料理、ファッション、美容を中心に大きな盛り上がりを見せている、分散型動画メディアの領域。各社、大量のコンテンツを投稿することで、ユーザー数や再生回数を伸ばしています。競争激しい市場に黎明期(2014年)から参入し、地道に成長を遂げているメディアがあるのをご存知でしょうか?そのメディアの名は「Spotwright」(スポットライト)。

 

“スマートフォン時代の放送局”というコンセプトのもと、2014年6月にリリースされたニュース動画メディア。インフォグラフィックスなどを活用したリッチな動画の数々は、他の動画メディアのコンテンツと一線を画します。リリースから約2年半……。激変する動画メディアの市場を彼らはどう見ているのか?そしてどのように戦っていくのか?運営元であるスポットライト株式会社のCEO 明石岳人氏にこれまでの歩みと今後の展望について話を伺ってきました。

 

高品質な動画メディアの流れが日本にも来ると思った

— Spotwrightは2014年6月に立ち上がったとのことですが、きっかけは何だったのでしょうか?

明石:アメリカの動画メディア市場の影響が大きいですね。当時、日本の動画メディア市場は「Youtuber(ユーチューバー)」が盛り上がっていたのですが、個人的にテレビを超えるようなカッコいいクリエイティブの動画が全然ないと思って……。

それでアメリカの動画メディアをひたすらチェックしてみたら、VICEやVox media、NowThisを筆頭にカッコいい動画メディアがたくさんあったんですよ。当時のアメリカの動画メディア市場はYoutuberバブルがはじけており、高品質な動画メディアへのニーズが高まっていたんです。

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明石:その状況を見て、この流れは日本にも来るな、と。そう思い、スマートフォン時代の「放送局」を目指した動画メディアを立ち上げることにしました。

 

当時のコンテンツ戦略はどのようなものでしたか?

明石:いやーこれに関しては紆余曲折がありましたよ(笑)。立ち上げたばかりの頃は、そもそもFacebookが動画に対応してなかったので、Youtubeを軸にコンテンツを考えました。

 

それで「Youtubeに合う動画って何だろう?」と考えてみて。ハウツーコンテンツは、検索されやすいから動画でやってみてもいけるのでは?と思ったんです。当時、デビューしたばかりの女優の卵の女の子をキャスティングし、機材もちゃんと用意して動画を撮影したんですけどなかなか思うように伸びなくて……。最終的には失敗に終わりましたね。

Facebook動画はYoutubeと同じ設計では許されない

今だと可愛い女の子がライフハックを教えてくれる動画が主流になってますね。

明石:そうなんですよ(笑)。完全に時代が早すぎましたね。

Youtubeの動画に関してはひとまず停止し、根本的な部分から考え直すことにしたんです。そうしたらFacebookが動画に対応し、自分がチェックしていた海外のメディアが動画を投稿し始めたんです。それを見て、自分たちも自然と目に止まる動画を作る方が得意なのではないかと思い、Facebookに最適化した動画を作ることにしました。

 

— Facebookに最適化するにあたって、どんなことを意識されたんですか?

明石:YoutubeとFacebookって同じ動画でも、全然コンテキストが違うんですよ。Youtubeは見たい人がアーティスト名などを検索して動画を見る。そもそも動画を見るモチベーションが高いので極端な話、長時間のものや最初に盛り上がりのない動画でも許されます。

 

ただ、Facebookの動画は自分で検索して見ているわけではないので、最初の数秒でユーザーの心を掴まなければ見てもらえない。Youtubeと同じような内容の設計は許されないんです。じゃあどうすればいいのか。Facebookでは最初の3秒でいかに興味を持ってもらえるコンテンツを出すかが大切になります。

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明石:例えば、「なんか面白そう」と思ってもらえるような動きを取り入れるなど、インパクトを残すことで最初の3秒は動画を見てもらえる。そのあとは、いかに10秒間見てもらえるかが大切。

 

自分はこれを10秒の壁と呼んでいるのですが、動画の視聴時間が10秒を超えると離脱率が下がり、最後まで動画を見てもらいやすくなるんです。Facebookに切り替えた当初、自分たちも10秒の壁を突破できるように工夫を重ねていきました。

 

具体的にどのような工夫をしたんですか?

明石:3秒間視聴したあと、ユーザーは最後まで見るべき動画かどうか考え始めるんです。そこで大切になるのが期待値の設計。なるべくユーザーは時間をムダにしたくないので、この動画を見たら何が知れるのかを明示すること。

 

例えば、ライターに置き換えると分かりやすいと思うんですけど、「しおたんが書いた記事だったら、こんなことが知れるから記事を読もう」となるじゃないですか。10秒間でユーザーに、「この動画を見る価値がある」と思わせなければいけない。自分たちの場合はインフォグラフィックスの動画が非常に効果的ですね。

重視すべきは再生回数ではなく視聴完了率

ちなみに現在はどのような方向性でやられてるんですか?

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明石:現在は“アップデート”をテーマに動画を制作しています。アップデートと概念も人やプロダクト、出来事などさまざまあると思うのですが、それらを動画ニュースとして届ける。そうすることで「長い文章を読むのが嫌だな……」と思っている人にも興味を持ってもらえるようになるんじゃないか、と思っています。

 

後を追うように動画メディアが立ち上がってますが、この状況をどう捉えていますか?

明石:動画メディアが次々に立ち上がるのは、すごく良いことだと思います。ただ、再生回数をKPIにして追いかけていくのは、ちょっと違うかなと思います。Facebookの動画って3秒見られたら1回の視聴数にカウントされるんです。ただ3秒しか見られない動画に価値はあるのか、と。それではバナー広告と何ら変わりない。

 

先ほど最初の3秒でインパクトを残すことが大切と言いましたが、それはあくまで視聴完了してもらうためのテクニックで、動画メディアにおいて大切な指標は「視聴完了率」。だからこそ自分たちのKPIは視聴完了数ですし、ここを重要視しているからこそ、パートナーも自分たちのことを認めてくれて、他にはない動画メディアになっているのかと思います。

 

率直な質問なのですが、昨年末メディア界隈で色々あってから、よく某メディアに間違われませんか?

明石:けっこう間違われたので、そろそろ名前を変えようと思っています。多分3月くらいにお披露目になると思います。

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おお!そうだったんですね。最後になるのですが今後の展望を教えてください。

明石:今まではパートナーとのコンテンツが多かったのですが、今後はオリジナルのコンテンツをすごく拡充していきます。また日本にはまだない映像表現に取り組んでいき、「面白い動画メディアが出てきた」と思われるようにしたいですね。

 

ありがとうございます!これからの挑戦も楽しみにしています!

 

動画メディアの黎明期である、2014年6月に立ち上がったSpotwright。現在、多くの動画メディアが再生回数を追い求める中、視聴完了率を何より大事にしているのが印象的でした。確かにどれだけ再生回数が多くても、すぐに離脱されてしまっては元も子もありません。動画メディアが乱立している今の時代だからこそ、「高品質なコンテンツをユーザーに届ける」という基本に立ち返ることが求められるようになるのではないでしょうか?

 

Interview photo:ENO SHOHKI

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新國 翔大
Post Author

新國 翔大

1991年生まれ。埼玉県出身。U-NOTE、サムライトでライター・編集者としての経験を積み、現在はBASEに所属。ショッピングメディア「BASE Mag」の運営をしつつ、フリーのライターとして活動している。