こんにちは、COMPASS編集長の石井リナです。
Instagramマーケティングも真っ盛りの今、インフルエンサーを活用するインフルエンサーマーケティングも活発化しています。SNSに商品やサービスを投稿してほしいという依頼から、長期に渡りアンバサダーをしてほしいという依頼まで、要望は多岐に渡ります。今回はインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「expaus」を運営するLxgic(ロジック)の垣見さんにインタビューさせて頂きました。
インフルエンサー自身が価格交渉できることが強み
石井リナ:「expaus」(エクスポーズ)はインスタグラマーをはじめとする、インフルエンサーのマーケティングプラットフォームなんですよね?
垣見さん:そうですね。およそ国内外問わず2,000人のインフルエンサーに所属して頂き、キャスティングが可能なプラットフォームを提供しています。
石井リナ:所属している方々だと、国籍はどの様な方々が多いのでしょうか?
垣見さん:ヨーロッパのエージェントとも提携しているので、半分程が欧米圏、25%が国内、残りの25%がその他のアジア圏ですね。今後は中国圏のインフルエンサーを強化しようと考えています。
石井リナ:国際色豊かに、インフルエンサーが所属しているんですね。
垣見さん: そうですね。また、僕達の強みの1つなのですが、インフルエンサー自身がプラットフォーム上でサービス提供の金額を決定でき、企業と交渉することが出来るんです。そしてここでは僕らは仲介料を一切頂いていません。
石井リナ:それは良いですよね。安く叩かれることも、高く見積もられることもなく、自分で決められるということですよね。
垣見さん:実際にインフルエンサーの方々から、事務所などに入っていると高く見積もられすぎて、結果的に仕事がこなくなってしまって困っているという声も聞くんです。今日本でもインフルエンサーマーケティングが流行り始めているからだと思いますが、インフルエンサーを軽視して扱うような企業やシステムも多いと思っています。
石井リナ:絶賛「インスタバブル」中ですもんね。
垣見さん:僕達は適正価格でサービス提供していると自負しています。
石井リナ:他社より安いということでしょうか?
垣見さん:僕らが安いというより、「適正」だと思っています。プラットフォームでのキャスティングに関しては、報酬は全額インフルエンサーに入ります。もちろんキャスティングを僕達が目利きする場合は、マージンを頂くのですが、他代理店が1フォロワー7円位で実施している所、条件にもよりますがそこでも僕達は1.5円~2円で実施しています。
石井リナ:いま、1フォロワー7円の代理店とかあるんですか…!かなり高騰していますね。
「好きなことをして暮らす」それが事業立ち上げのきっかけ
石井リナ:そもそも立ち上げのきっかけは何なんでしょうか?
垣見さん:元々仲の良かった友人と僕とで立ち上げたんですが、「好きなことして生きていたいよね」っていうのがあったんです。僕も彼も、過去に海外で暮らしていたり、それぞれ音楽やアート、教育などまったくバラバラの色んな分野に興味がある人間で。日本のインフルエンサーの多くはまだそうではないかもしれないんですけど、海外のインフルエンサーって自分で交渉しながら稼いで、すごく自由に暮らしてるんですよね。
石井リナ:確かに海外のYoutuberとかはTVのMCより稼いでたりしますよね。
垣見さん:そうなんです、僕達も含め、彼らみたいに自由に好きなことで稼ぎながら生活をしている人たちをもっと増やせる社会にしたいなという想いから事業はスタートしました。
石井リナ:インフルエンサーが自由に暮らせる土壌を作るってことですよね。
垣見さん:はい。ただ、エージェンシーが価格を上げてしまうことで、インフルエンサーマーケティング自体が使いづらいんじゃないかみたいな雰囲気もあるじゃないですか。そうなるとエージェンシーは違う事業をすれば良いですが、結局インフルエンサーが困るんですよ。僕達はインフルエンサーのサポートがしたいという気持ちでやっていて、そこはブレない想いですね。
必ず「断って下さい」と伝える
石井リナ:実際に守っているルールとかってありますか?
垣見さん:僕達はインフルエンサーの方々に お仕事の依頼をする際に、「断って下さい」って言う様にしてるんです。
石井リナ:どういうことですか?
垣見さん:商品との相性で自分が受けられないもの、フィードにあげられないものであれば、断ってもらって大丈夫です、とお話します。
石井リナ:私もインフルエンサーとしてお仕事貰うことありますが、そういう風に言われたことはないかもしれないです(笑)
垣見さん:無理やりやれと言われても嫌なものは嫌じゃないですか。僕だったら嫌なので(笑)だから僕達が間に入って、交渉が必要なものは交渉します。実際にインフルエンサーの方たちが本当にやりたいものでないと、コメント欄での対応なども雑になってしまったり、結局企業にとってもいい結果が出ないので。
石井リナ:そこをそうやって割りきって携わってくれるのはインフルエンサーにとっても有り難いですよね。
キャスティングのミスマッチを減らす
石井リナ:インフルエンサーファーストだなという印象を、かなり受けたのですが、インフルエンサーの方々からはどんな声が届きますか?
垣見さん:もちろん、案件の選択やギャラ交渉を自分たちで出来るということを、メリットに感じてもらうことは多いです。キャンペーンのマッチングの他に、アナリティクスツールもexpaus上で提供しているのですが、自分のフォロワーの属性や、国籍が分かるんです。米国のフォロワーが多いと思っていたんだけどアジアのフォロワーが多かったと分かり、運用に活用できたという声を頂いたりもしました。
石井リナ:インフルエンサーにとってもメリットの多い、サービスですね。
垣見さん:ありがとうございます。企業にとってもこのデモグラフィックが分かることによってメリットはあるんです。いまのインフルエンサーマーケティングとかって、キャスティングがミスマッチなケースもかなりあると思うんですが、expausの管理画面ではインフルエンサーのフォロワーの性別や国籍などが分かるので、要望に合ったインフルエンサーを選択することが可能です。
石井リナ: それは企業的に、すごい有り難いですね!
フォロワーを買っていても機会は均等にあっていい
石井リナ: ちなみに最近はフォロワーを買っているインフルエンサーも多いとよく聞きますが、そういった方を外したりという精査ってやられているんですか?
垣見さん:実際のところexpausには滅多にそういう方はいないのですが、特にそこはしてないですね。
石井リナ:意外です!企業からするとフォロワーを買っていない純度の高いインフルエンサーだけいる方が有り難いかと思うのですが。
垣見さん:フォロワーを買っていたとしても、機会自体は平等にあっていいと思っています。また平均Like数などのエンゲージメント率が管理画面上に表示されるので、そこを見て頂ければきちんと判断できると思います。結果そうしたインフルエンサーは選ばれないと思うので。
石井リナ:なるほど、機会は均等にあって良いという発想はなかったですね。
キャスティング事業は入り口にすぎない
石井リナ: 最後に、今後の展望を教えてください。
垣見さん:インフルエンサーのキャスティングプラットフォームって僕達にとって入り口でしかないんです。インフルエンサーのキャスティングだけでなく、認知を促したその先のリテンションや実際の購入まで、マーケティングのオートメーションを一気通貫で請け負えるようにしたいですね。
石井リナ:現状だとインフルエンサーマーケティング=キャスティングにとどまっている風潮もありますよね。
垣見さん:そうですね。クライアントに関して、現状だと大きな企業さんが多いのですが、今後は中小企業や、個人でお店をやられている方など、広く誰にでも使って頂けるサービスにしていきたいと思っています。
石井リナ:インフルエンサーマーケティング全体における今後の展望はありますか?
垣見さん:今後のマーケティングオートメーションツールとしての開発に関しては、単純に購買プロセスにかける誘導などの手間を省くということではなく、企業はもちろん、もっと消費者の購買体験に楽しさや感動を与えられるようなものに、変えられる様にしていきたいと思っています。
石井リナ:その姿勢は素敵ですね!是非貫いてほしいです。
垣見さん:僕達の会社もまだ小さいのでビジョンありきだと思うんです。そういう所で信頼を得ていきたいと思います。
石井リナ:誠実でいいですね! 本日はお忙しい中ありがとうございました。
インフルエンサーキャスティング事業と聞くと、流行りものに乗っかっている、という様な印象を受ける人も少なくないかもしれません。しかし、彼のように、信念や誠実さを持ちながら、インフルエンサーと向き合っているマーケターもいます。
また、人と企業のマッチングは大変な部分も多いですが、インフルエンサーから少しでも信頼を勝ち得るために、密なコミュニケーションをとり、徹底して寄り添うという姿が、印象的でした。
若き彼が、今後どのようにインフルエンサーたちを開放してくれるのか、引き続き期待したいと思います。
Photo:ENO SHOHKI