2016年9月22日に開幕した、男子バスケの新しいプロリーグ「B.LEAGUE(Bリーグ)」。 LEDビジョンで表現されるCGバスケットコートなど、開幕戦のド派手な演出はまだ記憶に新しいと思います。

 

毎週末、各所で繰り広げられる熱戦。それに呼応するかのように、注目度も上昇。1月15日(日)に国立代々木第一体育館で行われる、Bリーグ初のオールスター「B.LEAGUE ALLSTAR GAME 2017」の先行販売チケットは一般販売の初日わずか2時間で完売しています。

 

限られたPR予算の中、Bリーグがここまで注目を集められた理由…それはSNSの積極的な活用にあります。今回、COMPASSは公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグの広報部長、経沢さんにインタビューを実施。SNSを活用しようと思ったきっかけ、具体的な活用方法などを伺ってきました。

 

1年で合計フォロワー20万人達成

「クラブ別 Twitterリツイートランキング」を実施するなど、SNSを積極的に活用しているなと思います。そもそも、SNSを活用しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

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経沢:なぜ、ここまでSNSを強化しているのか。理由のひとつは若年層の観戦意向者数が多かったからです。内訳を見てみると年配の方よりも若年層の方が多くて、テレビをあまり見ないミレニアル世代にアプローチするにはネットで存在感を出していくしかない。そのためSNSを活用することにしました。

また、もうひとつの理由としては昔に比べればバスケットボールの認知度は高くなっていますが、まだまだマイナースポーツだということ。メディアに取りあげてもらうことが少ないので、自社のメディア化、オウンドメディアやSNSを強化したいという思いがありました。

 

— 20159月からSNSを活用し始めたと伺っています。約1年強、運用してみた手応えはいかがですか?

経沢:SNSを開設したときに「1年後の開幕戦までに20万フォロワーを獲得しよう」と、半ば強引な目標を設定したのですが、1年間で20万フォロワーを獲得することができました。過去の2リーグ制時の合計値より2倍くらいフォロワーが多いので、新規のファンも多く取り込めたんじゃないか、と思っています。

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新規のファンを取り込めた要因は何だったのでしょうか?

経沢:一番大きかったのは開幕戦で地上派の放送があったこと。これで4万人が一夜にして増えました。あとは日ごろの運用として、いいね!やコメント、シェアをしてもらえるような投稿、さらにはブランディングツールでもあるので、Bリーグのクールさを伝えるよう写真や動画にも気をつけています。かっこいいといいね!押したくなりますよね。とはいえ運用して1年なので、まだまだ試行錯誤中です。

 

動画には 会場の雰囲気や観客の姿を取り入れる

「カッコいいから『いいね!』押そう」はすごくあると思います。

経沢:そうですよね。あとはエンゲージメント高めることも重要だと思っているので、動画の投稿も増やしています。ちなみに、これまで投稿した動画はすごく反応が良くて。今後も積極的にやっていく予定です。

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華美な演出も

選手
イケメン選手が多いことでも人気

 

なるほど。エンゲージメントを高めるために、動画の制作で意識されていることって何ですか?

経沢:動画の冒頭で惹きつけることを意識しています。動画の冒頭でいきなりロゴを出しくるところもあるのですが、私たちは惹きのあるプレイシーンを冒頭にもってきます。また動画のタイトルも具体的な注目ポイントを書き出すことで、「見たいな」と思ってもらえるようにしています。

開幕戦のアフタームービー

私たちのフォロワーはまだバスケの観戦をしたことがないけど、興味をもっている方もいる。動画を見ることで、その人たちの観戦のハードルを少しでも低くなればいいな、と思っています。例えば開幕戦のアフタームービー。これは会場の雰囲気や観客の姿、特に女性が応援しているシーンを随所に取り入れました。

 

フォロワー数が多いチームには配分金を

個人的にSNSへの投稿で、選手の自撮りが多いのも気になりました。すごく協力的だなと。

経沢:SNSを強化していく意思をクラブ側に伝えているのもそうですが、実は配分金の制度の中にもSNSの影響力といった項目を入れています。Bリーグであげた収益をクラブに配分していく。その指標にはSNSのほか観客動員数や、日本代表の輩出、代表候補輩出数、ローカル放送での露出度などありますが、そのこともあり、どこのクラブも積極的にいろんなことにチャレンジしてくれています。

 

すごい!フォロワー数が増えたチームは分配金がもらえるんですね。

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経沢
:いままで試合結果や告知を投稿していたクラブが多かったのですが、それ以外の投稿、選手のコート外での素顔や、流行に乗じた「マネキンチャレンジ」動画など「ファンが選手を身近に感じられる」投稿や、バスケに詳しくない人たちに興味を持てそうな投稿が予想以上の反響があったようです。

 

選手に協力してもらう雰囲気づくりって、どういう風にされたのですか?とはいえ、なかなか難しいのではないかと思ったのですが……

経沢:リーグというより、クラブ、選手が一体となってBリーグを盛り上げようといろいろと試みをされている中で、SNSがあり、その中で選手のコート外での素顔の投稿をあげることで、「いいね!」がたくさんつく。反応が良いので、クラブ側も「これでいいのか」と自信を持つようになり、いろんな試みをやってくれるようになる。今は良いサイクルが回っているのかな、と思っています。

 

Instagramは親近感、Twitterはキラキラ感。チャネルによって最適なコンテンツを

現在、FacebookTwitterInstagramLINEをやられていると思うのですが、SNSごとに運用方針の違いはあるのでしょうか?

経沢:試行錯誤している段階なのですが、LINE以外は男女比や年齢層といったユーザー情報は大体わかるので、それをもとに最適なコンテンツを提供しています。

チャネルによって属性データーを参考にしつつ投稿者も変えているのと同時に、投稿内容やコンテンツも変えています。たとえばInstagramはFacebook、Twitterに比べて女性比率が高いので、女性の観戦ファッションやBリーグのロゴが入ったネイルの画像をリポストしたり、料理と絡めたり、バスケとはことなるハッシュタグから閲覧した方でも興味を持ってもらえるようなコンテンツを提供するようにしています。

Facebookは30代の男性が多いのでパートナー契約の情報など、ビジネス寄りの投稿をすると反応はいいですね。TwitterはFacebookと比べると女性比率が高いので、文体で女性に訴求できるように文章の最後に絵文字を入れたりチャンネルによって工夫をしています。

 

購買貢献度が最も高い?LINE活用の裏にある狙い

–LINEの取り組みについても教えてください。

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経沢:昔からLINEというプラットフォームを活用したいと思っており、ようやく公式アカウントを開設することができました。11月24日に開設したので、まだ1ヶ月くらいしか運用していないのですが、毎日すごい勢いでお友達の数が増えています。

 

ちなみにどれくらいの数が増えているんでしょうか?

経沢:毎日2,000人ずつ増えています。何も大きな仕掛けをしてない中でこれは本当にすごいことだな、と思います。また12月に入ってからライブ配信プラットフォーム「LINE LIVE」を使用して、動画の配信も始めました。「B.LEAGUE ALLSTAR GAME 2017 公開ドラフト会見」を皮切りに、B1のクラブに協力してもらい、クラブ持ち回りで選手によるLINE LIVEを行っているのですが、コメントをみると女性が多く、リーチできているようで、良い傾向だなと感じています。

 

–LINE LIVEを始めたきっかけは、「若年層へアプローチしたい」という狙いがあったからでしょうか?

経沢:それも狙いの一つですが、チケットの購買に大きく貢献してくれるんじゃないか。そんな狙いもあってLINE LIVEの活用を始めました。

前職でデジタルマーケティングを手がけていて、各SNSの流入経路別に購買貢献度を調べたことがあるんです。そうしたら、LINEが自社のメルマガ会員と同じくらいの数値だったんですよ。きっとBリーグでも同じことが言えるんじゃないか、と思ってLINEの活用を始めてみたんです。まだテストはしていませんが、チケットの購買につながるのでは、と思ってます。

 

方法は異なるけれど、観戦意欲の高い若い人たちとのタッチポイントになるためにSNSを運用されているんですね。

経沢:その通りです。繋がっておくことが何よりも重要ですね。各チャネル、フォローを解除されないような投稿を続けることを意識しています。

 

では最後に。今後の展望についてお聞かせください。

経沢:Bリーグのフォロワー数を増やすだけでなく、今後はクラブのフォロワー数、選手のフォロワー数も増やしていきたい。ただし、クラブや選手はどうすればいいのかかわからないと思うので、私たちが約1年かけて溜めたノウハウを横展開していければ、と思っています、

また現在、クラブ別 Twitterリツイートランキングをやっているのですが、そのバリエーションも増やしていきたいですね。フォロワー数が1週間で増えた順、選手のフォロアー数ランキングがあっても面白いと思います。フォロワーとの繋がりはもちろん、チケット購買などの事業貢献もできるようなSNSにしていきたいと思っています。

 

ありがとうございます!これからのBリーグ、ますます楽しみにしております!

 

SNSを積極的に活用することで、若年層へのアプローチに成功しているBリーグ。若者の“野球離れ”、“サッカー離れ”といった言葉を耳にする中、若年層を囲い込めているのはスポーツ界でも珍しい存在ではないでしょうか。配分金の仕組みを使ってクラブ、選手を巻き込みつつ、分析結果をもとにした投稿戦略。BリーグのSNS活用から学ぶべきポイントは多くあるはずです。

 

Interview photo:ENO SHOHKI

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新國 翔大
Post Author

新國 翔大

1991年生まれ。埼玉県出身。U-NOTE、サムライトでライター・編集者としての経験を積み、現在はBASEに所属。ショッピングメディア「BASE Mag」の運営をしつつ、フリーのライターとして活動している。