を広めることも重要だと考えています。
石井リナ: 現場のみなさんも、そうした考え方で目標を追われているんでしょうか?
日比谷さん:そうですね。もちろん定量的にみないと評価できない部分もありますが、それがすべてではないですし、新しい価値観をいかに浸透させるかということを意識しています。本質的ではない、ダウンロード施策などは全くしないようにしていますね。
石井リナ: 本質的な目標や追い求められているんですね。本日はありがとうございました!
「Eight」のフィードに情報を投稿すると、繋がっている知人から仕事の相談がくるという話を聞くようになったのも、ここ半年ほどの話です。もちろん、より多くのSNSを活用し、情報を定期的にアップし、アクティブに利用することで、より多くの人とコミュニケーションがとれます。ただ、名刺データをもとにした、プラットフォームであるからこそ、仕事の話がし易いというのも事実の様です。ビジネスマンのみなさんも是非試してみてはいかがでしょうか。今後の展開にも、ユーザーとして期待していきたいと思います。
Interview photo:ENO SHOHKI