2017年11月6日、Airbnb Japan株式会社(以下:Airbnb)と全日本空輸株式会社(以下:ANA)、Peach Aviation株式会社(以下:Peach)は、新しい旅行スタイルの普及と拡大におけるマーケティングについて、パートナーシップ契約を締結した。Airbnbが日本のエアラインとのパートナーシップを締結するのは、今回が初めての試みだ。

 

各社が共通して持つのは、「日本の旅を変える、新しいスタイルを提案」という考え方だ。この理念のもと、各社のマーケティング力を活用し、国内の新しいユーザー層へ「新しい旅のスタイル」を提案し、国内旅行に対する興味や新たなニーズを喚起していく。また今後、全国に多彩なライフスタイルを広めることで、地方経済の活性化などにも取り組んでいくという。


“人から検索する”新しい旅のスタイルCOTABI

同日、“新しい旅行スタイル“として、Peachは新たなCtoC型サービス「COTABI」を開始することを発表した。今まで数々のイノベーティブな取り組みを行ってきたPeachはこの度、個人旅市場にイノベーションを起こす。

 

Peachが新たに発表した「COTABI」はCtoC型の旅予約サービスである。“人から検索する”新しい旅のスタイルと銘打ったCOTABIは、個人が発信する情報から旅プランを見つけ出し、一括予約まで完結する、個人間取引型サービスだ。

 

COTABIには、3つの特徴がある。まず1つ目が、ユーザーの特性やライフスタイルから旅を検索できるということ。次に、旅のプランは宿泊先から移動手段だけにとどまらず、その先々でのアクティビティまで含め全てが一括で予約できる。最後に、ユーザーが体験した旅のプランを専用サイトに登録し、他のユーザーにシェアすることが可能だ。

 

 

まず、COTABIの専用ページを開くと、トップページにCOTABIのテーマである「人から旅を検索する」と書かれた検索窓がある。その下には、女性の一人旅、子供のいる家族旅行など、旅のテーマを表す5つのアイコンが表示されている。5つのアイコンのいずれかに、自分の旅のテーマがマッチしている場合はそのアイコンをタップ、またマッチするアイコンがない場合は検索窓に自分の旅のテーマを入力する。

 

すると、それぞれのテーマに合わせた人物画像のサムネイルが登場する。そのサムネイルに表示されているファッションや写真の背景から、自分好みや、自分の計画する旅に合うと思ったサムネイルをタップする。

 

 

サムネイルの一覧から1人を選びタップすることで、サムネイルに表示されていた人が体験し、作成した旅プランが表示される。この画面で、移動の手段が何であったか、実際に旅でどのようなことをしたか、がわかるようにアイコンで示されている。このアイコンは今回「COTABIアイコン」と名付けられた。

 

 

COTABIアイコンをタップすることで、その旅プランの詳細情報を見ることができる。詳細情報ページは、旅のダイジェストムービーから始まり、その下に移動手段、宿泊施設、オススメの観光スポットなどを登録できる。観光スポットは、いわゆる観光名所に限らず、地元の人に教えてもらった場所や、偶然見つけたお気に入りの場所などを登録でき、ユーザーの個性が最も表れる場所となっている。

 

 

また、先ほど登場したCOTABIアイコンは、専用サイト以外でも個人のSNSなどで投稿・シェアができるように開発を進めている。COTABI以外でも旅プランの情報拡散が期待され、ソーシャル時代ならではの情報の広がりが見込まれる。

 

Peachは、COTABIによって世に貢献できることが2つあると主張する。1つ目は、旅行者個人が、ガイドブックに載っているような旅ではなく、個々のライフスタイルや価値観に合った旅のプランを見つけることができるということ。2つ目が、旅の目的地となる地方自治体の活性化である。ガイドブックに掲載されていない穴場の観光スポットをユーザーに見つけてもらい、シェアする場を作ることで、地方の観光コンテンツを掘り起こせると考えているのだ。

 

本格的な始動は2018年春。Peachの巻き起すイノベーションは、個人旅市場にどのような影響を及ぼすのであろうか、期待が高まる。


3社提携により多様性を生んでいく

Airbnbの持つビジョンは、「地元の方々と触れ合っていただき、地元で暮らすような素晴らしい体験をするお手伝いをすること」だ。そのビジョンを持ちながら、ANA・Peachと手を組むことで、Airbnbが元来提唱している旅のスタイルをさらに啓蒙し、地域への送客を含めた地方創生への貢献を目指す。

 

ANAはこれから、今まで以上にユーザーとのコミュニケーションを大切にする必要性を感じている。また、インバウンドが増えている現状を踏まえ、地方を生き生きと活性化させることを狙う。さらに、ユーザーに対しては、航空利用の旅行によって、「暮らすように旅する」新しい価値や旅のスタイルの提案を画策している。

 

今まで数々のイノベーションを起こしてきたPeachは、この度旅の予約に関してイノベーションを起こす。「◯◯へ行こう」という行き先先行ではなく、ユーザー個人の趣味やライフスタイルを元に、旅ができるシステムを考案。CtoCのコミュニケーションを元にした、新たな旅のスタイルを作っていく。

 

3社の目指す新しい旅の方向性が共鳴したことが、今回のパートナーシップ契約締結の背景だ。

「様々な旅の形をフレキシブルに提案できるようになる」Airbnb

具体的に、3社の代表はパートナーシップ締結について、どのような想いを持っているのだろうか。Airbnb Japan株式会社 代表取締役 田邉泰之氏は、今回のパートナーシップ締結について以下のように話す。


—Airbnb Japan株式会社 代表取締役 田邉泰之氏

 

「人それぞれが異なった旅のニーズを持っていると思っています。今回、フルサービスキャリアのANA、LCCのPeachと提携することで、様々な旅の利用方法を、フレキシブルに提供できる。現在、日本の旅文化を変える上で、個人個人の旅スタイルをどのように提供していくのか、を考えることが大切だと思っています。その際に、今まで何十年もの間、様々な旅のスタイルを提供してきたANAから学べることは多数あると考えています。

 

さらに旅の中で、旅先の地元の方と話をし、地元の人しか知らないような体験をすることで、普通の旅では決して見つけられなかったような発見ができます。例えば、同じ場所に複数回足を運んでも、誰に案内してもらうかによって、その場所の見え方は全く異なります。同じ場所に何度も何度も旅をし、違った角度から旅先を見、身近にしていくという点で、LCCのPeachから学べることが多数あると思っています。」

 

「マイルを介するコミュニケーションも」ANA

全日本空輸株式会社 代表取締役副社長 志岐隆史氏は、今回の3社提携について以下のような想いを持っている。


—全日本空輸株式会社 代表取締役副社長 志岐隆史氏

 

「2社と比べると創業の古い弊社としては、今、日本の旅行業界に新たな時代が来ているなと思います。そのような時代の中で、弊社は新しい旅の創造について、非常に悩み模索している最中です。今回2社と一緒に新たな試みを始めることによって、新しい発想を取り入れることができると思っています。

 

具体的には、お客様とのコミュニケーションのあり方という点に関して、両者からとても刺激を受けています。弊社には、マイルを利用した、ANAマイレージクラブという会員サービスがあります。今回2社との提携によって、マイルを介する新たなお客様とのコミュニケーション、お客様同士でのコミュニケーションを生んでいけるのではないかと考えています。」

 

「Airbnbは旅行の価値観を変えるインパクトがある」Peach

Peach Aviation株式会社 代表取締役CEO 井上慎一氏は、今回の試みに関して以下のように語る。


—Peach Aviation株式会社 代表取締役CEO 井上慎一氏

 

「弊社のお客様は若い方がとても多いです。若い方が多く活用しているAirbnbと手を組むことによって、お客様のニーズにより幅広く応えられるのではないかと考えています。若い方の利用が多い弊社ですが、ビジネスユースのお客様はほとんどいません。そこで、フルサービスキャリアのANAと一緒に事業をすることによって、今まで以上に多様なお客様に対してコミュニケーションを取れるようになると思っています。

 

また今後、日本の観光がどのように発展していくのかを考えた際、日本の持つ地域の魅力は計りしれないものがあると思っています。同じ場所をいろんな角度から楽しむ時に、様々なお客様に対して、様々な宿泊の提案をされているAirbnbさんは、日本の国内旅行に対する価値観が変わるぐらいのムーブメントを起こすのではないかないでしょうか。」

 

 

 

それぞれの特徴を生かし、次の時代の旅の形を提案し続けてきた3社。この3社のパートナーシップによって、日本の旅の形は変わっていくだろう。また、地方創生、CtoCのコミュニケーションなどを掲げる3社の取り組みに今後も注目だ。

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竹林広
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竹林広

1996年生まれのフリーライター。京都出身。慶應義塾大学文学部に在学し、人間科学を専攻。フリーライターの父を持ち、父の働く姿を見てライター業に興味を持つ。趣味は温泉と寺社仏閣巡り。