ここ数年でAirBnBは、旅行者にとって当たり前のように利用されるサービスとして根付いた。AirBnB Newsroomによると世界191か国400万以上の物件がAirBnBに登録されている。そして、2008年以降ユーザーがAirBnBを利用した宿泊回数は2億を突破したとのことだ。

 

これだけの実績を誇るAirBnBが存在する、宿泊のシェアリング・エコノミー業界。もはや付け入る隙はなさそうだ。しかし、AirBnBとは少し異なる独自路線で成長している宿泊のプラットフォームがある。それが今回ご紹介するHipCampだ。

 

キャンプ場の貸し借りができるアウトドア版AirBnB

HipCampはテントを張るための土地(以下キャンプ場とする)や、コテージの貸し借りができるプラットフォームだ。誰もが空いた土地をキャンプ場として貸し出すことができる。10%が手数料となり、2400円のキャンプ場なら240円がHipCampの利益となる。

 

アウトドアに特化しており、ユーザーの間では「アウトドア版AirBnB」と呼ばれている。いくつか登録されている物件をご紹介しよう。

 

キャンプ場一泊24ドル(約2600円)

 

ツリーハウス一泊279ドル(約3万1400円)

キャンプ場の予約が困難な米国

HipCamp創業者Alyssa Ravasio氏は、2013年1月1日にカリフォルニアの自然に囲まれた土地で、夜明けを眺めたいと考えていた。そこでキャンプ場を探したのだがどこも先約でいっぱいだった。後日友人たちにこのことを話してみたところ、皆同じようにキャンプ場探しに苦労した経験があった。

 

キャンプ場の貸し借りにおいて不満を持った、Alyssa氏は10週間プログラミングスクールに通ってプログラミングを習得。そして、プラットフォームサイトを作り上げた。

 

HipCampの名は口コミで広がりキャンプ場が続々と登録されていった。現在では28万5000以上のキャンプ場とコテージが掲載されている。

 

僻地の空き地もアクティブに

基本的にHipCampで貸し借りされるキャンプ場やコテージは、都市部から離れた郊外に存在している。これまでなら誰も訪れなかったような、都市部から遠く離れた僻地に住んでいる人物たちがホストたちだ。

 

空いている土地を、キャンプ場として貸すことも可能。そしてHipCampアクティブユーザーのホストは、平均で年間8000~1万5000ドル(88万円~165万円)の収入を得ているというから驚きだ。

 

AirBnBと異なり、自分の家に部屋を招き入れる負担もない。万一何か起きた場合、HipCampの保険がユーザーには適用されるのだ。

 

キャンパーフレンドリーなサービスである

キャンプ場を借りるキャンパーは安心安全にキャンプを楽しみたい人物である。公的なキャンプ場にはキャンプ場が空いているかどうかすらインターネット上に公開されていない所も多い。

 

HipCampにはキャンプ場が空いているかどうかは当然のこと、さらに一歩踏み込んだ情報が掲載されている。ユーザーフレンドリーなつくりのサイト作りとなっている。

 

予約の空きスケジュール

ユーザーはキャンプ場の空いているスケジュールを簡単に確認でき、即時に予約が可能だ。

 

施設やアクティビティ詳細

水は利用可能か、たき火可能か、ペットは同伴可能か、キャンパーにとっての必須情報が掲載されている。

 

ピクニックテーブル、トイレ、シャワー、ごみ箱、テーブル、Wi-Fiの有無等も掲載されている。またキャンプ場内で楽しむことが可能なアクティビティも表示されている。(マウンテンバイク、ボート、乗馬、クライミング…etc)

 

豊富な写真でキャンプ場がどのような場所なのか知ることも可能。

 

先にキャンプ場を利用したキャンパーのレビューを読めるので安心。

 

 

写真撮影、レビュー執筆で宿泊は無料に

HipCampは非常に写真や記事コンテンツが充実している。それに貢献しているのが「Field Scout」という制度だ。UGC(ユーザー生成コンテンツ)をうまく集める方法としても注目に値する。

 

Field Scoutの協力者はHipCampが指定するキャンプ場の写真撮影、レビュー、ブログ記事執筆に協力することでキャンプ場の宿泊費が無料になり、かつ100ドルがプレゼントされるというものだ。

 

協力者のNic Castellanos氏はこれまで14のキャンプ場の写真撮影、レビュー執筆に協力してきた。

 

Nic Castellanos氏のクオリティの高い写真はキャンプ場の写真として採用されている。

 

 

彼らの写真ははHipCampのInstagramアカウント(17万4000フォロワー)にも採用されている。

 

さらにFacebookページ(5万4000人フォロワー)の投稿にもUGCが活用されている。

Facebookページはキャンプをテーマとし、自社ブログのみならず他メディアの記事を紹介するキュレーションメディアとして機能させている。

ホストを増やすための口コミ紹介制度も

新たなキャンプ場ホストをHipCampに紹介した人は100ドルの報酬を獲得できる。さらに10人紹介じた時点でボーナスとして1000ドルを獲得できる。10人で合計2000ドルの報酬を得られるのだ。

 

また、潜在ホストにHipCampを説明する際に参考にできるコンテンツも充実している。興味深かったのが想定される問答集だ。

 

たとえば、潜在ホストに「AirBnBにすでに掲載しているからHipCampに掲載する必要はないです」と言われた場合の応答として「AirBnBのカレンダーに同期させることができるカレンダーをHipCampは用意しています。もしAirBnBのゲストの宿泊予定がなければHipCamp経由で宿泊客を受け入れると良いです。ダブルブッキングの心配もいりません」という想定される問答を用意している。このようにHipCampはキャンプ場ホスト獲得にも力を入れている。

 

 

HipCampはキャンプ場の貸し借りというAirBnBとは競合になりにくいが、しかし十分にニーズのあるジャンルに目を付けた点が慧眼だ。

 

インセンティブを付与した口コミ紹介制度でキャンプ場ホストを増やし、またUGCを活用しキャンパーの集客にも取り組んだ。ホスト、キャンパー両者にとって価値ある独自のプラットフォームとして、成長したHipCampから学べる点は多いだろう。

 

Source by HipCamp

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森本進也
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森本進也

ライター。1989年生まれ。IT、経営、マーケティング、金融、バイオ、医療等の領域において海外の最新トレンドを追っている。好きなメディアはTechCrunch、Business Insider、Scientific American。