2017.3.28

昨年、モデル、タレント、アーティスト、スポーツ選手など10代の間で影響力のあるティーンズたちをアンバサダーに迎え、彼らの『やってみたい!』『見てみたい!』『触れてみたい!』を実現させる体験型イベントとしてスタートした『超十代  –  ULTRA TEENS FES -2016@TOKYO』。第1回目の開催にもかかわらず、1万人以上の動員を記録し、各所で話題をさらいました。今年は3月28日に第2回目となるイベント開催を控えているなかで、SNSを使ったプロモーションを展開し、10代たちの間で注目をあつめることに成功しています。

 

今回、イベントの総合プロデューサーの平藤真治さんにどのようなSNS施策を行い、イベントを話題にさせているのか。そのノウハウについて伺いました。また超10代のなかの部活『超GAL部』部長兼『超スニーカー部』で自らがプロデュースしたスニーカーを販売するみちょぱこと池田美優さん(18)に超十代の魅力や開発秘話に迫りました。


10代は強要された物事に興味がわかない

まず超十代を企画した経緯について教えてもらえますか?

平藤昨年10代向けに当初新しい価値観を共有するイベントを企画しようと考えていたのがきっかけです。今の若者たちは主体性がないと言われていますが、蓋を開けてみると今の10代の子達は僕ら大人が共有したことではなく、自分たちで物事を提案できるし表現したいことが溢れている世代、裏を返せば彼らは自分ごとでないと熱狂できない世代だとわかりました。そうであるなら、優れた発想やアイデアを持つ10代のところに飛び込んで、彼らのやりたいことを聞いて、それを実現させるプラットフォームをつくったらいいと気づいたのです。そこで10代による10代のためのイベントを実現させることをゴールに1年前に立ち上げました。

 

実際に自分が参加してみて、他のイベントと超十代の違いや魅力について教えてください。

みちょぱ自分が単にモデルとしてショーに出演するイベントはあっても、部長という肩書きで自分が主役としてプロジェクトを動かしたり、作り手としてプロデュースしたりする機会はなかったので、嬉しかったですね。私とジャンルが違う10代の子達もそれぞれのプロジェクトに関わって一致団結してものを作っていくのは、他では味わえない感覚だなと思います。

今回ギャルを広めるための部活『超GAL部』の活動以外にも『超スニーカー部』としてプロデュースにもチャレンジされましたよね。

みちょぱそうですね! 今日も履いていますが、自分が好きなスニーカーやアイテムのこだわりを思いっきり反映させたらこのスニーカーができました。具体的にいうと、デニム素材も複数見させてもらってこのカラーになりました。ゴールドのアクセントも要望通りだし、追加のオーダーで自分のキスマークをデザインに組み込んでもらえました。

『超スニーカー部』もそうですが、超十代の部活動に参加している10代のメンバーに共通する特徴はなんだと追いますか?

みちょぱ私たちの世代の人間は人から強要されること興味のないことにはやる気がまったく出ないんです(笑)。けれど、メイクやネイルの練習など自分の知りたいこと・興味のあることに熱中する力は凄まじい。それが10代特有の力だと思いますね。だからジャンルが違う仲間たちも部活動としてこれだけ熱く色々なチャレンジをしているのだと思います。

 

このイベントに参加した人にはどんな風に楽しんでもらいたいと考えますか?

みちょぱ今の時代の流行の流れって実は10代の子達が作っていると思うんです。SNSをはじめとした新しいコンテンツの楽しみ方は私たちが一番知っています。だからお客さんにも自分が10代であることを誇りに思ってもらいたいですね。遊びに来ている参加者というより超十代を一緒に作ってるメンバーになって、一体感を感じてもらいたいなと思います。


自分ごと化させて、企業との接点を作ればマーケットは爆発的に広がる

超十代が昨年開催1年目にして1万人を動員できた理由はなぜだと分析しますか?

平藤一言で言ってしまえば彼女たちの「拡散力」だと思います。出演する子たちは、色んなジャンルの10代のスターが集まっている。活躍する彼らが自ら取り組む部活などに熱狂し、SNSを通じて拡散させたから、自ずと広まっていったんだと思います。

 

超十代のように10代に刺さるコンテンツを作る上で必要なことがあれば教えて下さい。

平藤 当たり前のことですがインサイトをみることが求められます。とはいえ、10代のインサイトを可視化するのはとても難しい。そういうなかで数値化できない10代のインサイトを捉えているのは、インフルエンサーであるみちょぱでありにこるんなんです。次に来るもの、今彼女たちが欲しいものを捉える才能は彼女たちにしかない。彼女たちは無意識に今のSNSのなかで、自分がどう立ち振る舞えばファンが反応してくれるのかを既に理解しています。そのため商品開発する上で必然的に彼女たちがつくるものは、彼女たちを支持してくれる子たち子達が欲しいものになるわけです。なので闇雲に『この靴は何色がいいか』などとSNSの意見を取り入れてものを作ることは賛成できません。なぜなら本当に今10代が必要としている商品やコンテンツは、まだ数値化されていないところ、言語化できていないところにあるからです。

 

—SNS利用などにおけるノウハウについて教えてください。

平藤先ほどみちょぱが所属していた『超スニーカー部』をはじめ、いくつかの『超十代のブカツ』をツイッター上で発足させることで学校や地域を越えて、趣味でつながる新しいコミュニケーションを促進させようと思いました。関心ある部活動について、意見を寄せたり本人たちに出演する本人たちが自分が積極的にコミットメントしていることで、出演者たちがつぶやく量が他のイベント告知に比べて圧倒的に高いのが特徴です。他のイベントだと1日平均2-3回しかあがってこないけれど、超十代だと10回を越えて投稿している出演者が多いですね。

 

—Twitterの超十代のアカウントでハッシュタグを使って積極的にコミュニケーションを行っていますよね。

平藤そうですね。一日に10回以上は#超十代で寄せられる声をチェックしています。具体的に今誰がいけているか、周囲の大人たちの声を聞き入れても仕方がありません。で10代のファンの子達の意見は本当のニーズです。SNSの一般部員のなかから実際に次のみちょぱのようなスターになりうる存在が隠れていないか、常にその存在に目を光らせています。次のスターを見つける上で参加している子達の声、ネットの声両方に目を光らせているのです。

 

『SNOW』を使ったオーディションも新しい取り組みですよね。

平藤何かをやるなら10代の子達が接点を持った場所でプロジェクトを行うほうがインパクトが大きいし、本人たちも参加しやすい。そういう意味で『SNOW』は10代のSNSコミュニケーションツールとして最適でした。実際にたくさんの応募があって、そのなかから当日に「超プリンセス」を選ぶ。ストーリーとしても魅力あるコンテンツになっていると思います。

 
SNOWによるオーディションの様子


いかにスピード感を持って10代のウォンツにコミットするか

—10代の消費行動を喚起させるために必要なことはなんでしょうか?

平藤10代のインサイトは可視化するのが難しいです。『MixChannel』や『SNOW』にしたって10代で起きた現象を後押しで捉えることしか大人たちにはできません。だからインサイトを探るヒントは10代のなかで支持されているインフルエンサーたちにある。彼ら彼女たちはこれからの巨大なマーケットを作るニーズメーカーだと思っています。

 

主体的に実現したいことを実行し、機会を与えられる場が『超十代』と言えるわけですね。

平藤はい。私たちのようなプラットフォームを提供する側の人間はいかにスピード感を持って、彼女たちのウォンツに応えるか。そしてその熱量をどのように後押ししてあげるか。企業と彼女たちが実現したいことの間に接点を作ることができるのかが肝心です。結論からいえば、可視化できない部分に大人がいかにコミットできるかどうかが10代に刺さるコンテンツをつくる上での鍵になるわけです。

 

それ以外の部分で気を配っていることがあれば教えてください。

平藤接点を増やすという意味で、提携メディアにも気を配っています。10代が触れているメディア、例えば『FRESH!』『AbemaTV』や『LINE』と提携しています。メディアの接点が増えるほど、拡散される機会は増えるし、興味を持ってもらうチャンスが増えます。そして部員として自分たちが主体的に関わっていれば、私たちが何かを言わなくても、画像を自ら拡散してくれます。実際、Yahoo!で『超十代』の画像検索をかけると200万件の画像が表示される。適切な接点を作ってあげれば、それだけ人は見るし拡散するということの証明といえます。

 

これからの超十代の展開について教えてください。

平藤10代の新しいカルチャーやマーケットを誠実に育てていくために、超十代は5年10年とやっていきたい。いずれは東京を拠点に香港や台湾、上海などアジアにも打ってでていきたいと考えます。宗教や文化や政治的課題を10代の熱量が乗り越えていったら新しいカルチャーが生まれるはず。そのためには今年も来場者に自ら主体的に楽しんでもらうことが肝心と言えます。『限りある10代を意味のあるものにしよう』、『日本の未来は私たちが作っていく』という趣旨の開幕宣言を彼ら主導で行うのですが、それを1万人とネットでみている子達が聞いています。青臭いかもしれませんが、その言葉や声が10代を感化して新しいカルチャーを生み出していくと信じています。

 

Interview photo:ENO SHOHKI

Written by
冨手公嘉
1988年生まれ。フリーで編集・ライター業を行う。
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