現在日本中でおよそ3万台設置されているというデジタルサイネージ。2014年で1027億円だった市場は、東京オリンピック開催予定の2020年には8900億円にまで拡大すると予想されており、増加する訪日外国人に向けたサイネージを用いた施策も多く行われています。


観光庁が発表したデータによると、訪日外国人が旅行中に困ったこととして、36.7%の外国人が「無料公衆無線LAN環境」と回答しています。次いで「コミュニケーション」が24.0%、「目的地までの公共交通の経路情報の入手」が20.0%となっていました。

では、各企業はデジタルサイネージを用いて、どのような施策を行っているのでしょうか?

今回は、6月8日から10日の3日間、幕張メッセにて開催されたデジタルサイネージジャパン2016に出展されていたブースも交えて、各企業の取り組みをご紹介します。

ナビゲーターに直接質問できる、観光案内サイネージ

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株式会社ニューフォリアはデジタルサイネージで観光案内をするサービスを行っています。

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こちらは外国人観光客向けのガイド&マップサービスです。左と右のサイネージで提供してるサービスが異なります。

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左のサイネージにHelloと話しかけると、ナビゲーターと接続し、観光に関するあらゆることを質問することができます。異国の地で困ったことがあっても現地の人になかなか話しかけられない、なんてシチュエーションでとても役立ちそうです。

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こちらはグルメ、アウトドアスポーツ、観光の音声案内でしてくれるサイネージです。

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newphoriaの方のお話によると、総務省は現在外国人観光客向けにIDカードの配布を行う予定で、こちらのカードはそちらを想定したものになります。

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端末の上にカードを乗せると、そのカードに搭載されている情報から音声案内で用いる言語が決定されます。英語のカードを乗せてみましょう。すると・・・

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このように英語でのガイドがスタート。もちろん英語だけではなく、乗せるカードによって様々な言語に対応可能です。駅や主要な観光スポットでの導入を期待したいサービスです。

商品情報を多言語で表示

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株式会社アイディーズでは商品情報多言語サービスの展示を行っていました。

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訪日外国人に向けて商品情報を各言語で提供するサービスですが、特に中国人観光客をターゲットにしています。そのため、展示されている見本の商品はプロテインや赤ちゃんの粉ミルクなど、中国人観光客が大量に購入している商品の様です。

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商品のバーコードをスマートフォンや店頭設置の機器にスキャンすることで、商品の詳細を知ることができます。4年後に東京オリンピックを控え、訪日旅行者の増加がこれからますます期待できるので、さらなるインバウンドの上昇に貢献できるサービスです。

自撮りができる!多機能自動販売機

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産経ニュースより

昨年10月、株式会社ブイシンクはインテル株式会社とLINE株式会社が提供する技術を活用した、デジタルサイネージ自動販売機を開発し、キリンビバレッジキリンビバレッジバリューベンダー株式会社が駅や商業施設を中心とした全国主要都市部にて展開することを発表しました。

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ITmediaニュースより

この自動販売機は全面にデジタルサイネージを搭載しており、飲み物を購入すると内臓カメラでフレーム付きの自撮りを楽しめるシステムで、撮影した写真はLINEで受け取れる仕組みです。訪日外国人が利用する事も想定し、英語、中国語(簡体字)、韓国語に対応しています。今年3月には羽田空港国際線ターミナル駅にある駅ナカ商業施設『ウィングエアポート羽田』に導入されました。そちらでは自撮りのデザインフレームを、京急線をイメージしたデザインや、和風なものにしており、写真の拡散や京急線の認知度向上を図っています。

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ブイシンクホームページより

また昨年11月に株式会社ブイシンクがリリースした「スマートベンダー」は、上記の自販機の機能に加え顔認識カメラやARカメラ、各種センサーなどが搭載されています。

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インターネットと常時接続しているため、自販機自体が現在位置を認識でき、周辺の電車の運行情報や災害情報、天気予報やニュースがリアルタイムで配信することができます。顔認識機能によって犯罪者の特定など、防犯面でも活躍が期待できます。また無線LANルーターを内蔵しており、WiFiスポットとしても機能するので、海外と比べるとどうしても少ないと感じる日本のWiFiスポットの普及に大きく貢献するでしょう。

QRでもARでもない、スマホを光にかざすだけで情報入手


最後に、パナソニックが独自の技術を用いて展開している「光IDソリューション」をご紹介します。光IDソリューションとは、スマートフォン用専用アプリ上で起動したカメラをデジタルサイネージなどのLED光源にかざすことで、「光ID」と呼ばれる様々な情報を搭載したID信号をすばやく受信することができる技術です。

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Panasonicより

ARやQRなどの画像を読み取る方法とは異なり、光が届く距離なら離れた場所からも受信可能なため、通信速度や混雑に影響されず素早く利用することができます。

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Panasonicより

今年3月には、東京ビッグサイトにて多言語対応のデジタルサイネージを世界で初めて導入しました。このデジタルサイネージは日・英・中・韓の4ヵ国語に対応しており、サイネージにかざした端末の言語設定によって変わります。東京ビッグサイトのエントランスホールや連絡通路に設置されており、イベント情報や施設案内、種編の地図・観光、交通や災害情報など様々な情報が発信されています。

まとめ

各社の取り組みから、訪日外国人向けのデジタルサイネージを用いたサービスには共通した以下のポイントがありました。

・インタラクティブ性
・多言語に対応

各社とも一方的に情報を提供するというよりも、ユーザーと直接会話できたり、ユーザーのスマートフォンを使用して情報を提供したり、“ユーザーと体験を共有する”ようなインタラクティブ性を重視した内容になっています。一方通行な情報よりも、ユーザーとコミュニケーションを取ることで、ユーザーが本当に求めている情報を提供できるというわけです。
また従来のサイネージは日本人向けでしたが、2020年のオリンピック開催を目指し、各社とも多言語に対応し始めました。主な言語は英語・中国語・韓国語の3種類となっていますが、今後さらに対応する言語が増えると、日本の外国人観光客の受け入れ態勢はより良いものになるのではないでしょうか。4年後の2020年に向けてますます市場が拡大していくデジタルサイネージに注目です。

Text:Karin Satomi

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