2月11日,12日の2日間、Twitterのタイムライン上ではとあるハッシュタグを多く目にしました。それは「#ボディソープきれた」というもの。ボディソープがきれたことを何故ハッシュタグ付きで報告しているのか不思議におもい調べてみると、その正体は、東京23区内を対象に「#ボディソープきれた」とつぶやくと60分以内にボディソープの「ダヴ」を届けてくれるキャンペーンでした。

 

今回はこのキャンペーンを仕掛けたユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社の桑田さんに、キャンペーンの目的や背景、なぜTwitterを使ったのか、またその後の反響などをお伺いしました。

 

「なんとなく」消費への挑戦

ーー期間中はTwitter上で「#ボディソープきれた」のツイートが盛り上がっていましたね。今回のキャンペーンの目的はなんだったのでしょうか?

桑田:目的は2つあります。1つ目はダヴというブランドの認知、2つ目はダヴを実際に使って頂き、消費者の方々にファンになってもらうきっかけをつくることです。

1つ目ですが、他の高価格の消費財と比べると、単価が安いのでブランド間のスイッチが多い業界。現在他ブランドを使っている方々に対して、ダヴってCMだけじゃなくてなんか面白いことやっているなと思って頂き、今までボディソープをなんとなく選んでいた「なんとなく」に挑戦し、購買に結びつけるというのが、ブランドとしての目的でした。

2つ目ですが、ダヴのターゲットはお子様がいる30~40代の主婦の方々です。その層の方々は子育てや家事でとても忙しく、自分の時間をなかなか取れない。主婦の方々にとって、自分だけの時間ってバスタイムなのかなと私たちは考えているので、「今日は家にいて、買い物に行かずに、自分の時間を作ってくださいね」というのが消費者へのメッセージでした。

 

ーー特にオペレーション面で難しかったことやミスなどは無かったですか?

桑田:当選者を明確にして、実際に60分で届けることの緊張感と、複雑なオペレーションが一番難しかったと思います。大きな事故やトラブルも全くなく、2日間終えることができました。自転車で運んでくれるライダーにも事前に研修を受けていてもらっていて、交通ルールなども徹底していましたね。

 

サプライズ要素があったからこそ喜んでもらえた

ーー素敵ですね。実際のツイートを見てみて、ターゲットとする主婦の方々の反応はいかがでしたか?

桑田:感覚的には、お子様がいるターゲットの方々が多かった印象でした。当選してお届けした方々もお子様がいらっしゃる方が多かったので、結構うまくリーチしていたのかなと思います。

 

ーー今回当選した方は、最終的に59名。当選したユーザーの反響はどうでしたか?

桑田:「本当に当たると思わなかった、びっくりした」という反応が多かったですね。僕も当選したら同じことを思います(笑)。あとは、実際に届くものに対してサプライズ要素を付加価値として加えたことで、喜んでいただけましたね。単純に製品を届けるだけならAmazonでいいので、ダヴがやるからにはダヴらしい何かをということで、パッケージにしたり、シルクパジャマをプレゼントしたり。


同封されていたシルクのパジャマ

 

ーー当選者以外の反応はどうでしたか?

桑田:大きく2つありました。1つ目は、今回は東京23区限定だったので23区以外の方々から自分のところでもやって欲しいということ。2つ目は当選しなかった方からの声です。しかし、両方の方々にはAmazonでダヴ製品を購入する際に20%引きになるクーポンがもらえたり、“ダヴの公式アカウントが投稿に対していいねを押すことでちょっとしたコミュニケーションがとれたり、応募総数4487件、ツイート数が約10,800件ありましたが、外れた人も総じて嬉しいキャンペーンだったかなと思っています。

 

Twitterフォロワーは4,000人増加

ーーキャンペーン前は1000人だったフォロワーが、2日間で5000人まで増えたとお聞きしました。凄いですね…!

桑田:結構びっくりしていますね。伸びた理由としては、キャンペーン期間の2日間だけ盛り上げたのではなく、キャンペーン前からクイズ形式など気軽に参加できるコンテンツをいくつか仕込んでおいて、何か新しい面白そうなものが来るぞ来るぞ…っていう煽りを入れていたのが、その後の爆発的な伸びに繋がったのかなと。

 

ーーPRのプラットホームとして例えばInstagramやfacebookなどいろいろありますが、今回Twitterで行われたのはなぜでしょうか?

桑田:Twitterでやった理由は、今回60分でダヴを届けますというキャンペーンをするにあたって、何かが起きるかもしれないという臨場感を味わうことができるため、一番適していると考えたためです。Twitterは「今何が起きているか」ということが一番わかりやすいし、興味を持ったら気軽に参加できるプラットホームだと思いますね。

 

ーー今回のようなSNSの活用もふくめ、ダヴとして、今後消費者とどのようなコミュニケーションを取っていきたいと考えていますか?

桑田:例えば花王さんのビオレを「子どもと楽しいバスタイムを」というイメージだとすると、ダヴはパーソナル、エモーショナルで情緒的なイメージ。「ダヴは自分を理解してくれているブランドであり、自分のためのブランドである」と思ってもらえるような、親和性の高いコミュニケーションを強化していきます。
今回のキャンペーンでダヴのファンも徐々に増えてきているので、もし可能であれば、今後もTwitter上で色々な方とコミュニケーションを取りたいですし、メールマガジンもうまく活用していければもっと素敵なブランドになるかなと思います。

 

ソーシャルミッションにも注力していく

ーーSNS以外だと、消費者とのコミュニケーションはどのようなことを考えていますか?

桑田:商品軸だと、新製品をどんどん出して常にターゲットや、流通の方に飽きられないブランドであり続けるということ。あと、ダヴは「あなた自身が美しいのよ」というメッセージを込めた“ソーシャルミッション”と呼ばれる自己啓発のアクティビティも力を入れてやっているので、それも長い間続けていきます。「こういう思いを持ったブランドです」ということを、しっかり消費者の方へ伝えていきたいです。

 

ーーなるほど。ソーシャルミッションのアクティビティの事例は、過去にどのようなものがありますか?

桑田:「似顔絵スケッチ」という動画をマス広告で配信するメディアを使ったアプローチや、ガールズスカウトさんと手を組んで、主に中高生に対して若い段階から自分の本来の美しさに気付かせてあげるという、一種の授業兼アクティビティを学校と手を組んでやっています。

 

ーー自分の美しさを気付かせてあげる授業って、どんな授業ですか?

桑田:いま日本人の約95パーセントは「自分は美しくない」と思っているんです。いくら他人から「あなたは美しい」と言われてもそう簡単に気持ちが変わることはない。気持ちが変わるタイミングとは、人が自分の美しさを肯定してくれた瞬間だと思うんです。その瞬間に「自分は美しいんだ」と思わせるのが私たちの役割。

あなたは自分が思うよりもずっと美しいというメッセージを発信した動画は230万回再生

 

アクティビティでは生徒同士で「あなたの美しさはここだよ」「ここが可愛いよ」と言い合ってもらって、小さな気づきをいっぱい与えてあげます。その小さな気付きが、その子が成長する毎日の過程で、素の自分を肯定的に見れるようなきっかけになってもらえれば嬉しいです。

 

ーー素敵ですね。では最後に、今回のプロモーションは「第一弾」という書き方されていましたが、今後も何か面白いことを…?

桑田:いまのところ、第二弾を福岡、第三弾を大阪で予定しています、基本的には今回と同じく、何かをつぶやくと何かが届くというスキームでやる予定です。

 

ーー楽しみにしています。本日はありがとうございました!

 

いまや、企業が実施するSNSを活用したキャンペーンは珍しいものではなくなりました。それはつまり、多くのユーザーはみなそれら手法に慣れてしまっているということ。過去の成功事例をなぞって安易に手を出しても、そう簡単に成功は見込めないでしょう。その意味で、ブランドイメージから一貫した考えをキャンペーンの細部まで詰め込んだ、今回ダヴが仕掛けたキャンペーンから学ぶことは多くあるのではないでしょうか。

 

Interview photo:Noboru Miyamoto

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石原 龍太郎
Post Author

石原 龍太郎

1992年生まれ。編集者・ライターとして音楽やファッションなど、カルチャー領域を中心に雑誌やウェブメディアで執筆。守備範囲は広めです。