外を歩いていれば、当たり前のように目にする「自動販売機」。これまでは、お金を入れるか、SuicaやEdyなどの電子マネーを使うか、飲み物の購入方法は、そのどちらかに限られていましたが、最近、新たな購入体験を実現したサービスが登場しました。

 

そのサービスの名は「Tappiness(タピネス)」。同サービスは、キリンビバレッジバリューベンダー(以下、KBV)とLINEがコラボして誕生した新たな自動販売機で、LINEをかざすとドリンクが購入できる、というもの。もともと、2017年1月19日にコンセプトが明かされていましたが、4月13日、正式にTappinessが首都圏、近畿圏で開始することが発表されました。

 

自動販売機にLINEをかざす?Tappinessの仕組みとは?

<Tappiness公式動画>

 

Tapinessは、LINEビーコンを内蔵した自動販売機で、LINEをかざすと自動で接続し、ドリンクの購入ごとに1ポイントもらえる、という仕組みです。(LINEをかざす際、あらかじめスマホのBluetoothをONにしておく必要があります)。

 

15本購入すれば、1本無料でドリンクがもらえる特典チケットが付与され、友だちや家族などにシェアする、といったことも。また、決済には現金やEdyやSuicaなどの電子マネー、特典チケットのほか、モバイル決済サービス「LINE Pay」を使用することもできます。

 

実際に体験してみました!

発表会でタッチ&トライの場があったので、実際に体験してみました。Tappinessを使うにあたって、BluetoothをONにしておく以外にも、キリンのLINEアカウントと友達になっておく必要があります。

事前の準備を終えたら、実際にスマートフォンをかざします。最初に使用する際は友だちの追加などの手続きが必要ですが、2回目以降は不要です。

スマートフォンをかざした後は、購入したい飲み物を選び、決済の方法を決めます。

決済が完了すれば、1ポイントもらえます。

自動販売機の売上低迷がTappiness始動のきっかけに


KBV 代表取締役社長の岩田実氏

今回、正式に運用が開始することになったTappinessですが、そもそも開発のきっかけは何だったのでしょうか? KBV 代表取締役社長の岩田実氏は次のように語ります。

 

「ここ20年でコンビニが成長する一方、自動販売機の台数は横ばいが続いておりまして……そんな現状に対する危機感がありました」(岩田氏)

 

よりお客様に自動販売機の魅力を伝えていくべく、KBVが考えたのがLINEとの連携。まず2015年10月にLINEビジネスコネクトを活用したデジタルサイネージ自動販売機「VENDORPHOTO」の開発に乗り出します。

 

この自動販売機は飲料を購入すると写真撮影でき、LINEに送信できる機能を備えていたのですが、独自アプリを利用する必要があったため、新しくアプリをダウンロードしてもらわなければいけない……というハードルがありました。

 

よりスマホ時代に最適化した自動販売機のカタチは何か。アイデアを考えた結果、LINE内ですべてが完結する、Tappinessの構想に行き着いたそうです。

 

「LINEには、すでに6,600万人の月間アクティブユーザーがいて、そのうちの85%が毎日利用している。またダウンロードも不要ですので、LINE以外の選択肢はないな、と思いました」(岩田氏)

 

これにより、LINEをかざすとドリンクポイントが貯まる自動販売機「Tappiness」が誕生することになったとのこと。

 

キリンとLINE、両社がそれぞれ期待することとは?

また、COMPASSでは、キリン株式会社デジタルマーケティング部の島袋孝一氏にコメントをもらいました。KBVが自動販売機を通して、ユーザー同士のコミュニケーションを創造していこうと思った理由について話を伺いました。

 

「もともと、LINEというプラットフォームは、友だち同士がコミュニケーションをするための場。企業アカウントと友だちが同じフィードに並び、メッセージ、スタンプ、画像などのやりとりを行う中、ドリンクチケットを贈ることもコミュニケーションの1つとして、自然な流れになるのかな、と思いました」(島袋氏)

 

また、今回の取り組みにおいて期待することについて、島袋氏は次のように話します。

 

「このサービスは、『LINEは使っているけど、キリンの公式アカウントとまだ友だちになっていない……』という人に使ってほしいと思っています。現在、LINEの月間アクティブユーザー数は6,600万人ですが、キリンの公式アカウントの友だち数は1,900万人。LINEという大きなプラットフォームの中で、まだまだ接点を持てていない人が多くいるので、Tappinessを通して、そういった人とつながっていければ、と思っています」(島袋氏)

 

利用ユーザー数など、具体的な目標は掲げていないそうだが、Tappinessによって公式アカウントの友だち数を増やしていくことが当面の目標になるそうです。

 

LINEビーコンの認知を拡大していきたい

一方で、LINEはこの取り組みでどのようなことを狙っているのでしょうか?


LINE 代表取締役社長の出澤剛氏

 

LINE 代表取締役社長の出澤剛氏によると、LINEビーコンの認知拡大が狙いにあるそう。

 

「ウェブとリアルをもっとシームレスにつなげていく必要がある、と思っています。LINEはこれまで会員登録をするために情報を入力しなければなりませんでしたが、LINEビーコンはかざすだけでいい。今回のKBVとの提携によって、LINEビーコンの認知を拡大していきたい」と語りました。

 

また、LINE Payも新しい決済手段として、より日常生活に浸透させていきたい、とのこと。両社は今後、7月以降にTappinessを全国に拡大していき、2年後には2万台の自販機を展開する予定。

 

首都圏、近畿圏で本格的に開始することになったTappiness。自動販売機を活用したデジタルマーケティングは日本コカ・コーラ株式会社の「Coke ON(コークオン」が先行していますが、果たしてTappinessは消費者に浸透していくのか?今後の動向もチェックしていきたいと思います。

 

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新國 翔大
Post Author

新國 翔大

1991年生まれ。埼玉県出身。U-NOTE、サムライトでライター・編集者としての経験を積み、現在はBASEに所属。ショッピングメディア「BASE Mag」の運営をしつつ、フリーのライターとして活動している。