米国ホテルグループのマリオットホテルは、欧米、南米、アフリカ、日本を含むアジアなど、世界各地にホテルを展開しています。2017年春、マリオットホテルはSnapChatを活用したインフルエンサーマーケティングを実施しました。
その内容は、インフルエンサーを登用した動画広告シリーズ「Marriott Rewards Presents 6 Days」をSnapChat上で隔月計4回流すというものでした。プロモーション内容と、その狙いは一体何なのでしょうか。
ミレ二アル世代を囲い込みたいマリオットホテル
リサーチ会社Slice Intelligienceが米国のAirbnbの宿泊客の49%が18~34歳のミレ二アル世代と発表(2015年7月1日~2016年7月31日の間に実施した調査より)。一方、マリオットホテルの宿泊客における、ミレニアル世代の割合は28%でした。ミレ二アル世代がホテルよりもAirbnbを好んでいるのは想像に難くないでしょう。そしてマリオットホテルとしては今後の米国において主要購買層になると予測されているミレ二アル世代を逃すわけにはいきません。
そこでマリオットホテルは、多くのミレ二アル世代に利用されているSnapChatに着目。IT市場調査会社のeMarketer は、2016年のミレ二アル世代(1981年~2000年生まれ)のSnapChatの月間アクティブユーザー数を4090万人だと推定しています。
マリオットホテルは、ミレ二アル世代に影響力の強いインフルエンサーを登用した動画広告で、マリオットホテルの会員プログラム「Marriott Rewards」への加入増加を狙いました。
会員プログラム「Marriott Rewards」に加入すると以下の特典が得られます。
・室内Wifiが無料で使える
・キー要らずのモバイルチェックイン
・ポイント(宿泊によりポイントが付与され、そのポイントによる宿泊や施設利用が無料になる)
・レイトチェックアウト(午後4時)
・部屋のアップグレード
これらの特典によりミレ二アル世代をマリオットホテルの常連宿泊客に育てたいという思惑もあるはずです。
インフルエンサーが 旅先の見どころと会員特典を紹介
マリオットホテルは2016年の夏よりデジタルマーケティング企業Delmondoと協働し、インフルエンサーマーケティングの動画広告の企画・戦略を練ってきました。
2017年春、4人のインフルエンサーが登場する動画広告シリーズ「Marriott Rewards Presents 6 Days」を以下の日程でSnapChat上で配信しました。
・3月30日:Jen Levinson氏(ドイツ)
・5月1日:Tom Jauncey氏(ニューヨーク)
・5月30日:Sara Hopkins氏(ソウル)
・6月30日:Diipa Khosla氏(ドバイ)
広告であることをほとんど感じさせない、旅先現地の見どころと「Marriott Rewards」の特典がバランスよく紹介された動画広告となっています。視聴者は10秒間の動画全体の概要紹介の後、約3分の動画を継続して視聴するかどうかスワイプで決定できます。
特典紹介はわざとらしいものではない
1.ベルリン Jen Levinson氏
グルメ好きなJen Levinson氏がベルリン市内のバーでカクテルを注文したり、ドイツのケパブやビールを楽しみます。部屋のアップグレード、レイトチェックアウトなど「Marriott Rewards」の特典、バーのスタッフとの交流などマリオットホテルの施設・サービスも紹介。入会するとアップグレードできるよというようなわざとらしいものではなく、「私の旅ではアップグレード」というようなさらっとした見せ方となっています。
2.ニューヨーク Tom Jauncey氏
写真好きなTom Jauncey氏がグランドセントラル、タイムズスクエアを訪問したり、ヘリコプターに乗ってニューヨークの景観を撮影します。部屋のアップグレード、モバイルチェックインなど「Marriott Rewards」の特典、マリオットホテルのラウンジの様子も紹介。
3.ソウル Sara Hopkins氏
ファッションブロガーのSara Hopkins氏が韓国の料理、テコンドー、野球観戦、美容を楽しみます。部屋のアップグレードなど「Marriott Rewards」の特典、マリオットホテルの接客の質の高さも紹介。
4.ドバイ Diipa Khosla氏
アクティビティ好きな Diipa Khosla氏はサンドバギー、カーレース、ラクダに乗る、サンドスキー、インドアスキーなどドバイならではのアクティビティを楽しみます。部屋のアップグレード、レイトチェックアウトなど「Marriott Rewards」の特典、屋上ラウンジから眺める景観も紹介。
今回のマリオットホテルのインフルエンサーを活用した動画広告は「広告臭を感じさせない」コンテンツということが特徴です。あくまで旅を楽しんでいる中で、良い宿泊を体験しているというような見せ方となっています。その上で、伝えるべきサービスの特徴はしっかりと伝えています。この「広告臭さのない」動画広告にミレ二アル世代向けの広告作りのヒントが隠れているのではないでしょうか。