エイベックス・エンタテイメント株式会社(以下、エイベックス)の社内組織として、社内外に様々なエンターテックを発表してきた「2nd Function(セカンド ファンクション)」が、体験型アート展ADIRECTOR Vol.1『DOLLHOUSE』を表参道にて開催。2018年8月4日(土) ~ 2018年8月27日(月)の期間限定開催で、人気マネキン・デュオ「FEMM(フェム)」と最新のテクノロジーを駆使したライヴパフォーマンスも行われている。(ライヴパフォーマンスの開催日時詳細はこちらから)

 

エンタテイメントと最新テクノロジーを融合した新たな音楽の可能性を追求する「2nd Function」の狙いと、来場者と一体化した体験型アートライヴの様子をお伝えする。

 

話題のエンターテック集団「2nd Function

このイベントを手掛けているのが、エイベックス社内クリエイティブ・ユニット「2nd Function」だ。

「2nd Function」は、いち早くVRやARといった最新のテクノロジーを取り入れた視覚コンテンツを制作しており、今年ラスベガスで開催された『CES』などの世界的なイベントで多くの作品を公開し、注目を集めている。

(※CES:コンシューマー・エレクトロニクス・ショー。毎年1月、ラスベガスで開催される最新技術、特に電子製品に関する見本市。これまで、ハードディスクレコーダー、DVD、XboxなどがCESで発表された)

今回のイベントでは、アート・ディレクターに河野未彩氏を迎え、リアルとアンリアルの境界を行き来するような、ガーリーで強烈な異空間を出現させている。また、カラフルな影を生む河野氏の代表作「RGB_Light」も同時に展示され、テックとアートが巧みに融合されたイベントとなっている。

 

最新のエンターテックが集結

今回のイベント会場は、ピンクに染まった表参道の4階建てビル。会場となっているビルの各階には、それぞれ最新のテクノロジーが集結している。

 

まず1階から見ていこう。1階は「HOLO Entrance」と名付けられており、擬似的に触れると衣装が変わったり、スワイプで映像を操作したりすることもできる3D立体映像「Holo」が展示されている。

擬似的に触れると、マネキンの衣装が変化する(編集部撮影)

「Holo」は建物外からも体験することができ、いつでも楽しめる。

 

続いて2階だ。2階は「TECH Dancehall」と名付けられている。こちらでは、最新のプロジェクションマッピング技術を用いてリアルタイムに衣装が変化するダンス・パフォーマンスや、可変レーザーによるショー「i_to」といった最新のテクノロジーを楽しむことができる。

 

そして、3階には「Room RGB」がある。こちらでは、先述したカラフルな影を生む河野氏の「RGB_Light」に加え、CESで高い評価を得た次世代ARライヴ「ACRONS」のピンクのジオラマ Ver.を楽しむことができる。

「RGB_Light」実際に影がカラフルになっている(編集部撮影)

ピンクの空間にカラフルな影も加わり、なんともフォトジェニックな空間に仕上がっている。

ARライヴ「ACRONS」のピンクのジオラマ Ver.(撮影:Akira Takahashi)

 

4階には「Club MNGL」と名付けられた空間が。ここには、レイヤーを与えた高輝度透明ディスプレイを配置した次世代DJブース「MNGL」が設置されており、クラブとしての利用も可能となっている。

DJブースが設置されているClub MNGl(エイベックス・エンタテイメント提供)

 

「not AUDIENCE but ADIRECTOR」に込められた思い

今回の体験型アート展で特に注目すべき点は、ビル一棟が会場となっており、各階に全く異なるコンテンツが存在する点だ。ワンフロアではなく、上下に移動する仕組みを施すことで、オーディエンスが主体的に参加できる工夫がなされている。

サブタイトル「ADIRECTOR(アディレクター)」には、このようにオーディエンス一人一人が能動的にショーに参加する個人として捉えるという意味が込められている。個や単数形を意味する「A」と、方向性を決めることを意味する「DIRECTOR」を足し合わせて、「ADIRECTOR」という造語が誕生した。テクノロジーの発達といった時代の変化によって、音楽にもよりリアルなインタラクティブ性が求められている今、観客の参加型ライヴやメディアアートは今後のトレンドとなるに間違いない。

 

コンテンツよりもコンテクストを重視

会場では、1日3〜5回、人気マネキン・デュオ「FEMM」によるライヴパフォーマンスも行われている。

FEMMは、コケティッシュなラップで人気を博しており、代表曲の『Fxxk Boyz Get Money』は、欧米のティーンを中心にスマッシュ・ヒット。アメリカで行われた「CES」でのARライヴ、「Slush Tokyo」でのセンシングと可変レーザーを用いたショーなど、エンターテック・パフォーマーとしても世界的に活躍している。

そんな彼女たちのパフォーマンスは、2階の「TECH Dancehall」から始まる。あたかも本物のマネキンのようなパフォーマンスと、高追従プロジェクションマッピングによる映像で観客を魅了する。

FEMMによるパフォーマンス(編集部撮影)

特に注目すべきなのは、可変レーザーの「i_to」。演者の動きと、レーザー光線がまるで糸のように絡み合い、近未来的な雰囲気を創り出す。

レーザー光線が近未来的な雰囲気を出す(編集部撮影)

そしてパフォーマンス終了後は、観客に次のフロアへの移動を促すよう、彼女たちは自ら階段を上っていく。

 

次に案内された4階では、ロボットダンスを踊る3人組によるパフォーマンスが披露される。

また、ライブ中最も驚くのは、観客のスマートフォンアプリと連動した演出があることだ。来場者は、会場に入る際アプリをインストールするように促されるが、実際にどう使うのかはその場で教えられない。アプリは、曲中パフォーマーの合図でアプリを起動したスマホを上にかざすと、自動的にスマホのライトが点滅したり、バイブが振動したりする仕組みとなっている。

ロボットダンスも加わって賑やかに(編集部撮影)

観客のスマートフォンアプリと連動(編集部撮影)

観客皆のライトが点灯すると、ライヴの熱も最高潮に。会場に一体感が生まれ、パフォーマーとオーディエンスの境界線の融解が起こる。まさにこれが『ADIRECTOR』となる瞬間であった。

 

『DOLLHOUSE』を運営する2nd Functionのクリエイティヴ・ディレクターの一人(以下、同氏)は、今回の施策について次のように話す。

「近年はインターネットの普及やAR・VRといったテクノロジーの進化により、エンターテインメントにも演者と観客との多方向なコミュニケーションが必要。もともと他にはない音楽の良さというのは、ライヴのインタラクティブ性やリアルタイム性であって、音源だけだとそれを固定化してしまう。音楽を体験していくことを重要視していかないと、今後の戦略として厳しいのではないかという認識があった。だからメディアアート、インタラクションを始めていった。

また、客席を動かしていくというのももしかしたら今後のトレンドかなと思っている。一定のところで観るショーが一番固定的というか、まったく面白みを感じられない。だからもっと客席が動くということを今後は増やしていきたいと考えている。どちらかというとフェスに近い。そうすることで、お客さんが主体となってショーに参加することができるし、コンテンツだけでなくコンテクストも楽しむことができる。」

 

観客もライブの演出を体験可能

ライヴが終わった後も来場者は、写真撮影やSNS投稿を楽しめる。来場者は、パフォーマーが実際に立っていたステージで、音楽と映像に合わせて最新のテクノロジーを体感したり、DJブースに入ることもできる。また、開催期間中であれば、パフォーマンス上演時間外であっても、インスタレーションの展示を毎日楽しむことが可能だ。

自由に最新のテクノロジーを体感できる(編集部撮影)

ここでの観客の“体験”こそがこの企画におけるメインであると同氏は述べている。

「お客さんに見ていただいてるショーというのも実は説明で、ショーの後に皆さんが『RGB_Light』や、プロジェクションマッピングの体験がむしろメインとなっている。お客さんが決められたショーを見るのではなくて、体験して写真や動画を撮ってさらにSNSで共有する、そんな風にお客様が主体的に参加していけるようなライヴを手掛けていかなければならないと思っている。演者と観客のボーダーラインがどんどん融解していくようなイメージ。新しいエンタテイメントの形として面白い、そんなメッセージを伝えていきたい。」

 

テクノロジーの発達により、エンタテイメントとしての求められる音楽の在り方も変化している。観客がコンテンツそのものより、そこに至るまでのプロセスを楽しむことができる参加型、体験型といった形態がよりトレンドとなるであろう。

この夏、フォトジェニックで新しい「エンターテック」を楽しんでみてはいかがだろうか。

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かんな
Post Author

かんな

1995年生まれ。静岡出身。首都大学東京経済経営学部に在学し、マーケティングを専攻。カメラが趣味でInstagramを中心としたSNSについて勉強中。