中国版Twitterと呼ばれている Weibo / 微博(ウェイボー)は中国最大級のSNSであり、アクティブユーザー数は4億1100万人に達した。(2018年3月時点)(人民網日本語版より)
そんなビッグプラットフォーム・Weibo は2019年・春節に1億円のお年玉企画を実施した。
日本でも、今年の正月にファッション通販サイトZOZOTOWNを運営する前澤友作社長が、総額1億円のお年玉プレゼントをTwitter上で行いたちまち話題となった。こういった「お年玉企画」は中国SNSではより大掛かりに頻繁に行われる。
今回、春節に行われたWeiboのお年玉企画を紹介する。
Alipayのキャンペーンから拡散された”錦鯉”は2018年中国ネット流行1位に。
2018年の中国国慶節には、アリババグループが提供するQR・バーコード決済サービス・Alipayが、公式Weiboアカウントでプレゼントキャンペーンを実施した。
錦鯉のイラストとともに、「錦鯉の投稿をシェアするだけで、これから働かなくていい」という呼び掛けに300万回以上のシェアと2億超えのアクセスを記録した。
錦鯉には古来から「縁起が良い」と言われてきたが、このAlipayのキャンペーンによって、「錦鯉」は「強運の持ち主」の象徴に転じ、2018年の中国ネット流行語でも「錦鯉」は1位となった。(ライブドアニュースより)
2011年から始まり、中国SNSで定着した「バラマキキャンペーン」
こうした中国SNSのバラマキキャンペーンは、2011年にWeiboからスタートし、現在は定着したプロモーション手法となっている。
2014年の春節では、Weiboと並ぶ人気SNS・Wechat(微信)がWechatの友達に紅包を送る「紅包機能」を搭載し、注目を集めた。
そして2015年春節には、WeiboやWechat、QQなど様々な中国SNSが紅包をバラまくキャンペーンを実施。その総額は、100億元(約1900億円)にも及ぶという。
そして現在に到るまで、バラマキキャンペーンは有効なプロモーションとして支持されている。
今年の春節も、主要なインターネット企業だけで35億元(約570億円)のバラマキ額を超えたといわれている。
フォロワー数が多い企業公式アカウントから中小企業・新規ブランドアカウント、タレントアカウントなどまで、特定アカウントをフォロー&キャンペーン投稿をシェアするだけで誰でも参加できる抽選イベントが数えきれないほどWeibo上では行われている。
この、「フォロー・シェア+抽選」で賞品をバラマくプロモーション手法は中国では定着している。賞品だけを目当てにキャンペーン終了後、ユーザーがすぐフォロー解除をしても、拡散される勢いがその比ではないため、新規ユーザーがアカウントを目にしてくれる可能性は高まる。また、新規ユーザー獲得だけではなく、いつもフォローしてくれているファンたちへの感謝の気持ちを込めて抽選を行う意味もある。
2019春節に開催された、Weiboの「2019让紅包飞」キャンペーン
春節は、中華圏では最も大切な伝統的なイベント。 春節の前日から1週間は休みとなり、帰省や旅行などに行ける大型な祝日となる。そして今回、Weiboで春節に行われたキャンペーンは「2019让紅包飞」のタイトルで、「錦鯉微博を見逃さず、1億円相当の紅包を争奪しよう」といったコンセプトで開催された。
(※紅包とは、中国のお年玉のことで、赤い封筒に入れて渡すことから「紅包」と呼ばれている。)
Weibo側は、「錦鯉」にあやかって特設ページを設立し、数多くの俳優やアイドルやタレントのWeiboアカウントが、一般ユーザー向けに紅包や商品などを抽選で配る今回のイベントの内容。日本で言うなれば、木村拓哉や石原さとみといった世代を超えて人気な芸能人のアカウントだ。
彼らが一般ユーザーに呼びかけ、「錦鯉微博」を投稿することでイベントに参加できる。イベントハッシュタグは閲覧数がなんと15.4億、関連投稿も821.4万にもなった。
第一弾では、元EXOメンバーの歌手ウー・イーファンが「フォローや投稿シェア」の条件で100名のフォロワーに合計100万元(総額約1630万円、一人当たり約16万円)を与える錦鯉微博を投稿した。それにより、72時間後には「2019最幸运锦鲤(2019最強運錦鯉)」のイベントハッシュタグは閲覧数が8.7億を突破、シェア数が360万に増加。投稿中のウー・イーファンによる春節挨拶動画再生数は700万を突破した。
2019年1月16日から2月24日まで、俳優や歌手など十数名有名人が Weibo「2019让红包飞」イベントに参加し、現金のほか、春節テーマカラーの高級ブランドバッグやトルコ旅行チャンスを抽選したり、世界中のディズニーホテルやチケットのプレゼントを行なった。
現金に限らず様々な豪華賞品に多くのユーザーの注目を浴び、金銭的な広告プロモーションにとどまらず、運試しの象徴となった。
Weibo は一人一人のタレントの力を借りて春節期間中に一連のイベントを行うことで、「2019让红包飞」を最高に盛り上げた。
自分のタイムラインに他人がシェア、もしくはトレンドに上がっている「錦鯉微博」を見てイベントに気づくだけではなく、Weibo はイベント期間中にマイページ画面に常に「2019让红包飞」イベントバナーを設置。
さらにこれから予定されている錦鯉微博投稿を見逃さないよう投稿予約できる「红包カレンダー」機能をリリース。
イベントを発見、参加するハードルが下げされ、誰でも簡単に参加できる仕組みを期間中に提供していた。
一般人でも錦鯉イベントに参加可能。
Weiboには「微博抽奖」という抽選機能があり、その機能を使えば一般ユーザーでも商品や現金のプレゼントができる機能がある。
「微博抽奖」機能では、一般ユーザーが無料に作成できる簡単な抽選条件の他、もっと細かく条件指定するには別途年間5000元あるいは9800元のファンサービス会員契約が必要だが、フォロワーを増やしたいユーザーにとっては有効な仕組みだ。
抽選投稿では、抽選に参加できる条件(例えばフォロワー限定・投稿をシェアする/いいねする/コメントする必要・友だちをメンションか否かなど)が選択でき、現金あるいは賞品を何人に与えるのかも設定が可能。
さらに、フェイクアカウントをフィルタリングできるように「電話番号認証を行ったユーザーのみ」に限定することも実現可能。
このように、大型バラマキキャンペーンだけではなく、Weiboでは誰でも簡単に、抽選を投稿できる。
TwitterやInstagramなど、グローバルなSNSでも同様の公式機能が搭載される日も近いかもしれない。