Uber EATSをはじめとする、オンラインデリバリーフードサービスが急速に普及している。またAmazonが試験中の無人コンビニ「Amazon Go」に見られるような、店舗運営の自動化の動きも世界では加速している。

 

オンライン販売や、店舗運営の自動化といった売買効率の向上を目指しているのは、現在の小売店舗のトレンドである。そうした背景の中で、トレンドに逆行して誕生したのが、イタリア料理のスーパーマーケット&テーマパークの「Fico Eataly World」(フィコ イータリー ワールド)だ。

 

2017年11月15日イタリアに登場したFico Eataly Worldは、別名“食のディズニーランド”とも呼ばれており、食の“体験”を提供する点が特徴だ。


体験しながら、食事や買い物が楽しめる

当施設は、アメリカ、イタリア、ブラジル、ドイツ、日本などに展開するイタリアンフードのスーパーマーケットとレストランのチェーンEataly(イータリー)、co-op(コープ、生活協同組合)が共同で運営を行う。また施設は、イタリアのボローニャに存在する。

 

Fico Eataly WorldのFicoとは「Fabbrica Italiana Contadina(ファブリカ イタリアーナ コンタディーナ)」はイタリアの農業工場の意味し、その頭文字をとっている。

 

Fico Eataly Worldは「Dal campo alla forchetta(ダル カンポ アッラ フォーチェッタ)= 農地から人々へ」というキャッチフレーズを掲げ、イタリア料理とイタリアワインの良さを世界に伝えるミッションを持っている。

FICO Eataly World YouTube より

 

来場者はFico Eataly Worldの施設において、イタリア料理の食材の生産、加工、食卓までの一連の流れを見ることができる。

 

それらの工程を観察したり体験したりしながら、買い物や食事を楽しめるのがFico Eataly Worldの最大の魅力だ。

 

Fico Eataly Worldの敷地には40の食品工場、イタリア各州の郷土料理を味わえる40のレストランが存在する。また、多様なイタリア料理の食材を販売する店が集合した、9,000平方メートルの敷地のスーパーマーケットも存在する。

 

さらにFico Eataly Worldでは、屋外の2万平方メートルの敷地に、200体の動物が飼育され2,000種の食材が生育している。


1日50件の食育イベントを開催

Fico Eataly Worldは広大な敷地に飼育されている動物や生育している食材、そして食品工場を活かして、様々な食育イベントを開催。最大で1日に50件もの食育イベントが開催されている。

 

牧場や農地などで体験できるようなものから、なかなか体験できないものまで多種多様なイベントが催されている。

 

例えば、Fico Eataly Worldで開催されている珍しいイベントの1つに、トリュフ収穫の見学がある。

Fico Eataly Worldより

 

トリュフは地下で育つキノコで、空気中に胞子を飛ばせない。そのため、地下から強い匂いを放つことで知られている。そんなトリュフを探すのが嗅覚に優れた犬である。

 

Fico Eataly Worldで行われているのは、トリュフ犬と呼ばれるトリュフ収穫のために特別に訓練を受けた犬が、トリュフを収穫する様子を見学するツアーだ。参加費は20ユーロ(約2,600円)だ。他の場所ではなかなか体験できない特別なイベントとなっている。

年間600万人の来場者を見込む

スーパーマーケットが生まれる以前、欧米の伝統的な市場や小売では、カウンターの店員が客の注文に応じて商品を手渡す形式が一般的だった。しかし、この形式は売買効率が良くなかった。

 

自分で店内を巡り、買いたい商品をカゴの中に入れる現代のスーパーマーケットは、1930年アメリカのニューヨークで誕生した。これにより、売買効率は飛躍的な上昇を見せた。

 

スーパーマーケットが誕生してからこれまで、スーパーマーケットはどのようにして売買効率を良くするか、という観点で成長してきた。しかしながら現在、オンラインショッピングや、店舗運営の自動化といった点で成長が進み、近い将来効率面のコモディティ化に直面するのではないだろうか。

 

そのような事情を鑑みると、効率面以外の観点からスーパーマーケットが顧客に提供できる価値を再考する必要がある。そこでEatalyオーナーのOscar Farinetti氏は、ディズニーランドからアイデアを得て、食材を売るだけではない“体験“を売るFico Eataly Worldを構想した。

 

Farinetti氏はFico Eataly Worldに年間600万人の来場者を期待していると述べている。“体験”を提供するリアル店舗の実験がいま始まっている。Fico Eataly Worldは、リアル店舗ならではの“体験”を提供できる施設の先駆けとなるのだろうか。

 

 

Source by Fico Eataly World YouTube

  • LIKE@COMPASS
  • FOLLOW@COMPASS
森本進也
Post Author

森本進也

ライター。1989年生まれ。IT、経営、マーケティング、金融、バイオ、医療等の領域において海外の最新トレンドを追っている。好きなメディアはTechCrunch、Business Insider、Scientific American。