こんにちは、石井リナです。 SNSコンサルタントをしている私にとって、ここ最近で1番響いたプロモーションがアパレルブランド「Levi’s®」(リーバイス®)の仕掛けた「#いいね不要」というプロモーションでした。

そのプロモーションが一体どのようなプロモーションだったのか、彼らがどういう想いで「#いいね不要」という強いメッセージでプロモーションをしたのか、担当の出倉さんにお話をお聞きしてきました。
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SNS、ラジオ、リアルイベントを横断したプロモーション

石井リナ:まず、「#いいね不要」のプロモーション概要を教えて下さい。
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Levi’sより

出倉さん:2月下旬からジーンズの誕生日である5月20日まで、約3ヶ月間のキャンペーンとして展開しました。期間中は、特設サイトを立ち上げ、消費者の日常により身近なメディアとしてソーシャルメディアとラジオを軸にブランドコミュニケーションを展開し、最終的にジーンズのバースデーを祝う場所として5/20にオフラインイベントを設定しました。メッセージとしては、一言でいえば「ブレるな。」っていう言葉に尽きるのですが、”自分らしさ”って他人の目を気にしたり、「いいね!」を狙ったりすることじゃない、自分を大事にしていこうよっていう想いを込めたキャンペーンでした。

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石井リナ:SNS上でも結構拝見しましたが、どのような呼びかけを行っていたのでしょうか?

出倉さん:FacebookやTwitterではユーザーの方々に、他人からのいいね!を求めない、自分らしい「501®や「リーバイス®」、しいては「デニム」にまつわるエピソードを募集しました。社員のエピソードなども織り交ぜながら運用していましたね。

出倉さん:ラジオでは、J-WAVE”ROCK WITH YOU”という番組上でリスナーの方々のあらゆる分野・ジャンルの#いいね不要なエピソードを募集して番組の中で発信するというアプローチを試みました。今のラジオはradiko(ラジコ)の普及もあって、リスナーと番組(しいてはラジオDJ)がリアルタイムで対話できるメディアとして進化していて、今回のキャンペーンには最適なメディアでした。

石井リナ:媒体の選定もきちんとメッセージに合わせ選定されたということですね。

出倉さん:はい、イベントもその延長線上に置くことで、よりリスナーやファンにとって、スムーズに入ってくる場所になるよう心掛けましたね。イベントでは、世界に先駆けて上映したブランドムービーの公開や今回のキャンペーンに賛同してくださったミュージシャンによるLIVEショーケース、またその中の一組であるSuchmos(サチモス)と共同制作した彼らの新曲のショートフィルムも先行上映しました。
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WWDより

出倉さん:はい。また、特設サイトの方では、501®を身にまとった、「いいね不要」の体現者の方々のポートフォリオを掲載していました。
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石井リナ:イベント会場にも彼らの写真が大きく飾ってあってインパクトがありましたよね。

大切なものを見直すきっかけにしたかった

石井リナ:私はこのイベントも参加させて頂いていたのですが、501®にフォーカスしたショートフィルムも素敵で、感動したのを覚えてます(笑)。歴史があって、多くの人々に愛されていて、なおかつLevi’sのスピリットや想いも伝わってくるビデオでした。

501にフォーカスした「Japan | The 501® Jean: Stories of an Original | Episode 4」

出倉さん:ありがとうございます。もちろん洋服を売っているブランドなので、最終的には商品を買ってもらいたいというのはあります、一過性の気持ちで買って、着なくなったり穿かなくなったら捨てて、また新調してっていうような買い方は願っていなくて。むしろその人が選ぶ一着一着を大切に、愛着を育ててもらえるような服やブランドに出会ってほしいし、Levi’s®がその選択肢の1つであってほしい。そういう意味も込めて、僕達の想いやスピリットを届けようとしました。

石井リナ:商品のプロモーションで、ここまでスピリットや想いが強く伝わってくるプロモーションもなかなか無いので、ぐっとくるものがありました。

出倉さん:僕はソーシャルメディアの担当としても毎日見ていますが、最近は「SNS疲れ」っていう言葉もあるように、何の為にSNSをやっているか分からないような投稿が増えてきている気がしてて。どこか人の目を気にし過ぎていたり、リア充アピールになっちゃってたり、本来のソーシャルの良さが崩れていってると思うんです。個人的には、自分の趣味や好きなトピックについて自由に表現して、それに共感する人達が集い合って、よりその楽しみを共有できるのがソーシャルの良さだと思っています。

石井リナ:海外では、有名なインスタグラマーが「SNS辞めます」って言って、全てのSNS辞めたり、ソーシャルメディア上の作られた自分や、社会の風潮に反発するみたいな行動も起こり始めているんですよね。ただ日本ではまだまだそんなことは起こっていなくて、そのタイミングで「#いいね不要」、「人の目気にすんなよ」っていうコピーが凄くカッコいいなと思ったんです。

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出倉さんそう言っていただけると嬉しいですね。僕達はただシンプルに、本来の大切なものを見直すきっかけをジーンズ1本からつくり出すことができたら面白いんじゃないかと思ったんですよね。

手を止めるには インパクトの強いメッセージでないといけない

石井リナ:今回の様な3媒体を横断したプロモーションの形をとられたのは、メッセージを強く発信するという所が重視したからなのでしょうか?

出倉さん:ただ単に物を買ってもらうだけだったら、トレンドに合わせたコーディネートを提案して、テレビや雑誌でしっかり露出して、認知度を高めていくのが手っ取り早いと思うんですけど、それだとただの広告になってしまう。ブランドとして伝えたいメッセージが、日々の流れていく単なる情報の1つになってしまうという懸念があったので、今回の様な形を取りました。

石井リナ:「#いいね不要」というハッシュタグなので、「本当にいいね されないのではないか」という様な懸念は無かったのですか?

出倉さんもちろん懸念もありましたし、これに関しては何度も何度もディスカッションを重ねました。そもそもハッシュタグという方法をとるのかという所から。ただ、メッセージを強く伝える、日常的に猛烈なスピードでスマホ画面をスクロールしている人達の手を止めるには、相当のインパクトが必要だという結論になったんですよね。

石井リナ:確かに「どういうこと?」ってなりました。それほどインパクトは強かったです。

出倉さんとにかく生みの苦しみが半端じゃなかったので、当時の記憶が若干薄いです。(笑)

石井リナ:その分反響も多かったのではないでしょうか?

出倉さん:そうですね。おかげさまで1万を超えるリツイートを達成することができました。

石井リナ:凄いですね。数も多いと思うのですが、拝見していて、熱量も高かったと思っています。今回のプロモーションでは、自分のジーンズをわざわざ5本も6本も引っ張りだして、思い出を語りだすというような方々も多くいらっしゃって、参加度の高さが印象的でした。

出倉さん:有り難いことにLevi’s®というブランドは、穿いてくださっている方々が、僕達の想像をはるかに超える愛着やこだわりを持っていらっしゃって、とにかくブランドを強く信じてくださってるんですよね。そういうインサイト今回のキャンペーンにぴったり合致したんだと思っています。

本当に501®を愛用している人でないとバレてしまう

石井リナ:スタイリストやアーティスト、モデルなど幅広い方々が今回のキャンペーンで「#いいね不要」を体現していらっしゃると思いますが、キャスティングの選定基準とかはあったのでしょうか?

出倉さん:大前提として重要だったのは、Levi’s®や501®を日頃から愛用してくださっているかどうかでした。本当に穿いてくださっている方々じゃないと、今の時代すぐにバレちゃうと思うんです。あとは自分なりの強さだったり、個性だったりを世の中に発信している人かどうかっていう点でしたね。
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石井リナ:その方を知らなくても「強さ」や「パワー」が伝わってくる様な、印象的な方が多いですね。

出倉さん愛用してくださってる方々だからこそのエピソードがあるんですよ。例えばハマ・オカモトくんだと、膝が出ちゃってる所とか。


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:他にも理容師の長山さんだったらポマードの香りがついちゃっていたり、弊社の直営店のスタッフには自分に合ったオーバーサイズや丈感があったりと、本当人によって違って面白いんですよ。
今回イベントでもLIVEをしてもらった「Suchmos」(サチモス)というバンドのみなさんも日常的にLevi’s®を愛用してくださっていて、それがきっかけで楽曲のミュージックビデオ制作にも発展しました。

石井リナ:自然体な雰囲気で格好いいビデオでしたよね!

出倉さんありがとうございます。楽曲のミュージックビデオも凄くかっこいいので是非ご覧下さいね!

ファンで成り立つカルチャーを大切にする

石井リナ:今後Levi’s®が目指されている方向性はありますか?

出倉さん月並みな言葉になってしまうのですが、常に新しい挑戦をやめないこと。この姿勢が、今後何をやるにもブランドとして貫き続ける姿勢、方向性だと思っています。SNS運用1つとっても、他がやったことがないこと、みんなやってみたがってるけどやってないことを自分達が実現していきたいですね。

石井リナ:いいですね。Instagramのギャラリーの活用も上手ですよね。

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Levi’sJapan公式インスタグラムアカウント

出倉さんLevi’s®は、Instagramに限らずすべてのソーシャルメディアを国別に運用をしています。僕らはグローバルブランドであることを意識しつつ、あくまで「日本人にとってのリーバイス®の魅力」を伝えることができる場所として運用しています。中でもInstagramは今、1日おきに100人単位でフォロワーが増えてるんですよ。

石井リナ:それ凄いですね!InstagramはTwitterとFacebookと違いシェア機能がなく、クローズなSNSなので100人単位で増えるのは凄いです。

出倉さん:Levi’s®全体でいうと、僕達はスタイリングを押し付けるようなことはしていなくて、穿いてくださる方一人ひとりのスタイルを尊重することを大切にしています。いい意味でそのの”1人歩き”をやめさせない、ファンの方々によって成り立っているカルチャーを守っていくことが重要だと考えています。

石井リナ:素敵ですね!これからのLevi’s® のプロモーションやメッセージも楽しみにしています!ありがとうございました。
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さいごに

米国ではすでに、インフルエンサー自身が脱SNSを訴え、自分自身のSNSをクローズしたり、修正のかかっていない自分の体を晒すなど、「自分らしさ」を発信するなか、日本ではインフルエンサーを活用したマーケティングも全盛期です。加えて、各SNSでの自己発信も、過剰に進んでいる一面もあります。そんなタイミングで先陣を切って、「自分らしくいこうぜ」と発信したのがLevi’s®の「#いいね不要」キャンペーンだったと思います。

マーケターとしてSNSで拡散させたいというのは、みなさんが思っていることだと思いますが、そんな思いと裏腹に、「#いいね不要」というコピーで、プロモーションをされたのは勇断だったのではないでしょうか。チャレンジングなプロモーションであり、素直にカッコいいなと思わされたプロモーションでした。彼らが発信するメッセージや、今後のプロモーションにも注目していきたいと思います。

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石井リナ
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石井リナ

COMPASS編集長 1990年生まれ。SnSnapで事業開発を担当し、COMPASSの編集長を務める。新卒でオプトへ入社し、WEB広告のコンサルタントを経て、SNSコンサルタントとして企業のマーケティングに従事。デジタルプロモーションを中心としたライター業や、セミナー講師などとしても活動を広げている。 執筆書籍:「できる100の新法則 Instagramマーケティング」 連載コラム: Webメディア「アドタイ」 #石井リナのゆとりですがなにか