ショップカードやポイントカードなどで溢れかえる財布。一「本当に行きたいお店、興味のあるお店だけとつながりたい、情報だけがほしい・・・。」そんなこと思ったことはありませんか? LINE(ライン)のサービスの中でも、急成長のLINE@(ラインアット)は、メッセージ、タイムライン、ショップカードなどで店舗とユーザーを繋ぐサービスです。
今回は、店舗とユーザーのコミュニケーションの事例やこれからのLINE@などについてLINE Business Partners 株式会社 事業開発部の岡崎 想さん、大町 弘美さんに聞きました。
コミュニケーションのその次へ
—LINE@で店舗がアカウントを持つと、どのようなことが出来るのでしょうか。
岡崎:LINE@におけるコミュニケーションの仕方は大きく3つあります。メッセージをお客様のLINEへ直接に送る、タイムラインに情報を掲載する、お客様と一対一でコミュニケーションを取れる1:1トークの3つです。この中で1番多く利用されているのはメッセージで、店舗のキャンペーンやクーポンなど販促に繋がるメッセージを配信して、店舗にお客様を呼んで売上に繋げる使い方ですね。
—そこからショップカード機能が追加された経緯というのは?
岡崎:コミュニケーションからその次に展開する際に、店舗とお客様が繋がれるものは何か、というのを考えてショップカードという機能をリリースしました。何店舗か展開しているチェーン店だと、ブランド単位で1つアカウントを運用する方法と、それぞれの各店舗で運用する方法がありますが、元々ショップカード機能はそれぞれの店舗で運用するケースを想定しています。
基本的に店舗ごとに商圏も違えば、店舗内レイアウト、商材も違いますし、ターゲットとなるお客様の層も違うのでそれぞれの店舗にあった運用をしていただくのがLINE@の前提になります。
大町:たとえば、スポーツプロショップのB&Dさんでは、30店舗の各店でLINE@のショップカード機能をお使いいただいています。元々ショップカードをやりたいという要望があって、LINE@のアカウントも持っていらっしゃったので、早速やってみようという流れで運用していただいています。
—なるほど。お店側としての運用目的はどんなことがあるのでしょうか?
岡崎:ショップカードの考え方として、その店舗のお客様の月の来店平均が2回だとしたら、3回目に来てもらうためにプラスαとなるような施策を打つということがあります。B&Dさんの場合だと、ショップカード取得時に5%OFF、来店3回目に10%、5回目で15%の割引を設けることで売上に繋げる方向性での運用ですね。
—B&Dさんの場合、どれくらいの発行数になったんですか?
岡崎:現在1万人を超える方にショップカードを発行していただいていると聞いています。しかもB&Dさんでは店舗内でショップカードの告知などはしていなくて、レジの際に案内しているだけなんですよね。おそらく、ご担当の社内の調整や現場の方のオペレーションがしっかりされていたのだと思います。
ユーザーさんからも、紙のショップカードと違って忘れたり、失くしたりすることはないので、ポイントを貰い忘れないからありがたいというような声もいただいています。
狙った地域に狙ったタイミングで適切な情報を
—ローソンさんでも店舗ごとでのLINE@導入が決まったとお聞きしました。
岡崎:先日発表いたしましたが、最終的には約13,000店舗でLINE@を運用いただくことになります。配信したい情報を本部の方で一括管理して、店舗ごと、エリアごとに配信していくイメージです。店舗ごとでの求人情報だったり、地域限定の特別メニューだったりを、狙った地域に、狙ったタイミングで配信していく予定と聞いています。
—導入のきっかけはどのようなポイントだったのでしょうか?
大町:元々ローソンさんのLINE公式アカウントは人気だったのですが、公式アカウントだと配信できる情報が全国共通のものに限られてしまい、もっと地域の情報を配信していきたいというニーズと合致したという点が1つ。あとは無料でコストをかけずにスタートできて、運用担当も少人数で本部での一括管理ができるという点で導入を決めていただきました。
—他の大規模チェーン店さんでの運用事例を教えてください。
岡崎:飲食チェーン店では特に多く利用いただいています。ローソンさんのように一括で管理されているケースもあれば、店舗単位で店長さんが運用されているケースとかもあります。多くの店舗数を抱えていても、選択した店舗のみ配信できるような一括配信機能もありますので、本部で管理することも可能です。
大町:飲食店は行く頻度も高いので、お客様からすると必然的にLINE@をご利用いただくタイミングも多くなります。また、飲食店では待ち時間などに登録いただくことも多いようですので、レジ前やメニューにラミネート加工した友だち追加のQRコードを設置するなどして、LINE@のアカウントをアピールしていただいています。
Webサービスで重要なのは「情熱とスキル」
—今まで見てこられた中で、上手に運用されている方の特徴はありますか?
岡崎:多くの企業や店舗の担当者と接触して感じることですが、「情熱とスキル」ですね。LINE@に限らない話になってしまうのですが、Webサービスは熱量がないと色々な壁を超えられないと思っています。特に店舗ごとに運用される場合は運用する人の情熱やスキルによって、店舗ごとに大きな差が出る場合もあります。
スキルに関しては会社として全力でサポートしていて、LINE@の運用方法のブログだったり、勉強会や店長会議のような場所で1店舗ずつコンサルティングのようなことをしていたり。セミナーもやっているので、運用に困っている方は是非来ていただきたいです。
—具体的にスキルというのは?
岡崎:1番は配信内容だと思います。お客様を実際にアクションさせられる企画を打てるか、ということですね。LINE@自体の操作はすごく簡単で、LINEを触ったことがある人なら一瞬でメッセージは送れるんですよ。それよりも、何をどうやって伝えるかが肝だと考えています。お客様が喜んでくれるものを、という軸で企画を考えられているアカウントは伸びが良いです。
ただ売上に繋がらないといけないという側面も持っているので、お客様に喜んでもらう企画と、売上に繋げる企画を分けたりとか、LINE@でのキャンペーンを他SNSと差別化したり、そういった工夫は必要になってくると思いますね。
—最後にLINE@がこれから目指すところについて教えてください。
岡崎:LINE@のサービスリリースが2013年の12月で、そこからありがたいことに右肩上がりでアカウントは伸びていますが、まだまだサービスとしての課題はありますし、LINE@のちゃんとした使い方や価値を全員知っているか、と言ったらこれもまだまだだと思います。僕らもそこに対してサポートしていきたいですし、今後も更にアップデートを重ねてどんどん使う方のニーズに応えられるように変化していきたいです。
事業としては、電話番号に変わるくらいのカルチャーを作っていきたいと思っています。大昔はこんなに固定電話が広がると思っていなかったし、携帯電話が広がるとも思っていなかった。次はその電話に変わって、LINEで店舗とお客様を繋ぐカルチャーを作っていくのが僕らのミッションです。
大町:最近になって、より街の美容室や小規模の飲食店などでも利用してくださる方が増えてきていると感じています。インターネットやマーケティングのリテラシーが高くない方でも、簡単にかつ有効にお使いいただけるようにサポート体制やブログの強化を行っていくことで、インフラとして活用してもらえるようなサービスにしていきたいです。
Interview photo:ENO SHOHKI