こんにちは、編集長の石井リナです。
USではミレニアル世代の6割が使用してると言われるSnapchatですが、日本ではまだまだ使用しているユーザーはごく一部です。今回は、Snapchatの立ち上げが早く、運用にも力を入れているWebメディア「SILLY」に取材させて頂きました。SILLY編集長の尾田和実さんと、SILLY事業責任者の塚本史恩さんに、運用意義や、運用内容、「SILLY」の今後の展望についてまでもお聞きしてきました。
週刊プレイボーイのミレニアル版を目指す
石井リナ: まず、「SILLY」とはどのようなメディアなのでしょうか?
尾田さん:20代(ミレニアル世代)男性向けの男性総合マガジンです。「週刊プレイボーイ」なんかのようなグラビア雑誌のWeb版というイメージが分かりやすいと思います。グラビアの様なコンテンツもあるけれど、中をのぞくと政治やカルチャーなどの骨太な記事もあったりしますよね。僕たちは「TOKYO FieldWork Magazine」とコンセプトを掲げていて、東京にあるコンテンツをどんどんリークしていくように紹介しています。
左)尾田さん 右)塚本さん
石井リナ:メディアから漂うストリートな雰囲気に、グラビアコンテンツも上手く溶け込んでいますよね。コンテンツで意識されていることはありますか?
塚本さん:サイトUIもInstagramのようなビジュアルに近しいので、グラビアコンテンツもビジュアル的に違和感のないように気を使っています。
尾田さん:元々「GIZMODE」(ギズモード)というWebメディアを運営していました。書き手のペルソナとしてあえて、ガジェットが好きで好きで仕方がない「弱キャラ」を設定してるユニークなメディアだったんです。今回はその逆をやりたくて、「SILLY」では「生意気」なキャラクターがモノやカルチャーを紹介するという様なイメージでコンテンツを発信しています。僕の中では塚本くんとかまさにペルソナなんですよね。
石井リナ: 少し分かるような気がします。(笑)
Snapchatというプラットフォームを先張りする
石井リナ:メディア運営の中でも、Snapchatはどういう立ち位置で運営されているのでしょうか?
塚本さん: SILLYとしては特に20代男性にリーチしたいと考えています。そうしたときのプラットフォームとしてSnapchatを選択しました。Facebook LIVEやPeriscopeなど、ライブ配信のプラットフォームはいくつかありますが、すでにプレイヤーが確立しているので、僕たちは、Snapchatを先張りしようと考えたという背景があります。
石井リナ: Snapchatの運用の中ではどのようなコンテンツを配信されているのでしょうか?
塚本さん:「Youth Of Today」というテーマを掲げているのですが、若者が今求めているものを常に配信しています。ガールズコンテンツもあれば、音楽やファッション、カルチャーなどのコンテンツも配信しています。
石井リナ: 私もフォローしているのですが、ユーザーにメッセージとしてToでコンテンツ配信もしていますよね?
塚本さん: そうなんです。手動でフレンドの方々にメッセージ配信をして、続きはストーリーを見てねと促しています。友人同士のコミュニケーションに利用しているユーザーも多く、ストーリーを見るという習性もまだないので、見てもらえるように工夫しています。
コアファンのいるコンテンツでフレンド400人追加へ
石井リナ:フレンド数を増やすために行われたことってありますか?
塚本さん: Vineユーザーで有名なRaMuさんにグラビアコンテンツで出演して頂いた際には、コアなファンが多く、フレンド数は400人~500人増えました。
石井リナ:まだダウンロード数の少ないSnapchatでそこまでのフレンド数が増えたのは凄いことですよね。
塚本さん:グラビアコンテンツ以外にも、ファッションショーや展示会などのシーンも親和性が高いと思っています。Snapchatだと説明がいらず、ストーリー性のようなものも出せるので、そうしたコンテンツは相性が良いですね。あとは、音楽コンテンツもマッチすると思います。
▼SnapchatでAmazon Fashion Week TOKYOも配信
石井リナ:テキストとSnapchatのコンテンツの棲み分けはどのようにされていますか?
塚本さん:Snapchatで配信するコンテンツは、「生っぽさ」が出せるという認識が編集部にはあります。見ているユーザーも「リアルさ」や、「近い距離」を感じられるというのがSnapchatのメリットではないでしょうか。最近ではレポーターなども起用していて、密接さや親近感を生み出すことができると考えています。
Instagram Storiesをどう思う?
石井リナ:Snapchatを積極的に運用されていると思いますが、Instagramにも類似機能のStoriesが追加されましたよね。どのように捉えられていますか?
塚本さん:日本のインフルエンサーたちもSnapchatからInstagram storiesに移行してしまう動きがあったので、まずいかなと思ったこともありました。Instagram storiesもコンテンツの配信先としてはフィットするかなとは思っていますが、まずはSnapchatという新しい市場にトライしてみようという気持ちの方が大きいです。
石井リナ:TOPページの1番目につく箇所にSnapchatのタブがあったり、コンテンツも充実していたりと、Snapchatに対してかなりリソースを割いていらっしゃいますよね。
尾田さん:今後、Instagram storiesがメインのSNSになったとしても、僕たちはSnapchatで、ノウハウを蓄積しているので、無駄になるとは思っていないですね。
石井リナ:確かに簡単なようにみえて、文字入れの方法や撮影方法など、特徴がありますよね。
キュレーションメディアをぶっ飛ばす
石井リナ:さいごに、SILLYとして今後の展望を教えてください。
尾田さん:そうですね、できたらキュレーションメディアをぶっ飛ばしたいですね(笑)。コピーペーストしたコンテンツで溢れていると思うので、そうではなく、オリジナルコンテンツの記事は配信し続けて、20代男性に支持されるナンバー1のメディアになりたいです。
塚本さん:Snapchatに関しては、マーケットリーダーとしての地位を確立したいと考えています。Snapchatの方でもオリジナルコンテンツを毎日制作しているので、本サイトの方とも通ずるスピリットで運営していますね。
石井リナ:一次情報を発信していくというスタンスは、とても良いですよね。
塚本さん:最近では、Snapchat内のレポーターを強化しているんです。パーソナリティが見えた方がいいという考えのもと、レポーターをつけてコンテンツ配信することもここ1,2ヶ月強化しています。
石井リナ:海外のSnapchatやInstagramのStoriesもレポーターを活用してコンテンツ配信をしているアカウントが多いですよね。
塚本さん:その他の試みだと、 Snapchatでショートムービーを制作し配信するプロジェクトを実施しました。「SILLY」公式アカウントにて映像を撮影、ショートフィルム作品『Halloween the Midnight Trip』としてリアルタイムで生配信を行いました。
石井リナ:ショートムービーの配信は日本初ですよね。今回のようなプロジェクトを実施する理由は何があるのでしょうか?
尾田さん:Snapchatでショートムービーをとるのは、先をいきすぎているかもしれないし、もしかしたら検討外れかもしれない。ただ、世の中では料理の早回し動画がFacebookに溢れているけど、僕達は自分たちで選んだ、新しいプラットフォームで新しいことをしていきたいと思っています。
石井リナ:現代の動画コンテンツにも、皮肉的な意図が込められているんですね。本日はありがとうございました!
さいごに
COMPASSでは、以前よりSnapchatマーケティングに注視していましたが、日本で先進的に運用されているアカウントの1つにSILLYがありました。WebサイトのトップページのHOMEより左にSnapchatタブを配置し、リッチなコンテンツで運用する様子は、市場に対して早すぎるといっても過言ではなく、不思議なほどでした。しかし、次に来るとされているプラットフォームを先張りする、市場を引っ張っていくというようなスタンスで、Snapchatを運用されているということをお聞きし、腑に落ちると同時に、強く共感したものです。また、現在のメディアやコンテンツの時流を皮肉りながらも、自身のメディアでは虎視眈々と一次コンテンツを発信していく姿には脱帽するばかりです。一読者として、今後のSILLYの展開も楽しみにしていきたいと思います。
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Interview photo:ENO SHOHKI