2016.6.15

こんにちは、石井リナです。
旅行会社のH.I.S.が、モデルの梨花さんとコラボレーションし、Instagram(インスタグラム)を活用したプロモーションを始めたとリリースがありました。

H.I.S.と言えば、インスタジェニックなInstagramやPinterest(ピンタレスト)が印象的で、Pinterestに至っては15万フォロワーと、SNSにもかなり注力し、活用されている企業です。広報担当の高司さん、広告グループの福本さん、コーポレートコミュニケーショングループの丹下さんに取材協力を頂き、今回仕掛けられたInstagramプロモーションの概要や実施背景、日頃のSNS運用や向き合い方など、お話をお聞きしてきました。

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Instagramアカウントを分けてコミュニティを作る

石井リナ:今回、梨花さんと行われているプロモーションの背景を教えて下さい。

高司さん:弊社の人気ナンバー1の国がハワイだということもあり、H.I.S.ではハワイのプロモーションを強化しようと思っています。ハワイの魅力を発信する特設サイト「#LeaLea」(レアレア)をオープンしたのですが、そちらでは動画でハワイの魅力を発信し、Instagramではフォトジェニックな写真を掲載する形で情報を発信しています。期間は1年程で、交通広告も含めてプロモーションを行っていきます。

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(左)福本さん (右)高司さん

▼ハワイの魅力を届けるMovieサイト「#Lealea」(レアレア)

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#LeaLeaより

石井リナ:今回プロモーションを実施するにあたり、なぜInstagramを選ばれたのでしょうか?

福本さん:若い女性にもアプローチしたいということから、Instagramを活用するプロモーションを企画しました。また幅広い層の女性に支持されている梨花さんがハワイに暮らしているもあり、ご本人がオススメするリアルなハワイを紹介しています。

▼#Lealeaと連動したInstagram「RINKAgram」

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Instagramアカウント@rinkagramhawaiiより


石井リナ:梨花さんとハワイ、Instagramなどどれも親和性の高いコラボレーションですね。

福本さん:はい、梨花さんは若い女性からママまで幅広く女性に支持されているということと、実際にハワイに住まわれているとこともあり、ご本人がオススメするリアルなハワイライフを発信していけたらと考えています。

石井リナ:ユーザーが分散してしまうという理由で、プロモーション用に別のInstagramアカウントを持たれることを躊躇される企業も多いと思います。その懸念は無かったのでしょうか?

丹下さん:H.I.S.は全体でInstagramのアカウントを3つ持っているんですね。1つは公式のアカウント(@his_japan)、2つ目は旅する女子向けの「タビジョ」というアカウント(@tabi_jyo)、3つ目は子どもの旅写真を集めた「タビするキッズ」(@tabisuru_kids)というアカウントです。アカウントを分けることで、世界観を分けて情報発信が出来、コミュニティも作れると思っています。よりアクティブなコミュニティを作るというためにも、アカウントを分けるという選択をとっています。

石井リナ: Instagramのアカウントを通してコミュニティを作るというのはとても良い考え方ですよね。

丹下さん:「タビジョ」と「タビするキッズ」のアカウントは指定のハッシュタグをつけて投稿して下さったユーザーの方々の写真をリポストする形で運用しています。ユーザーの方々に参加してもらうことを重要視していますね。
 
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タビジョ公式アカウント(@tabi_jyo)より

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タビするキッズ公式アカウント(@tabisuru_kids)より

石井リナ:ユーザーに投稿してもらうので、そのフォロワーにも拡散もされますし、共創したアカウントを作れるという点でもあるべき姿ですよね。

オンライン・オフラインともにコミュニティ作りを大切に

石井リナ:コミュニティを作ることに、こだわる理由はありますか?

丹下さん:そうですね、私たちが提供する「旅行」は形のないものなので、ユーザーの皆さんが撮影された写真などを活用しながら、多面的なインスピレーションを提供していきたいと思ってます。場をつくりながらみなさんに参加して頂きたいという想いですね。

高司さん:私たちはオフラインのコミュニティ作りも行っています。昨年10月に表参道にオープンした「旅と本と珈琲と」という“旅へのきっかけを”コンセプトショップがあるのですが、そこでは猿田彦珈琲のコーヒーが味わえたり、ブックディレクターの幅允孝さんが厳選した、旅と出会いに溢れる本も読むことができます。旅行会社の店舗は入りづらいと思われる方もいらっしゃると思うので、こうした場を通して、親近感を抱いて貰えたら嬉しいですね。

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H.I.S.旅と本と珈琲と公式サイトより

丹下さん:SNS運用を注力していますが、SNSを見てすぐに海外に行こうとアクションする方は少ないと思うんです。海外の絶景の写真などに「いつか行きたい!」とコメントを頂くことは多いのですが、それも毎日思い続ける方もなかなかいないと思います。その気持ちをどうしたら継続していただけるか、そして実際にお店に足を運んでいただけるかという所は、私たちの中でも未だ取り組み中です。

Pinterestは共有ボードを作成し、参加型に

石井リナ:Pinterestのアカウントも非常に綺麗で、ピンも多く、フォロワー数も多いと思うのですが、今のアカウントにたどり着くまではどのようなストーリーだったのでしょうか?
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HISジャパン公式Pinetrestアカウントより

丹下さん:始めた当時はトラベルのアカウントが少なかったんですね。Pinterestは、最初に興味関心を登録すると思うのですが、そこで「トラベル」を選択したユーザーに対して、オススメアカウントとして表示されていたんです。その影響も大きいと思っています。

石井リナ:ボードの作り方もカラー別でボードを作成されていて面白い取り組みをされていますよね。

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丹下さん:特にブルーのボードが反響良かったです。カラー別のボードはどなたでもピンをアップできる共有ボードにしているんですが、他のカラーと比べても投稿数が多く、1,000枚程集まりました。
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ボード#his_blueより

石井リナ:ここでも参加型という形式をとられているんですね!

SNSで温めた想いを、シームレスにどうやって移行させるか

石井リナ:SNSにも注力されていて、巻き込み方なども上手だなと感じるのですが、課題などはありますか?

丹下さん:SNSで若年層は買い物をすると言われていますが、旅行は行きたい場所の画像を探せたとしてもすぐ購入には至らないと思うんですよ。SNSでいかにイメージしてもらったものや温めてもらった想いを、どうシームレスにH.I.S.で予約しようと繋げるかがという所が課題です。
IMG_7709 
丹下さん

石井リナ:たしかに、旅行という高価な商材なので、すぐに購入に繋がるものではないですよね。形もないので、H.I.S.で予約するという想起に関して長い目でみたファン作りが必要そうですね。

丹下さん:現在、特定のハッシュタグをつけて投稿して頂いた写真をマップ化し、ご旅行の検討段階まで引き上げられるようなキャンペーンを企画しています。

社内共有を心がけ、SNSチームへの協力体制を整える

石井リナ:結構SNSに注力されている印象があるのですが、会社全体において、「SNS」はどういう位置づけなのでしょうか?

高司さん:数年前とくらべても、存在感や、期待値が上がってきているなと思います。まだ考え方も浸透していない時代は、SNSチームが遊んでいるのではと捉えられてりしていたかなと(笑)

石井リナ:SNS運用されている方は、皆さん仰いますよね。SNSの運用者には、ユーザーの声が集まってくるので、カスタマーセンターの様に、大切な存在だと思っています。

丹下さん:以前バレンタイン企画で、世界の絶景の中からプロポーズされたい場所No1を決める投票企画を実施しその後、星の命名権をプレゼントする企画を行ったのですが、SNS上で盛りあがり、売上にも繋がった経緯がありました。そうした成功事例などを共有することで、社内でもだんだん認められる様になったと感じています。

石井リナ:事例の創出やそのフィードバックが大事だということですね!

高司さん:1年前だと、旅行商品の企画担当者にこの商品を作ってほしいというお願いも通りづらいこともありましたがSNSプロモーションに注力して、事例を作ってそれをきちんとフィードバックするようにしてから、だんだんと社内の協力体制も出来てきましたね。

IMG_7720
高司さん

丹下さん:掲載されたメディアや、内容をフィードバックするというのは社内でも認めてもらい、協力体制をつくる秘訣だと思います。

石井リナ:仰る通りですね!本日はお忙しい中、ありがとうございました!

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H.I.S.がSNS運用において掲げている「ユーザーに参加してもらいコミュニティを作る」という考え方は、とても重要なポイントです。そして、「SNSを共創する」ということを実現している数少ない企業だと思います。フォローしてくれているユーザーを尊重しながら、Pinterestのボードは開放していたり、Instagramはリポストのみでアカウントを作成していたりと、ユーザーに向き合う姿勢が印象的でした。

加えて、社内でもSNSチームを認められてもらいながら、協力体制をきちんと取られている様子は、地道な努力の積み重ねだと感じます。SNS運用者にとって学ぶべきことの多い、内容だったのではないでしょうか。ユーザーを巻き込むという点で、秀でた運用されているH.I.S.をぜひ参考にしてみて下さいね。今回は、ご協力頂きありがとうございました!

Written by
石井リナ
COMPASS編集長 1990年生まれ。SnSnapで事業開発を担当し、COMPASSの編集長を務める。新卒でオプトへ入社し、WEB広告のコンサルタントを経て、SNSコンサルタントとして企業のマーケティングに従事。デジタルプロモーションを中心としたライター業や、セミナー講師などとしても活動を広げている。 執筆書籍:「できる100の新法則 Instagramマーケティング」
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石井リナ
COMPASS編集長 1990年生まれ。SnSnapで事業開発を担当し、COMPASSの編集長を務める。新卒でオプトへ入社し、WEB広告のコンサルタントを経て、SNSコンサルタントとして企業のマーケティングに従事。デジタルプロモーションを中心としたライター業や、セミナー講師などとしても活動を広げている。 執筆書籍:「できる100の新法則 Instagramマーケティング」
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