あなたは、スナップチャット・アーティストという職業をご存知でしょうか？今、DISNEYやLEGOなどの大手企業はこぞってスナップチャット・アーティストにSnapchat（スナップチャット）の運営を依頼しています。彼はアメリカのボストン州出身、27歳の元教師Michael Platco（マイケル・プラトコ）さんです。肩書きはスナップチャット・アーティスト、インフルエンサー。
MPLATCOの名で活動しているマイケルさんがSnapchatを始めたのは2014年、大学では美術を専攻し、当時美術の教師であったマイケルさんは湧き出る創造力を使い、Snapchatの写真に「doodle（ドゥードゥル）」と呼ばれる落書きを加えたスクリーンショットの数々を自身のTumblr（タンブラー）アカウントに投稿し始めました。
数ヶ月でユニークな写真が紹介された彼のアカウントは話題となり拡散され、それに注目し一番最初に仕事を依頼したのがWalt Disney World（ウォルトディズニーワールド、以下Disney）社です。最初の頃は、教師の仕事の傍でDisney社へ出向いては数時間だけ企業のアカウントを使い、Snapchatに写真を投稿していましたが、良い待遇での相談があり、教師の仕事を辞めスナップチャット・アーティストを本業にすることを決意したそうです。
彼の作品はSnapchatで撮った写真にアプリ内で落書きをして完成します。ゴッホのようなタッチで描かれたものや、絵が飛び出している様に見えるトリックアート風の作品など内容は様々。リアルな写真と落書きのような絵のタッチの融合が特徴で、投稿される写真の加工は全てSnapchat内で行われます。一つの作品の制作にかかる時間は約20分から長い時には１時間。中には3時間かけて作った作品もあります。
MPLATCOオフィシャルサイトより
Snapchatで撮った写真に絵が加えられ、最後にフィルターを被せ文字を加える過程。
2015年5月にはフロリダ州にあるWalt Disney Worldの公式Snapchatアカウント（＠WaltDisneyWorld）の立ち上げを任され、数週間に及ぶコンセプト設計やネーム作成を経て、実際にDisney World内から24時間以上に及ぶSnapchatのリアルタイムな更新を行いました。「夢の国」での仕事は「人生で一番素晴らしい時間だった」と語るマイケルさんの言葉からもディズニーからの仕事の依頼が彼の人生の大きな転機になったことが伺えます。
MPLATCOホームページより
左訳）スプラッシュマウンテン前のセルフィー #ワクワク
右訳）スプラッシュマウンテン後のセルフィー #ビショビショ
自身のことを、プロフェッショナル・スナップチャッターと呼ぶマイケルさんはこれまでに Disney以外にもMARRIOTT HOTEL（マリオットホテル）や、LEGO（レゴ）、アメリカのメジャーリーグサッカーなどと仕事をしており、スナップチャットアーティストとして引き受けた仕事のギャラが1件あたり6万ドル（日本円にして約600万円）に及んだこともあると告白しており、各業界から注目されていることが分かります。
アメリカのテレビ局 Freeform社（旧ABC Family）では現在放送中のミステリードラマシリーズ「Pretty Little Liars」（プリティー・リトル・ライアーズ、以下PLL）の放送に合わせてマイケルさんが投稿するスナップで翌週のヒントや、番組に関連する投稿を出し、ユーザーが次週の放送が楽しみになるようなプロモーションをしています。
MPLATCOホームページより
左訳）誰がA？
右訳）私たちを見つけたのね、明日の放送を確認したらもっといいものが見つけられるわ。
放送中に更新されるマイケルさんによる面白いコメントも人気の火種となり、PLLのアカウント（@PLL）は開設から1日で40万人、その後2週間でさらに10万人増えました。
アメリカのフードデリバリー会社GrubHubとのコラボでは、「冷蔵庫の中にモンスターがいても、GrubHubで注文すれば大丈夫！」をコンセプトにフォロワーが10万人以上いる自身のアカウントからストーリー仕立ての投稿をしています。
左訳）うーお腹すいた、ご飯の時間だ。
右訳）分けてくれなさそうなヤツだな。さて、どうしよう。
左訳）意外といいやつだった。
右訳）GrubHubでオンライン注文しよう
TwitterやFacebookに比べ、企業のアカウントのフォロー率がまだまだ少ないSnapchatですが、マイケルさんの様なユニークでクリエイティブな人材を発掘し面白みのあるコンテンツでユーザーの気を惹きつけることがSnapchatを上手に運用する鍵になるのではないでしょうか。
