2017年、Eno’s World Value Indexは、アメリカで「ブランドの目的をどのように認識し、その目的が自分の価値観とどの程度一致しているのか。また、どのようなブランドを支持し、そのブランドの商品を購入する動機は一体何であるか」についての調査を行った。

 

そこで明らかになったのは、世代によって回答が全く違うということ。ミレニアル世代(1980年代から2000年までに生まれた人を指す)に好まれるブランドが共通して持っていたものは一体何なのだろうか。


2020年までに24兆ドルを動かすミレニアルズ

当調査を行う上でまず明らかになったのは、ミレニアルズの消費者としての力がとても大きなものであるということ。2020年までに、24兆ドル(約2,700兆円)もがミレニアルズによってコントロールされると予測されているのだ。それに伴い、ミレニアルズを消費者のターゲットとしていないブランドは衰退していくと考えられている。

 

そもそもアメリカのベビーブーマー世代(当記事では1946年生まれから1964年生まれまでの人を指す)にとって人気のブランドとはどのようなブランドなのだろうか。

 

調査によると、製薬会社のPfizer、タバコブランドのMarlboro、自動車メーカーのCHEVROLETなどがベビーブーマー世代に好まれている。この理由は、製薬会社の製品は若者より年配の方の方が利用率が高いからだ。時代の流れとして年配の方に比べて若者の車所持率が下がっていること、若者の喫煙率が下がっていることが挙げられる。

 

しかし、好まれるブランドに違いが生まれるのは、社会の変化が理由なのだろうか?


ミレニアルズの社会問題への意識は非常に高い

ミレニアルズに支持されているブランドとしては、Twitter、Snapchat、Spotify、Uber、PayPalなどIT、Tech系の事業をしているところがまず挙げられる。しかし、それだけではなく、スターバックスやP&Gなど、物理的な商品を販売しているブランドも若者から支持を集めている。

 

スターバックスやP&Gは、“ブランドとしてはっきりとした目標を持っている”ということを理由に、ミレニアルズから支持されている。例えばスターバックスはエコ、倫理に配慮した原料の調達を行っている。またP&Gは、女性の潜在的可能性を支援するキャンペーン#Likeagirlを行い話題となった。

こうした企業がミレニアルズに好まれるのは、ミレニアルズの社会問題の関心の高さが理由にある。

 

調査では、ミレニアルズの68%が「世の中に変化を生み出すことは、積極的に追求すべき個人的な目標」であると回答。一方でこの問いに対して同じ回答を示したベビーブーマー世代は42%に留まった。また、ミレニアルズの41%が「ここ1ヶ月で何かしらの抗議活動に参加した、ボランティアキャンペーンに参加した、また署名のために近隣の人に対して声かけを行った」と回答。これに対し、ベビーブーマー世代で同じ回答をしたのは17%しかいなかった。

 

ミレニアルズの77%は他文化を体験することが必要であると回答したのに対し、ベビーブーマー世代でこの回答をしたのは64%。グローバルな視点を持ち、多様性を奨励する活動を行うこと、明確な目標を持って事業に取り組むことがミレニアルズに支持されるために必要なことと言えるのだ。


届く形で発信することも重要

このような社会問題に対し真摯に取り組みながらも、ミレニアルズよりベビーブーマー世代から支持されているブランドがある。それが食品ブランドのNewman’s Own。当ブランドは、3度のアカデミー賞受賞を果たしたアメリカの俳優、Paul Newman(ポール・ニューマン)によって設立された。彼は1925年生まれの俳優で(2008年没、享年83)、ベビーブーマー世代にとってはとても馴染みの深い人物だ。

 

Newman’s Ownは、1982年の設立以降利益の全てを慈善団体に寄付をしている。また、使用しているのも有機食品だ。ミレニアルズから高い支持を集めてもおかしくないだろう。しかし、当調査により、Newman’s Ownがこのような活動をしていると認知しているミレニアルズがたった39%しかいないことが判明した。ただ社会に対して明確な目的を持った取り組みをしているだけでは、ミレニアルズの支持を得ることができないのだ。


Newman’s Ownより

 

ここで求められることは、ブランドの取り組み、その取り組みを行う目的を、ミレニアルズに届く形で発信していくことだ。それらはデジタル上でのコミュニケーションかもしれないし、彼らが重要視するクリエイティブの強化かもしれない。

 

ミレニアルズはブランドの持つ意味や意義、そしてそのブランドの起こす大きなインパクトを求めている。そしてより大きなインパクトを起こし、それにこれからの経済を動かすミレニアルズを巻き込んでいくことで、ブランドと世間の間に良い循環が生まれていく。

 

グローバルな視点を持ち、多様性を奨励すること、社会問題に対しての取り組みを行い、それらを自らミレニアルズに発信していくこと。これらが、これからのブランドに求められることと言えそうだ。

 

 

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竹林広
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竹林広

1996年生まれのフリーライター。京都出身。慶應義塾大学文学部に在学し、人間科学を専攻。フリーライターの父を持ち、父の働く姿を見てライター業に興味を持つ。趣味は温泉と寺社仏閣巡り。