皆さんは、「Refinery29(リファイナリー29)」というウェブメディアをご存知ですか?知らないという方もSnapchatを使っている人は、名前を見た事があるかもしれません。
Refinery29とは?
アメリカのファッションライフスタイルメディアで、女性向けによりスタイリッシュでクリエイティブ生活をするための情報や、インスピレーションを配信しています。現在では月間PV数25,000人を超え飛躍的成長を遂げています。SnapchatのDiscoverにも参入しており、全世界に配信されているウェブメディアです。
日本での知名度はまだまだ低いですが、ニューヨークの本社に加えてサンフランシスコ、シカゴ、ロサンゼルス、ロンドンにオフィスを構えており、今後も世界中に展開していくでしょう。今回はRefinery29のウェブメディア、複数のSNS、イベントという側面から見た、ウェブメディアとしての情報発信方法をご紹介します。
①洗練されたデザインのウェブメディア
Refinery29のターゲットは流行に敏感な女性です。それに応じてウェブデザインも、モードでシンプルなデザインとなっています。モノトーンで揃えられたデザインと記事のアイキャッチのグラフィックなデザインは1つ1つこだわりを持って作られていることが分かります。
様々なブランドとのコンテンツキャンペーン
Refinery29では様々なブランドとのコンテンツキャンペーンを行ってきました。これまでH&M(エイチアンドエム)やConverse(コンバース)、SAMSUNG(サムスン)などとのキャンペーンを行い、コンテンツを充実させてきました。
アパレルブランド「GUESS(ゲス)」とのタイアップではGUESS30周年アニバーサリーとして創立当時の80年代ファッションを展開し、若い世代にGUESSのプロモーションを行いました。その結果、2,500以上のエンゲージメントと1,300以上のシェアがされました。
②濃い情報を届けるのはYoutube
チャンネル登録者数は30万人を超えており、最も再生回数が多い動画は500万回を超え。更新頻度は最低でも2日に1本で、1週間に5本以上は投稿されています。YouTubeでの動画コンテンツを展開しているメディアは多く存在しますが、その中でもRefinery29はインタビュー動画からトレンド紹介、ライフスタイルなど様々なジャンルで動画を展開しています。
これは最も再生回数が多い動画で5 Days of No Makeup(5日間メイクをしない)に挑戦した動画です。5日間何かに挑戦するシリーズはチャンネルの中でも人気シリーズとなっています。
上の動画は、小学生から老人までの8世代別にセックスについて総勢29人の女性達が座談した動画です。カラダやセックス、フィミニズムなどについても赤裸々に語る動画は女性向けメディアならでは。記事でなく動画というフォーマットで、人々が話していることで、より説得力と親近感も増すことになります。また、コメントで視聴者の反応が確認できることで次の動画にすぐに視聴者の意見を取り入れることが出来ることが動画コンテンツの利点です。
1人の視聴者の意見に対する他の視聴者の意見を見れるのがYouTubeの特徴です。また、YouTubeでは他人のコメントに対しての評価や返信をすることができます。視聴者同士で動画について同感や討論をしていくことで、視聴者によってチャンネルが盛り上がっていくという相乗効果が期待できます。
③ミレニアル向けフォーマットを徹底したSnapchat
SnapchatのDiscover内でセレブのゴシップからメイク、ファッション、健康、恋愛など様々な記事を配信しています。
Discover Refinery29より
DiscoverはRefinery29を含めて、現在18のメディアが参入しています。どのメディアもSnapchatユーザーである若者向けの記事を多く配信しているのが特徴です。Refinery29では女性に役立つ様々なジャンルの情報を配信し、多くの女性読者を獲得していることがTwitterでの読者の意見を見ても分かります。
https://twitter.com/VictoriaBrozek/status/747232378649640961?lang=ja
訳「みんなRefinery29のSnapchatの新しい配信を読むべきだよ!」
obsessed with @Refinery29 snapchat discover story today! The blush article was my fave!
— Becca Glasser-Baker (@TheFitFoodnista) July 1, 2016
訳「Refinery29のSnapchatのDiscoverにハマってる!チークについての記事がお気に入り!」
DiscoverはSnapchatをしている人は誰でも見ることができます。暇なときにサクッと読めるように投稿内容は短めであることが特徴です。
Discover内のRefinery29より
また、Discoverでは誰かにシェアしたいと思ったとき、長押しすれば送信画面になるため、簡単に誰かに記事をシェアすることが可能です。このようにシェアが簡単にできるため、需要があるセレブを取り扱った記事が多いことが伺えます。また、Refinery29を知らないSnapchatユーザーにもDiscoverを通してウェブサイトへ誘導できるため、ユーザー獲得に繋げることも期待できます。
④来訪を目標とするFacebook
Facebook検索ページより
FacebookではRefinery29のアカウントとは別にRefinery29 New York, Germany, UKと国別にアカウントを持っている他、Refinery29 Living, Beauty, Wellness とジャンルごとにアカウントを持ち、運営しています。総合アカウントのRefinery29は320万人以上のイイねを獲得しており、更新頻度は1日に20投稿以上と高めです。
FacebookのRefinery29公式ページより
投稿はRefinery29のウェブ上の記事や、YouTubeでの動画を紹介したものがほとんどでキャプチャでの文字は一言程度、ウェブサイトにユーザーを来訪してもらうことを第1に運営しています。Facebookはユーザーが拡散、コメントなどのリアクションが期待できるので常にユーザーのタイムラインに出現させユーザーリアクションを起こさせるよう最新記事の情報を頻繁に投稿しています。
⑤とにかくインスタジェニックなInstagram
Refinery29公式Instagramページより
更新頻度は1日2回以上でフォロワー数は100万人を超えています。Instagramの投稿ではウェブの更新記事の紹介から取材の様子、Refinery29のライターやフォトグラファーがインスパイアされた著名人の名言をフォトジェニックな写真とともに投稿しています。
Refinery29公式Instagramページより
他メディアのInstagramに比べ群を抜いているのがフィードの統一性と写真のクオリティーの高さ。ウェブと同様洗練されたフィードでこれがフォロワー数に繋がっていると伺えます。ユーザーがフォローしたくなるようなフォトジェニックなフィード作りをすることがフォロワーを獲得する秘訣だということが伺えます。
⑥RTしたくなる名言を盛り込んだTwitter
Refinery29公式Twitterページより
更新頻度は1日10以上でフォロワー数は100万人を超えています。Twitterではそのとき話題になっていることに関したツイートや記事の配信を行っています。
Powerful words from @HillaryClinton tonight #DemsInPhilly pic.twitter.com/RrypyP5k15
— refinery29 (@Refinery29) 2016年7月29日
(ヒラリー氏による影響力のある言葉 “屋根がなければ空は無限だ” )
現在、話題となっているアメリカ大統領選挙に対してメディアとしてヒラリー氏の応援ツイートをしています。女性向けメディアとして女性を応援することは必然的であり、このようなパーソナルな投稿をしてフォロワー数を獲得しています。また、RTしたくなるような名言をコンテンツとして投稿していることもTwitterの特性をよく分かっているなと感じさせられます。
⑦クリエイティブの高さをブランディングするイベント
Refinery29の活動はオンラインに限りません。オフラインでもBrooklynの倉庫を活用し、「アートとファッションの楽しい家」をコンセプトにイベントを行いました「29Rooms」という空間を作りあげ、インスタジェニックなフォトスポットを多く用意しました。Fashion Weekの期間に合わせて数日間の実施にも関わらず、Instagram上には足を運んだ多くの人の投稿で溢れ、#29roomsでの投稿は16,000件を超えています。
フォトスポットがたくさんあること、ユニークなアート空間であることが、女の子たちの心を掴み、反響を呼びました。自分たちのブランディングをアート空間という場で表現したことが伺えます。
さいごに
Refinery29はウェブメディアやSNS、イベントのどの面でも、それぞれでなにをすべきか分かった上で、自分たちがどう表現するかをきちんと検討していることが分かります。各SNSの運用をみても、そのプラットフォームにどういう特性があるのか、把握し、自分たちのメディアがどういう形で運用するのか理解しています。各チャネルで表現方法を変えて発信する必要があるのは、ウェブメディアに限りません。どのような業態でも、プラットフォームやチャネルで起きているコミュニケーションを把握し、情報発信をしていく必要があるのではないでしょうか。