MAU(月間アクティブユーザー数)は6億人を突破。Facebookに次ぐ利用者数を誇るようになった、Instagram(以下、インスタグラム)。最近では「Instagram Stories(インスタグラムストーリーズ)」にフルスクリーン広告が試験的に導入されるなど、企業のマーケティングには欠かせない存在になってきています。

そんなインスタグラムの運用を上手に行っている企業があります。その企業はTunnel株式会社。彼らが運営する、インテリアSNS「RoomClip」(ルームクリップ)は広告予算を一切かけず、たった1年でアカウントのフォロワー数が16万人を突破しました。

多くの企業がインスタグラムの運用に悪戦苦闘する中、RoomClipはどのようにフォロワーを獲得していったのでしょうか?今回、インスタグラムの運用を担当している水上淳史さんに話を伺ってきました。

 

「インスタジェニック=美しさ×新しさ」

インスタグラムのアカウントはいつ運用を開始したのでしょうか?

水上:本格的な運用開始は、2015年11月です。一応、アカウント自体はあったのですが全然運用されていなくて……。まだ1年2ヶ月くらいしか運用されていないんです。ただ、本腰を入れてからは順調に成長していて。伸び方でいうと、20日間で1000フォロワー、70日間で1万フォロワーといった感じで成長していきました。

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すごい伸び率ですね!ちなみに1000フォロワーの獲得ってけっこう大変なイメージがあるのですが、具体的にどのようなことを行ったのでしょうか?

水上:細かく説明すると色々あるのですが、大きく分けると2つのことを実践しました。それが「提供する価値を明確にする」「価値を感じてくれる人にリーチする」です。まず、提供する価値を明確にすることについて説明しますね。RoomClipは“美しいインテリアの写真に新しいインテリアのトピックを添える”を投稿のフォーマットにし、アカウントとして”多様なインテリアの実例写真集”をコンセプトに運用していくことにしました。

 

図1
RoomClipのインスタグラムアカウントには、美しさと新しさが詰まった写真が並ぶ

 

確かにプロフィール欄を見ても、世界観が統一されているように思います。

水上:視覚的な要素が占める割合が多いInstagramで、このコンセプトを一貫性をもって表現するために、トンマナ(トーン&マナー)を設定することは役に立ちます。またトンマナの設定は投稿する写真の単体だけでなく、プロフィール欄に対しても効果的です。

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例えば、RoomClipで投稿する写真のカラーを2種類(白系と茶系)に分類して、交互に投稿しているのですが、これはプロフィールでの写真の並びを意識してのこと。結果的に3列の一覧にカラーの違う写真が互い違いに並び、プロフィール欄を訪れた人に対して瞬時に多様なスタイルの部屋の写真がある、というコンセプトを伝えるためのデザインになっています。

どんな投稿がいいねがつくのか試行錯誤したり、企業的に伝えたいキャンペーンを差し込まれたり、そういった時でもトンマナの範囲内で行うことで最低限の一貫性を保つことができます。もっとも今はストックされないストーリーズやライブ動画があるので、そちらと合わせてうまく一貫性を保っていくことが重要かと思います。

 

いいねを押して「お知らせ」枠に顔を出す

なるほど。ちなみに「価値を感じてくれる人にリーチする」というのは、具体的に何を行ったのでしょうか?

水上:アカウントの方向性と提供する価値を定めた後は、いかにいいね、フォローしてもらえるかを考えなければいけません。ただ、最初の頃って誰にもアカウントの存在を見つけてもらえないんですよね。写真を表示される箇所が限られているので、どれだけインスタジェニックな写真を投稿しても、フォロー、いいねをされることはありません。

 

じゃあ、どうすればいいか。最も効果的なのは、「お知らせ」枠に顔を出してあげることです。もしかしたら経験があるかもしれないですが、連続でいいねをしてくれたり、フォローしてくれたりしたら、必ずプロフィールを見に行きますよね?それを企業アカウントでも行うんです。親和性の高そうなユーザーがいたら、こちらから積極的にいいねをしに行く。RoomClipも最初の一ヶ月は、それをやっていました。そうすることで、RoomClipの投稿にいいねがつき、フォロワーも増えていきました。

300個のタグを洗い出し。競合の少ないものから攻めていく

フォロワーを増やす方法としてハッシュタグ機能が効果的かと思うのですが、どのように活用していったのでしょうか?

水上:ハッシュタグはフォロワーを増やしていくのに、とても効果的です。ただし最初の頃は注意が必要。フォロワーが少ないときにハッシュタグをつけても、人気投稿欄に載ることはなく、競合の多い最新投稿欄に載るだけなので、人の目に触れることがない。つまり、いいねやフォローにはつながっていきません。

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では具体的に何をやったのでしょうか?

水上:インテリア、収納といった、インテリア系のハッシュタグを300個洗い出し、その中から人気投稿欄に掲載されやすいものをつけるようにしていました。

 

掲載されやすいかどうか、はどのように判断していたのですか?

水上:インスタグラムが公式に発表しているわけではないのですが、人気投稿欄に載るにはいいねとコメントの数は関係していることが、これまでの経験から何となく分かっていて。

人気投稿欄に掲載されている写真のいいね数から、RoomClipの写真が人気投稿欄に掲載される可能性があるハッシュタグかどうかを逆算して考え、現実的なものから開拓していきました。やっぱり、人気投稿欄に掲載されないハッシュタグはいくらつけても意味がないので、現実的なものから攻めていくことをオススメします。

 

これを繰り返していくことで、オーガニックでフォロワーを16万人にまで伸ばしたんですね。

水上:そうですね、基本的にはこの手法を徹底していただけですね。ただ細かい運用を実践していたのは最初の1ヶ月だけで、残りは最も反応があるピークタイムの22時〜24時に1回、投稿するだけですね。

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最後になりますが、インスタグラムのアカウントを運用するにあたって、最も大切なことはなんでしょうか?

水上:まずは、事前に方向性や提供する価値を定めて、一貫性を持って運用していくことだと思います。ただしInstagramはここ数ヶ月だけでも大きな機能追加がいくつもありましたし、使われ方もどんどん変化していっています。それはつまり一貫性を持ってアカウント運用していくために、同じことを機械的に繰り返していくだけではダメかもしれない、といううことです。その中で、自分たちが伝えたいことを伝えるためにはどう運用すればよいのか、絶えず問い続けることが大切ではないでしょうか。

 

ありがとうございます!細かい運用方法まで聞けて、すごく勉強になりました!

フォロワー数を増やすためのツールがさまざま登場している中、そうしたツールは一切使わず、オーガニックでフォロワー数を伸ばし続けてきたRoomClip。細かい運用方法もさることながら、アカウントを成長させていく上で最も大切なことは当たり前のことを当たり前にやる続けることではないでしょうか。RoomClipのインスタグラムの運用から、そんなことを強く感じました。

 

Interview photo:ENO SHOHKI

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新國 翔大
Post Author

新國 翔大

1991年生まれ。埼玉県出身。U-NOTE、サムライトでライター・編集者としての経験を積み、現在はBASEに所属。ショッピングメディア「BASE Mag」の運営をしつつ、フリーのライターとして活動している。