ホログラムといえば他の記事でもご紹介しましたが、消費者に向けた広告に活用されるケースが多いです。しかし最近では、広告以外の用途でもユニークなホログラムの活用事例が出てきています。
遠隔地のサッカークラブの監督がホログラムでカンファレンスに参加
2017年5月、ドイツ拠点のサッカークラブチーム、バイエルン・ミュンヘンが主催でアウディカップ2017に向けたカンファレンスを開催しました。カンファレンスの開催地はドイツです。アウディカップに参加する他サッカークラブの監督Jürgen Klopp氏(英国のリヴァープールFC)と、Diego Simeone氏(スペインのアトレティコ・マドリード)は、ホログラムでカンファレンスに参加しました。ホログラムの技術はARHT MediaのHumaGramsが提供。
カンファレンスの様子をご紹介します。まだ、会場にJürgen Klopp氏とDiego Simeone氏の姿はありません。
司会者が「スペインのトップクラブからのゲストをご紹介します」と言うと、
スペインのアトレティコ・マドリードの監督Diego Simeone氏がホログラムで登場します。
司会者が「英国のトップクラブからのゲストをご紹介します」と言うと、
英国のリヴァープールFCの監督Jürgen Klopp氏がホログラムで登場します。
ホログラムの監督2人が司会者、報道陣からの質疑に回答していきます。まるで監督本人自らがいるかのようにカンファレンスが進行していきます。
スティーブン・ホーキング博士が香港にてホログラムで講演
ホログラムを使った似た事例は他にもあります。2017年3月24日、車いすの理論物理学者として有名な、スティーブン・ホーキング博士が香港のイベントにホログラムで登壇して講演を行いました。このホログラムの技術も前述のARHT MediaのHumaGramsが提供。
博士は90分間にわたって自身の仕事、人類の精神、社会の傾向、社会問題などについて語りました。また、イベントでは聴衆との質疑応答の時間も設けられました。前回の香港での博士の講演は2006年です。その時は博士本人が登壇して講演を行いました。
博士の年齢や身体状況を鑑みると、ホログラムがなければ今回のような講演は実現しなかったかもしれません。ホログラムによって遠隔地からでも本人自らがその場にいるかのような、臨場感ある講演が可能になったのです。
ラッパーはホログラムLIVEで2,200万円を稼ぐ
もう1つユニークなホログラム活用事例をご紹介します。米国の著名ラッパー歌手O.T. Genasis氏が音楽プロデューサーのVassal Benford氏と契約。Vassal Benford氏はO.T. Genasis氏がラップを熱唱しているホログラムを制作し、2017年2月、ナイトクラブHeat Ultra Loungeで上映したのです。ホログラムのO.T. Genasis氏は合計5曲を歌い、2万ドル(約2200万円)が支払われたそうです。
アーティストは、移動などの拘束時間が減り、主催者もアーティストへの支払いが減るでしょう。ホログラム開発や導入費を除けば、イベント開催者、アーティスト両者にメリットがあると言えそうです。
ホログラムがもたらすインタラクティブ性
ホログラムは投影の対象人物自らが、その場にいるかのような臨場感があります。カンファレンスや講演などでホログラムを活用する場合、聴衆との質疑応答もでき、インタラクティブ性もあります。ビジネスカンファレンスなどのシーンにおいて、コミュニケーションの可能性を押し広げていくことでしょう。