画像:ENO SHOHKI
様々なSNSが登場した現在、誰もがSNSに載せる写真を少しでも「可愛く」「カッコよく」「それっぽく」見せたい。有名人やインフルエンサー並みにフォトジェニックな写真しか載せたくない!
そういった風潮が若者の中では、暗黙の了解とされています。世界には、より美しい写真や景色を撮影すべく、命をかけて高所を渡り歩き続けるRooftopper(ルーフトッパー)と呼ばれる人々が存在します。今回は、彼らが何のために命をかけてまで写真を撮影するのか、その実態に迫ります。
Rooftopperと呼ばれる彼らの目的は?
そもそも*Rooftopperという言葉自体に明確な定義が存在するわけではありません。世界的には、「高層ビルやタワーなどの高所を命綱などの器具なしで、建物のキワを渡り歩く」という意味で認知されているようです。この他にも、Rooftopp Selfie(ルーフトップ・セルフィー) Rooftopping(ルーフトッピング)と言った俗語も現在、生まれ始めています。また、Rooftopperの中にも様々なカテゴライズが存在し、すべてのRooftopperが必ずしも写真を目的にしているわけではありません。
*roofは英語の「建物の屋根」、topperは「屋上を登る者」からできた俗語
多くの場合、立ち入り禁止区域とされているビルやタワーの屋上に無許可で登り撮影するケースがほとんどと言われています。彼らが撮影に至る動機は主に、「誰も見たことのない景色を撮影したい」「究極のセルフィーを撮影したい」といったもの。これを聞いただけでは、命をかけるには少々動機が欠落していると考える人も多いでしょう。しかし、Rooftopperとして活動をする彼らの度胸とクリエイティビティに魅了され、多くのメディアで取り上げられているのることも多いのも、また事実です。
Rooftopper専門モデルの存在
先ほど、Rooftopperとして活動する写真家をご紹介させていただきましたが、中にはRooftopper専門のモデルも存在し、Rooftopper同様彼らの需要も高いのです。中でも、モデルでありながら自らもRooftopperとして写真を撮るロシア人のAngela Nikolauは、世界の名だたるタワーや高層ビルで写真を撮影しており、「世界一命知らずなモデル」とも言われています。
彼女のInstagramアカウントにも数々のRooftopでの写真がシェアされており、彼女が危険な写真をアップするたびにロシア国内のみならず、イギリスやアメリカのメディアが反応することも多いことでも知られています。
実際に命を落とすRooftopperも少なくない
Rooftopperとして活動する写真家の中には、撮影時に建物から転落し、実際に亡くなられた方も多くいます。
Petapixelより
昨年には、ロシア・ヴォログダに住む少年17歳が、友人とロープを使って建物からぶら下がった形で落ちそうな写真を撮影していたところ、ロープが体重に耐えきれず、少年は建物から転落。その後、搬送された病院で息を引き取りました。彼はSNSを中心に、地元の建物に登っては、危険な写真を友達と共に撮影しあっていました。Instagramアカウントは、事故から1年経った今でも、そのままになっています。
思わずヒヤヒヤしてしまう彼の写真が連なる最後の投稿には、転落した際に使用したロープの写真が投稿されています。事件を思い出させる写真に、虚しさも同時に感じざるを得ません。
またPetaPixelの統計によれば、Rooftopp Selfie(ルーフトップ・セルフィー)はもちろん、セルフィーが死亡事故につながる可能性は、サメに襲撃されるよりも割合が高いという結果が報告されています。その中には、RooftopperやRooftopセルフィーも含まれています。いずれの場合も、セルフィーによって注意力が低下したことが落下死の原因となっています。
さいごに
SNSが盛んでないころから、フォトブラファーである彼らは高所に登り、撮影をしていた時代もあったと思います。しかしSNSの台頭により、たくさんの人に写真が披露できる環境となったことで、彼らの活動が加速した一面も、もしかしたらあるかもしれません。
加えて、死と隣り合わせにもかかわらず、危険な場所で撮影を行うRooftopperたちは、より美しい写真を求めて日々撮影行っています。彼らの写真を美しいと思う人が多いことが、また彼らの活動を活発にさせてしまうとも考えられます。問題も多い彼らの活動ですが、彼らのクリエイティビティを奪わないためにも、社会的なルールと理解が必要なのかもしれません。