2016年10月11日、東京アメリカンクラブにて「Decoded Fashion Tokyo Summit 2016(デコーデッド・ファッション・トーキョー・サミット2016)」が開催されました。Decoded Fashion Summitのミッションは、「インタラクティヴなサミットを通じて、ファッション業界に新しいアイディアを紹介し、テクノロジーの力を伝え、テック起業家やデザイナー、リテーラー、メディアのプロたちのクリエイティヴなパートナーシップを育むこと」です。

世界トップレベルの登壇者のプレゼンテーションやディスカッションなどのセッションによって構成されています。当記事では、「テクノロジーとファッションがどう向き合っていくことが必要なのか?」という問題を軸に、3人の登壇者のプレゼンテーションを紹介します。

①「ぼくらが“ググる”本当の理由」 Google日本法人社長 ピーター・フィッツジェラルド氏

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日本において、「検索」や「調べる」ということはどういう意味を持ち、どういった方法で行われているのか。そして、テクノロジーと協力して商業活動を行っていく時代となった今、それを日本でどのように実践していくのか。グーグル日本法人社長のピーターは、事例や実際のグーグルの調査を紹介しながら、これらの問題を見つめていきました。ファッションとテクノロジー分野で、日本が世界をリードするために必要なことは以下のの3つです。

1,カスタマイズ

ファッションやテクノロジー、デザインなどの専門家が日本には多く存在するのだから、彼らとのネットワークを上手に使い、クリエイティブに商業活動を行っていくことが重要。そこでできた商品や企画使って、デジタルやイーコマースにおいて、世間にrecommendation(推奨)をすることによって、ブランドは多大な存在意義を得ることができます。つまり、革新的なweb接客をすることが大切なのです。様々な能力を集大成させてできたrecommendationは、大きな力を持ち、それだけでなく、ブランドを底上げしてくれるでしょう。

2,個人に適応

そして、「1.カスタマイズ」を生かしてできたコンテンツを個々人に対応できるような施策を考えましょう。Personalised(個人に対応したもの)を創り出すことは難題かもしれませんが、今の時代は一定のカテゴリーでモノを計ること自体が困難になってきました。「カスタマイズ」で、ブランドが正しいコンテンツを創り出すことができれば、この「個人に適応」することは、可能となるでしょう。また、ここにはカスタマーをきちんと理解するという意味も込められています。

3,パートナーシップ

1と2と同時に、このパートナーシップがとても大切になります。協力をして事業を成功させることができるパートナーがいることで、その事業をより最先端の、そしてより早く、成し遂げることができます。パートナー同士で、技術などを提供し合い、新しいものを創造していくのです。そこで、テック企業とファッションブランドが協力することで、新たな力と文化を生むでしょう。

この3点を肝に銘じながら、ブランドの将来を考えることが現時点でできているかどうが重要だと語ります。ピーターは、日本で成功することができると信じており、それはグーグルの調査によっても証明されていると述べていました。この3点をすべて網羅している例として、Googleとラグジュアリーブランドがタックを組んだ事例もいくつか紹介していました。

BVLGARI ROMAN TREASURES

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Google Project Muse

②「ミレニアルの「愛」は広がり続ける」
SHOPSTYLE EU,副社長兼マネージングディレクター ジュヌヴィエーヴ・クンスト氏

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日本でもおなじみのショップスタイル。海外では大人気のサイトで、日本にはまだ浸透していない事例を創り出しているそうです。副社長のジュヌヴィエーヴは、カスタマーのデータを大いに活用し、カスタマーのことを十分に理解することが鍵である、と述べていました。また、ショップスタイルは「カスタマーと友達のような近い信頼できる存在でいる」というポジティブな姿勢を心がけています。彼女が掲げる大切なポイントは2つ。

カスタマーを十分に理解し、洞察すること
即時性を持たせること

ウェブサイトでは、ワンクリックすれば、翌日商品が届くというようなことが可能になったため、カスタマーもその状態を当たり前に求めるようになりました。そのため、対応できるデジタルテクノロジーが必要です。

そして、最後に彼女は“EMOTICODE”という機能を発表していました。それは、Snapchatで使える機能で、特定の絵文字を使うとSnapchatから服が買えるサイトにつながるというもの。SNSに眠っている可能性を見つけて、積極的に活用している姿が印象的でした。

③「ファッションとテック、未来へのビジョン」
シモーネ、CEO兼クリエイティブディレクター ムラカミカイエ氏、「ワイアード」日本版編集長 若林恵氏

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ファッション、アパレル、ラグジュアリーブランドに共通する価格の意味は、安かったらお買い得感があり、高価なものであったら社会的優位性を味わえる、ということがあります。
しかし、インターネットが普及してきたことによって、その優位性だけでは通用しなくなってきた、と彼らは言います。それは、「personalised (人それぞれ)」のスタイルが重要視される時代になってきたという点が、そのひとつの理由であると考えられます。商品やブランドが飽和状態の今、このインターネットの世界には、まだ知らない新しい可能性が眠っているのです。

またSNSについては、Facebookの10-year road mapを挙げて語っています。現在は、SNSをどう使っていこうかという議題が多いですが、その先を考えることが必要だと強く主張します。
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Facebook Newsroom より

Instagramで、ブランド力を上げられるかということよりも、バーチャルな世界でどう生き抜けるか、を先に考えた方がいいのではないかと、若林さんは示唆します。そして、「cultivate(技術や能力を高める)」ことも重要なポイントの1つだと述べています。今のうちに実践と失敗を繰り返しておくこと、そしてこのSNSの戦略はモデル化されることはないだろうということ、自らクリエイティビティに行動することの3点を頭の片隅に置きながら、長期スパンで未来のビジョンを描いていくことが大切になるそう。

 

彼らが見ている「未来」を参考に、ぜひビジョンを描いてみてはいかがでしょうか。

 

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Juri Ishii
Post Author

Juri Ishii

1993年生まれ。国際基督教大学教養学部アーツ・サイエンス学科在籍。メディア論と都市論を主に研究。2011年にニュージーランドに休学留学を1年間し、現地の高校で社会学やデザインを学ぶ。2015年には、イギリスのリーズ大学に留学を1年間し、社会学に加え、映画論とフランス語を学ぶ。専らの興味は、「オリンピックと都市の変容」と「映画」。2年前から趣味のカメラを始め、現在は社会問題に関するZINE発行に向け奮闘中。