HotelTonightは、ホテルの直前予約サービスを提供しているスマートフォンアプリだ。ウェブサイトでの利用はできず、利用はスマートフォンアプリに限られる。創業当初は利用できるホテルがアメリカのみと限られていたが、現在では世界中でサービスを展開している。
サービスの特徴としては、予約が宿泊直前に限られていることだ。直前であるがゆえに、空室の投げ売り状態になり、大きな割引を受けて宿泊がすることは可能だ。
そんなHotelTonightが、2016年下期に発表したキャンペーンが「Visit,Don’t Stay」だ。直訳すると「行く、けど泊まらない」という意味で、家族や親戚が集う、感謝祭でのストレスを上手くつついたユニークなプロモーションとなった。
実家ではなく、ホテルに泊まることを提案
今回のキャンペーンは、米国のホリデーシーズンに合わせて発表された。米国におけるホリデーシーズンとは、11月末(第4木曜日)に開催される感謝祭から、12月末のクリスマス、さらには年末年始にかけての期間を指す。
米国では、感謝祭やクリスマスは、家族や親戚で過ごすという認識が根付いている。その前後に休暇を取り、実家に帰省しそのまま数泊するというのが米国での伝統だ。日本におけるお盆・お正月が、米国における感謝祭・クリスマスとなっている。
そのような伝統がある中で、祝日の過ごし方を見直すことを提案するのが、今回のプロモーションだ。“Visit,Don’t Stay”には、家族や親戚と感謝祭・クリスマスを祝うために帰省はするが、ホテルに宿泊しようという提案をしている。
親戚の集まりの煩わしさをつついた
今回のキャンペーンを提案したのは、HotelTonightのCMOであるRay Elias氏。また、キャンペーンの製作を担当したのは、米国の広告代理店Odysseus Armsである。今回のキャンペーンでは、HotelTonightのメッセージが込められたインパクトのあるビジュアルや動画がSNS上で配信された。
「ゲストルームを人形で埋め、息子夫婦・孫の帰省を待っているおばあさん」、「ノックノックジョーク(日本におけるダジャレやなぞなぞの一種)でやっかいな絡みをしてくる叔父」。
実家に帰り、家族・親戚一同で感謝祭やクリスマスを祝うこと自体は、もちろん素晴らしい習慣だ。しかし、フラストレーションがたまるのであれば、近くのホテルに泊まったらどうだろうか。そこで、急なホテル予約を可能にするのが、HotelTonightだ、というわけである。
思い出に残るインパクトのあるプロモーションで認知拡大を
今回HotelTonightは、従来自社の持ってるサービスをうまく活用したキャンペーンを展開した。キャンペーンを提案した、HotelTonight CMOのRay EliasはGeo Marketingにて以下のように語る。
「祝日は、家族が一丸となって休みを祝うとともに、家族の関係を再構築するときである。HotelTonightによって、家族の休日の過ごし方が変わるだろう。また、HotelTonightは創業して6年目(2016年当時)であり、競合と比べてブランド力があるわけではない。その代わり、リスクはありながらも多くのチャレンジをする機会がある。ブランド力のある企業と競合する際に、何かユーザーの思い出に残るキャンペーンを行いブランドの認知を広げないといけない。」
SNSを活用し、人の目を引くアイコンでキャンペーンを展開したHotelTonight。家族での祝日の過ごし方を変えるという斬新なアイデアは、ユーザーの思い出に残るものとなったのではないか。