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11世紀の英国コベントリー。貧しい領民への重税を引き下げるよう願い出た夫人に対し、伯爵が言った。

「一糸まとわぬ姿で馬に乗り、町中を回れば引き下げる」

夫人はこれを実行し、伯爵は約束を果たした。夫人は「レディ・ゴディバ」と呼ばれ、チョコレート・ブランド「ゴディバ」の由来ともいわれる。

時は変わって21世紀の英国ロンドン。「私の体は私が決める」と明確に主張する女性が現れた。カリスマモデル、エミリー・ラタコウスキーである。

エミリーは今、現代の「レディ・ゴディバ」として多くの支持を集め、インスタグラムのフォロワーは1600万を超える。

Birth of Venus 🐚 by @laurabrown99 and @monakuhnstudio

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日本に現れない「エミリー」

「私の体は私が決める」。このフレーズは元々、望まない妊娠をした女性が中絶の自由を訴えるときに使う言葉として知られ、現代ではフェミニズム全般で使われる。

エミリーが示すスタイルの根底には、幼少の頃から培われたフェミニズムに対する明確なスタンスがあるといわれる。これが女性から人気を集める理由の一つでもある。

実は今、エミリーのような強い主張をもったインフルエンサーがアジアでも現れることが、欧米を中心としたマーケティング業界から期待されているという。しかし、日本に「エミリー」が現れる兆しは一向にない。

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意識の差がスタイルの違いを生む?

米ハリウッド女優の性的被害の告発で始まった「#MeToo運動」から紐解いてみよう。日本ではセクハラ問題として性的搾取の面が強調されるが、#MeToo運動が訴える問題の本質は女性蔑視にある。

日本における女性蔑視の問題は、特にインバウンド界隈で話題になりやすい。例えば、百貨店で制服を着た女性が「いらっしゃいませ」と深々とお辞儀をする仕草は、日本人には「おもてなし」と解釈されるだろう。

だが、フェミニズム意識の高い外国人、特に欧米人には大変不評だという。このような意識の差が、インフルエンサーのスタイルにも大きな違いをもたらしているのかもしれない。


主義主張がないアジアのインフルエンサー

エミリーのインスタグラムは、テキスト画像の投稿も多いのが特徴だ。そこには「自分の女性らしさは自分が決める!」という強いメッセージが感じられる。

エミリーに限らず、欧米の女性インフルエンサーたちは、伝統的な性的価値観にとらわれずインスタグラム上で主義主張を行い、自由なスタイルを楽しむ。こうした自信と勇気にあふれたスタイルが共感を呼び、インフルエンサーの影響力の源泉にもなっている。

Simple as that. #happyinternationalwomensday

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一方、アジアの女性インスタグラマーたちは、フェミニンさを売りにして、偶像化された自分を目指しているように見え、フォロワーもそれを好んで受け入れているように感じられる。写真の美しさに代表される「インスタ映え」が重視され、本人のパーソナリティが反映された主義主張のある投稿はほとんど見られない。


伝統的な男性社会はSNSマーケ業界の障壁

今まではエミリーのような限られた人だけが発信してきた男性社会へのアンチテーゼが、#MeToo運動によって一般女性もそれぞれの考えを発信し始め、女性の存在意義を見直す様相を見せている。

しかし、日本の女性インフルエンサーが、エミリーのような伝統的な性的価値観に挑戦する姿勢を見せることはあまりない。伝統的な考えをもつ日本のビジネスパーソンも、#MeToo運動の性質上、無関心を装いがちかもしれない。

Andrea Raffin – Shutterstock.com

翻ってアジアでも今後、女性の権利が高々と叫ばれるようになり、明確なスタンスで支持を集めるインフルエンサーが主流となると予測されている。今後のSNSインフルエンサー市場を展望する上で、欠かせない視点といっても過言ではない。

日本のマーケターたちも、伝統的な男性社会がSNSマーケティング業界の大きな障壁になる時代が来たと考えるべきだ。

 

(文中敬称略)

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COMPASS編集部