前回は日本のInstagramトレンドや利用率をお伝えしたが、今回はグローバルなトレンドからストーリーズを利用したブランディング例や広告事例をお伝えする。
グローバルトレンドはやっぱり「縦型動画」
2018年は、Instagramに様々な新機能が追加された。
なかでも大きな話題となったのは、長尺動画「IGTV」や、フィードやストーリーから商品が購入できる「ショッピング機能」などだ。
ここから見ても分かるように、Instagramはこれまでの写真コミュニティから発展し、徐々に動画プラットフォームとしての役割を果たしている。
最近はスマートフォンの画面を横にせず縦のまま使用する人が多く、縦型動画が主流となっている。
Instagramの調査によると、スマートフォンユーザーの約90%が縦のまま使用し、
縦型動画の広告フォーマットを好意的に思うユーザーも76%にのぼるという。
Instagramビジネス&メディア部門グローバル責任者のジム・スクワイヤーズ氏は、
「ブランドに必要なのは、動画や画像を上手く利用して多様性を活かすことだ。
遊び心を入れたり、劇場型で感情に訴えるのもよいだろう。
プロフィール欄、フィード、ストーリーズ、IGTVなど全てを活用しながら一貫したメッセージを伝えるのが重要だ」と述べた。
Instagramストーリーズを活用してブランディングに成功している企業を紹介する。
IGTVを活用!Instagram全体で世界観を訴求
ナイキは、IGTVを活用し、長編の劇場的動画をアップしている。IGTVでは商品の特徴を伝え、
ストーリーズには実際に履いてもらった有名人の動画を載せている。そしてスワイプでeコマースの動画にアクセスできる。
メルセデスベンツは、フィードからストーリーズ、IGTVを活用しながらブランディングにつなげている。
ストーリーズでは質問項目を設けるなど、ユーザーとのコミュニケーションを積極的にとっているのも特徴だ。
ナイキ・メルセデスベンツともに、先述のジム・スクワイヤーズの言葉のように
「Instagramの全ての機能を活用しながら一貫したメッセージ」を発信している。
効果を最大化させるための広告ストーリーとは?
日本のユーザーのInstagram利用率は世界平均の3倍。
ストーリーズでもショッピング機能が使えるようになり、直接消費者にアクションを促すことがストーリーズではできるようになった。ストーリーズをプロモーションに利用するメリットは、フィードの一番上に固定されているため、目につきやすく、通常投稿よりも見てもらえる確率が高い点。
そのため、食品、旅行、人材など業種を問わず利用されている。
短い動画で伝えられるため、製品に限らず、サービスやキャンペーンの告知とも相性がいい。
TVCMと連動したドラマ風ストーリーズも。ハイライトも上手に活用!
こちらはサントリー「ほろよい」のキャンペーン広告だ。
ビジュアル的に分かりやすく、手書き風の文字でキャンペーンサイトへの誘導のスワイプボタンを設けている。
CMと連動したドラマ仕立てのストーリーズも。
サントリーのアカウントではハイライトを効果的に使っている。
ストーリーズは24時間で消えてしまうが、ハイライトに登録しておけばいつまでも見ることができる。
ハイライトを活用することでフィードやIGTVとさらに一体化したブランディングができる。
プレゼントキャンペーンをストーリーズで告知
Mt.RAINIER
こちらは、季節に合わせたキャンペーンの広告だ。
イベント時期に合わせてビジュアルもクリスマス仕様にするなど、より関心を持ってもらいやすくなるように工夫されている。
WEBコンテンツへの導線にストーリーを活用
ELLE JAPAN
女性誌・ELLEjapanのストーリーズでは、記事へのリンクをビジュアルで訴求。
コンテンツのサムネイルを有効活用。
ブランドの世界観を伝えるために、物語性のあるストーリーズを。
DIESEL
遊び心のあるビジュアルにすることで、思わず詳細を見たくなるような工夫がなされている。
ファッション系ブランドとInstagramは相性がよく、各社がストーリーズを活用したプロモーションを行っているため、
何らかの差別化をつけることが重要になるかもしれない。
商業施設のキャンペーンや催事のプロモーションにも最適だ。
アトレ品川のストーリーでは、ストーリーの15秒に合わせたクリエイティブを投稿。
アトレ各店舗では、それぞれのキャンペーンイメージに沿った広告を展開している。
Marketo JAPAN
人材系サービスも多くストーリーズ広告を利用している。
情報量を多くしすぎず、簡潔なキャプションを加えることがポイントだ。
スワイプでアプリやコンテンツのダウンロードへ誘導することで、利用者数増加が見込める。
ストーリーズ広告では、以下の3つのクリエイティブな視点が重要とされている。
①一目で理解できる内容に
ストーリーで伝えられることは限られている。
そのため、何が伝えたいのかのシンプルなワン・メッセージが推奨される。
②ベネフィットを明示
やはり「何がいいのか」を明確に伝えることが重要だ。その際、具体的に数字や金額で伝えることがより効果的になる。
③メッセージとビジュアルの一貫性
伝えたいメッセージと映像を一致させることが求められる。
こちらで紹介した各社は、①から③の広告クリエイティブに加えて、自社Webサイトやキャンペーンサイト、ECサイトへの導線の強化も図られている。広告を見て実際のアクションに繋がりやすいよう、いずれも画面下部にスワイプボタンを設けている。このようなアクションを促すためのの導線設計も重要だ。
ここまでInstagramのトレンドからストーリーズの活用を見てきたが、商品やサービスのブランディングに限らず、消費者の購買行動へ直接つながるプラットフォームへ進化していることを深く認識させられる。
Instagramは今後も消費者へ影響を与えるSNSとなっていくに違いない。