国内の全世代のスマートフォン所持率が71%、20代の所持率が94%に達した2016年頃より動画のトレンドとして少しづつ注目されている「縦型動画」。そのトレンドの流れからか、先月28日Instagramから動画投稿・視聴アプリ「IGTV」がローンチされた。
COMPASSでも、先日速報として機能などを紹介する記事を公開。
これまでのストーリーズの機能では、最長1分までの動画しかアップ出来なかった Instagramだが、IGTVでは最長60分までの動画投稿が出来るようになった。
ローンチから3週間が経ち、すでに様々な企業やインフルエンサーが注目しているIGTVだが、世間のユーザーはどう見ているのだろうか?また、IGTVのような縦型動画はどれくらい世間に浸透しているのか?株式会社GENEROSITY(旧:株式会社SnSnap)が、株式会社テスティー協力のもと、動画視聴に関する調査結果を発表。調査により様々な側面が見えてきた。(サンプル数:10代〜30代の女性924名(10代308名、20代312名、30代304名)を対象)
2018年、動画視聴はテレビよりスマホ
近年、通信データの使い放題プランや都市部での公共WiFiが充実し、スマホによる動画視聴環境が整ってきた。一体、どれぐらいの人がスマホで動画を視聴しているのだろうか?
調査によると10代の80%、20代の73%がスマホで動画を視聴している。これに対し、テレビ視聴は10代・20代共に65%前後に留まる。つまり10代・20代にとって動画を視聴する際のメインデバイスはスマホとなっているのだ。
また、30代にとってのメインデバイスはテレビだが、それでもスマホで動画を視聴する人は60%いる。今後、若い世代を中心に、さらにスマホで動画視聴する人は増えるだろう。
ロック解除はめんどくさい?意外にも、10代は横型視聴がスタンダード
横型での動画視聴のネックの一つとして、「スマホの(縦画面)ロックの解除」が挙げられるだろう。動画視聴の際、わざわざロックを解除してスマホを横にするのが面倒だ、というのも縦型動画の普及のきっかけの一つにある。
「スマホを縦画面でロックしていますか?」という問いに対して、していないユーザーは各年代いずれも20%前後。それに対し、している割合は全年代で約3倍に当たる60%という結果に。
ところが、実は動画視聴時の画面の向きは縦型横型で大差がない。
近年、縦型動画がトレンドになっているといえども、まだまだスマホを横にして動画を視聴する人は多いようだ。この理由としては、すでに動画アプリとして普及しているYoutubeやAbemaTV、Netflixが横型であることが挙げられるだろう。実際、10代への動画視聴アンケートによると、動画アプリの利用率はダントツでYoutubeが高い。(MDM研究所×スマートアンサー調べ)
一方で、ここ1、2年Tik Tokやmix channelといった縦型の動画アプリは10代の中で大流行中。それらのブームとともに、IGTVを含む縦型動画の視聴は増えていると推測される。
10代から30代女性の、IGTVの認知率はおよそ50%
IGTVがローンチされて3週間。WEBメディア界隈では話題を席巻していたが、一般層にはどれくらいリーチできているのだろうか?
10代から30代の女性900名に行った調査では、IGTVの認知率は約半分と高く、世代別で見ると30代女性が認知率・視聴率共にもっとも高かった。また、実際にIGTVを視聴した人は各世代平均でおよそ10%という結果に。
まだIGTV内のコンテンツ数が少ないにもかかわらず、認知率が半数に及ぶのはInstagramが日常に欠かせないツールとなっているからだろうか?Instagramの利用頻度やフォローの内訳についても調査を行なった。
Instagram利用頻度は、10代から30代まで1日数回以上のアクセスがおよそ70%に。また、全年代で約7割が芸能人やインフルエンサーをフォローしている。
IGTVは、インフルエンサーがいままでのストーリーズで投稿できなかったような長尺な動画投稿ができるようになったため、今後IGTVに触れるユーザーは増えていきそうだ。
また、Instagram公式の資料によると、世界で7億人いるInstagramのユーザーのうち、ストーリーズを利用しているユーザーは、毎日2億5000万人以上とのこと。その中でも10代はそれ以外の世代よりも4倍多くのストーリーズを閲覧し、6倍多くの投稿をしているとのデータも。特に日本は、スペインや米国と並び10代のストーリーズの利用がアクティブな傾向にあるという。(2017年3月Instagram社調べ)
ストーリーズがティーン層の日常に普及していることから、ティーン層に刺さるコンテンツを配信することでIGTVが流行する可能性もある。
今回、Instagramで視聴したい動画のジャンルアンケートも行った。結果は下記の通りだ。
Instagramを利用する女性に親和性の高い動画は、世代間での差がほとんどなく、美容・コスメ・ファッション・料理とライフスタイルに直結した動画なようだ。
日本企業のIGTV活用事例
まだローンチして間もないIGTVだが、TwitterでIGTVの反応を見ていると、インフルエンサーの活用よりも、企業のプロモーションとしての活用に注目が集まっており、企業のマーケターが特に注目している機能だと伺える。
長尺の動画は、なかなか個人(インフルエンサー)ではコンテンツ内容やクオリティの担保など難しい点もあるが、企業のサービス訴求といった活用との親和性は高い。これまで、ストーリーズの15秒では伝えきれなかったポイントが、IGTVを使うことでうまく伝えられそうだ。
具体的にすでにIGTVを活用している企業をいくつか挙げてみる。
・アパレルブランドHeather
女性向けアパレルブランド・Heatherは、2018年7月17日よりインスタで見る新感覚ドラマを公開。ストーリーズとIGTVにて毎週2回配信している。
https://twitter.com/heather_love/status/1016488324016439296?ref_src=twsrc%5Etfw
・ユニバーサルミュージック・インターナショナル
ユニバーサルミュージック・インターナショナルは、IGTVを用いて2018年7月27日開催の音楽フェス「フジロックフェスティバル」に来日する海外アーティストのドキュメンタリー風インタビューコンテンツを配信。
動画アプリなどの潜在層リーチとしてのIGTV活用事例
企業のサービスや製品のPRの場としての活用が活発化していくことはもちろん、動画アプリや分散型メディアを運営する企業も自社の動画コンテンツをIGTVで配信するといった、潜在ユーザーへのリーチをする場としての活用も見られる。
・lute/ルーテ
luteは、2015年12月、アーティストのMVやドキュメンタリーコンテンツを制作・配信する分散型動画メディアとしてスタート。2017年7月、lute株式会社として法人化し、Instagramストーリーズメディア『lute/ルーテ』をローンチ。
様々なアーティストが出演するデジタルネイティブ世代に向けたエッジーなコンテンツを配信。IGTVでは縦型サイズのライブ映像や、オリジナルドラマ、バラエティーなどのコンテンツが並ぶ。(lute株式会社)
・30-thirty-
30-thirtyは、30秒の短尺動画アプリとして2017年にローンチ。
ベッキーや私立恵比寿中学といったタレントやアーティストが、ファン向けの動画コンテンツを課金制で毎日配信。IGTVでは、アプリ内の動画コンテンツを配信している。(30-thirty- 株式会社FIREBUG)
・C CHANNEL
C CHANNELは、2015年より開始した日本最大規模の女性向け動画メディア。
いち早く縦型動画に目をつけ、メイク・ヘア・恋愛・料理など女性の興味関心の高いテーマを中心に動画でハウツーを発信するアプリ。IGTVではアプリ内のコンテンツの一部を配信している。(C Channel株式会社)
動画コンテンツを配信する企業にとって、自社のプラットホームだけではなく、IGTVなどでタッチポイントが生まれることは、アプリダウンロードまでのハードルを下げるきっかけにもなりそうだ。
また、縦型動画の流行はコンテンツだけではなくインスタ映えにも押し寄せてきそうだ。株式会社GENEROSITY(旧:株式会社SnSnap)が開発した動画サービス「LIVEO」では、イベント会場などで10秒の縦型オリジナルPVを瞬時に生成できる。これによって、今までセルフィーや自撮り動画が一般的だったインスタ映えにも、リッチな動画コンテンツという波が生まれるかもしれない。
2016年8月にローンチされたストーリーズから2年。IGTVの登場によって、ますます縦型動画の流れが主流になることは間違いなさそうだ。まだこれからの成長が期待されるIGTVだが、今後もCOMPASSではトレンドを追っていきたい。
(記事中グラフは株式会GENEROSITY、株式会社テスティー提供)
また、COMPASSではIGTVのローンチに合わせ、IGTVの使い方やローンチ直後からIGTVを活用しているインフルエンサーについての記事を掲載中。IGTVの使い方がそもそもわからないという方や、ローンチ直後からIGTVに注目しているインフルエンサーに関心のある方はこちらも必見だ。