こんにちは、COMPASS編集長の石井リナです。
山本寛斎さんと言えば、世界でも活躍されている、日本を代表するファッションデザイナーです。ファッションとしての表現だけでなく、イベントを通してメッセージを伝えるという活動も積極的に取り組まれてきました。今回COMPASSでは、7月に山本寛斎さんが指揮をとった「日本元気プロジェクト2016 スーパーエネルギー」について実施背景や、イベントに対する想いを聞いてきました。
日本元気プロジェクト2016 スーパーエネルギーとは
「日本を元気にしよう」をキーワードに震災以降の日本や未来に向け、ファッションショーを通して「元気」を送るイベントで、7月21日に国立代々木競技場で行われた。ファッション、スポーツ、音楽、華道などジャンルレスなパフォーマンスが繰り広げられ、観客3,000人を熱狂の渦に包んだ。
より多くの人にメッセージを伝えるため、十人十色のキャスティングを
石井リナ:私も当日拝見させて頂いたのですが、パワーみなぎるパフォーマンスばかりで、驚いたとともに、受け止めきれないパワーを感じました。ダンスのパフォーマンスに、太鼓の演奏に、ファッションショーに、ジャンルもそれぞれで、同時進行していくものもありましたよね。ああいったイベントは初めてだったので、衝撃を受けました。
山本寛斎さん: 皆さんにそうやって言って頂くのですが、私たちも毎回初めてのことにチャレンジするんですね。なので、日本、世界どこを見渡してもらっても同様のものはないと断言できると思います。
石井リナ:今あるイベントだと音楽イベント、ファッションショーなど、あるジャンルの中でのイベント毎が多いと思います。その中でジャンルの垣根を越えたパフォーマンスも印象的でした。どういう背景があるのでしょうか?
山本寛斎さん: 「日本元気プロジェクト」は様々な人を応援する、元気にするというコンセプトがあるので、出演頂く方々も様々なジャンルで活躍されている方に出演頂きましたね。
石井リナ:出演者の方々は、ジャンルだけでなく、国籍や年齢なども様々でしたよね。サプールのみなさんも出演していたと思いますが、日本の域を越えた国際色も豊かなイベントの背景にはどのような思いがあるのでしょうか?
山本寛斎さん: とにかく、人々が喜ぶこと、感動することをつくること、たくさんの人の笑顔を見ることが、何よりも幸せなんです。
人に感動を与えられるのは、人だけではないか
石井リナ:今回の様なイベントにおける、信念や反響などあれば教えて下さい。
山本寛斎さん: 夢を持って一生懸命取り組んでいる時には、想像を遥かに超える力が出てくると思っています。こうした人のエネルギーを伝えるということは、私のライフワークなので、命ある限り継続していきたいなと思っています。来てくださった方々には150点と言って頂けるほど反響もありましたしね。
石井リナ:素敵ですね。イベント自体、デジタルの力などは使わず、人のパワーを最大限生かしたような演出だったと思います。出演者から伝わってくる生身の熱気や、力強いエネルギーに圧倒されました。
山本寛斎さん: 人に驚くような感動を伝えたりショックを与えたりできることって、最終的にはすごくアナログですが、人のパワーではないでしょうか。デジタルやアナログという用語では語り尽くせないと思いますが…。ただ両者に良い所があると思うので、このプロジェクトが続く限り、デジタルの手法も取り入れていきたいですね。
唯一無二の存在「山本寛斎」として
石井リナ:寛斎さんと言えば、日本を代表するファッションデザイナーだと思いますが、こうした大きなイベントを企画されることも珍しいことだと思います。自分の存在や在り方をどう捉えていらっしゃいますか?
山本寛斎さん: 同世代のデザイナーで健在の方々はみなさん自分の道をお作りなんですね。私は私の道が出来ていると思うのですが、服もイベントも表現の1つです。あれこれ計算して、今こうしているという事では全くなく、色んな手法を使わないと人に伝わらないと自分自身で体感して、今の自分の道を忠実に歩いていると、そういうことです。
石井リナ:日本元気プロジェクトが、ご自身のライフワークであるという情熱が伝わってくるイベントでした。本日はお忙しい中、お時間頂きましてありがとうございました!
東京で生活をしていると、情報がありふれ、テクノロジーを感じる便利な生活や、華美なイベントも多く、ちょっとやそっとのことでは驚くこともなくなってしまった様に感じます。その様な中で、寛斎さんが主催する「日本元気プロジェクト」に参加させて頂き、目の前で多くの方の熱気溢れるパフォーマンスを拝見し、衝撃を受けたのを覚えています。
最後に人に感動を与えられるのは「人」だけなんじゃないかという話には、IT業界にいる私にとって考えさせられるものがありました。イベントにおいて、どの様にメッセージを伝えるのかということは、なにもデジタルテクノロジーのみに頼る必要はなく、人の力との共存や、融合が必要なのかもしれません。