日本でも利用者が増えつつあるPinterest。日本での認知度はInstagramと比べると低いが、アメリカでは重要な情報収集のツールのひとつとして浸透している。ここでは企業のサービスや製品のプロモーションの場としての活用方法をご紹介する。

 

Pinterestは、お気に入りの画像をブックマークし、「ボード」と呼ばれる場にカテゴリ別にスクラップしていくことのできるサービスだ。2010年に米国でサービスを開始し、現在対応言語は30以上、ユーザーは世界2億人超に成長している。

 

米国では、インターネットユーザーの28%がPinterestを利用しており、そのうち約8割が35~54歳の女性となっている。一方、日本国内のユーザー数は、約450万人となっており、約半数が女性ユーザーだ。ここ2年間で、日本での月間アクティブ率は44.7%から60.2%と上昇しており、今後も増加していくことが伺える。

(データ参照:uniad主要ソーシャルメディアのユーザー数まとめ、social media lab 11のソーシャルメディア最新動向データまとめ)

画像投稿のメディアとして比較されるのがInstagramだが、ユーザーや使用目的の面で異なる点がある。

まず、Instagramのユーザーは9割が35歳以下となっており若年層が多く、使用目的もフォロワーとの思い出や記録を共有する「過去」の側面が強い。

それに対し、Pinterestのユーザーは35~54歳と比較的年齢層は高く、目的ごとにボードを作成し、画像収集ができることから自分の次の行動を考える「未来」のためのツールと言える。また、画像をブックマークしていくためにビジュアルのインパクトが強く、ファッション・旅行・食品などとの相性が良い。そのため、女性の利用者層が多く、購買意欲の高いユーザーが集まるのも特徴だ。また、ボードへ掲載する画像にURLを付けることができるため、画像をクリックすると、直接WEBサイトにアクセスすることができる。そのためECとの相性が抜群で、実際にPinterestを見て購入に至るユーザーは59%と高く、ビジネス利用に向いているツールである。

 

最近では日本でもPinterestの公式アカウントを運用している企業が多く、アメリカでの女性ユーザーが多いことからグローバルに製品やサービスを展開する企業には最適のプロモーションツールと言える。

まず海外ブランドのPinterest活用事例を2つ紹介する。

 

1.kate spade new york

kate spade new yorkは、ハンドバッグを中心に、アパレルやシューズ、アクセサリーなどを展開するライフスタイルブランドだ。

シンプルで使いやすいデザインをベースとして、色もシンプルで抑え目なものからカラフルな色まで取り揃えている。

主な購買層は、20代~30代の女性であることから、Pinterestの主なユーザー層と合致しており、絶好のプロモーションの場と言える。

 

使用シーンに合わせてカテゴライズ

バッグやアパレル、キッチングッズなどは使用シーンに合わせてカテゴリで分けられている。

「make it mine」のボードでは、バッグが使用シーンや好みに合わせて、カスタマイズできることをアピール。ストラップや異なる柄で視覚的にも更にカラフルになっている。

 

柄や色から商品をアピール

また、kate spadeのアカウントで興味深い点は、柄や色でのボードを作成している点だ。

このように、それぞれの柄や色が一覧で並んでおり、画像をクリックするとkate spadeの同じ柄が集まっているECページに飛ぶことができる。使用シーンや気分だけでなく、色味や柄といった漠然としたイメージから服やアクセサリーを選びたいときもある。Web検索では対応できない、漠然としたイメージやアイディアをPinterestならばビジュアルで可視化することができる。

 

2.Flying Tiger Japan

続いては、Flying Tigerだ。平均200~400円というリーズナブルな価格でライフスタイル雑貨を展開するユニークなショップであるFlying Tiger。2012年日本上陸して以降、徐々に店舗数を増やし、2018年現在では全国に23店舗展開している。

デンマークに本社を持つFlying Tigerは、いち早くPinterestを活用しており、店舗展開する国それぞれでアカウントを作成している。日本の他にはデンマーク、ベルギー、ポーランドなどがある。

 

詳細なカテゴリに分けられたボード

文房具からキッチングッズ、パーティーグッズまで幅広い商品を扱うFlying TigerのPinterestでは、ボードがそれぞれの用途別で細かく分けられているのが特徴だ。「パーティー」のボードの中には、「おうちフェス」「トロピカルパーティー」「誕生日パーティー」などと更にシーン別・季節別に分けられており、ユーザーが利用シーンを想像しやすいようなコンテンツとなっている。

 

他社とのグループボードでより具体的に

もう一つ、Flying Tigerのアカウントには、特徴的な点がある。それは、他社とのグループボードを運用している点だ。「#ditparty What kind of PARTY do you want?」と題されたボードは、ARCH DAYS・SPACE MARKET・Tasty Japanなどの他社と共にホームパーティーやピクニックのアイディアを提案している。

 

 

例えば、レンタルスペース予約のWebサービスを展開しているSPACE MARKETとのページでは、「#おうちフェス」と題し、レンタルルームとFlying tigerの商品の双方が並ぶように掲載されている。

また、ライフイベントを楽しむ情報サイトを運営するARCH DAYSとのページでは、「#トロピカルパーティー」「Dog Party」などが展開され、実際の使用シーンのコツを知ることのできるページとなっている。

このように、他社とのグループボードを運用することで、より利用者のニーズに沿った提案ができ、企業側の相乗効果にも繋がるだろう。

 

Pinterestを利用したイベントも 

さらには、Pinterestを利用したリアルイベントも開催されている。これは、2017年12月にFlying Tiger表参道店にて開催され、招かれたアンバサダーとPinterestで集めたアイディアを基に店内のクリスマスデコレーションを実現させる、というものだ。

Pinterestは「今度はこれがしてみたい」「買いたい」といった風に未来的要素の強いツールであるため、多くの情報を集めたものの、購買や利用といった実際の行動になかなか結び付かないことも多い。そこで、リアルな店舗と、Pinterestとのコラボイベントを行うことで利用方法を提案し、積極的な購買体験に繋げていこうという狙いだ。

(引用元:Pinterestニュースルーム

このイベントでは、まず参加者にグループボード(※ほかのユーザーがピンした画像を機共有できるボード)でクリスマスデコレーションのアイディアを収集してきてもらい、テーマを決定する。その後、Flying Tigerの店舗内で実際に買い物をし、空間の飾りつけを行っていく、というものだ。

グループボードで自分と他人の持っているアイディアのイメージを共有できるため、方向性のすり合わせもしやすい。また、買い物中に「気になるけれど、どう使おうか迷う」という商品に出会ったときでも、すぐにPinterestで検索しイメージを膨らますことが可能だ。

このようなイベントを開催することで、利用者側はPinterestの更なる活用方法、そしてFlying Tigerの商品の活かし方を知ることができ、主催者側は自社商品がどう使われるのかという新たなニーズの発見にも繋がるという双方にメリットが生まれていることが分かる。

 

3.資生堂

続いては、国内企業のアカウント活用例だ。資生堂に限らず、海外展開を行う日系企業はPinterestを活用している例が多く、アメリカの特に女性ユーザー層が厚いことからコスメやアパレルブランドと相性が良い。

海外事業戦略に積極的な資生堂は、SNSを中心としたデジタルマーケティングに力を入れている。現在、開設されているPinterestでの資生堂アカウントは6つで、うち1つは英語のグローバルアカウント、残り5つはブラジル、イタリア、トルコといった各国用のアカウントである。今回は、グローバルアカウントに焦点を当てた。

資生堂のアカウントでの特徴は、掲載する画像だ。多くのコスメブランドは、利用シーンやブランドイメージに沿ったお洒落な画像を載せる。だが資生堂は画像だけでなく、文章も加えて使用感や商品解説、色合いの違いなどを載せている。

また、夏は日焼け止めのボードを作成し、積極的に新商品をアピールするなどシーズンごとでカテゴリ分けするのも、消費者にとっては分かりやすくて良いだろう。

 

4.UNIQLO

日本のファストファッションの代表格ともいえるUNIQLOは、2012年6月からPinterestに参加している。現時点では、日本国内向けのアカウントはなく、英語版のグローバルアカウントのみである。

 

UNIQLOは、アカウントを開始した直後に発売した「Dry Mesh」と呼ばれる速乾性に優れたドライシャツのプロモーションで利用したことで話題となった。画像の見せ方が非常に独特で、画面を縦にスクロールしていくと一枚の画像がどこまでも続く縦長のアニメーションのようになっている。

最近の投稿では、「UNIQLO Spring Summer」「UNIQLO×Marimekko」といったシーズン別、ラインナップ別にボードを作成し、デジタルカタログのような役割を果たしている。

5.Hello Kitty

サンリオの代表的キャラクターで世界的に人気のあるHello Kittyのアカウントのフォロワーは26,000人を超えており、Pinterestを利用する国内企業の中でも上位に位置する。

 

Hello Kittyのアカウントの大きな特徴は、「Pins You Love!」というボードだ。これは、他のユーザーが公式サイトのどのアイテムに多くピンしているかが一目で分かるボードで、人気商品がすぐに分かる仕組みになっている。

このように、Pinterestは他のSNSとは違い、ボード単位で消費者ニーズの真意を捉えるのに適しており、実店舗がなくともすぐに現状を把握することが可能となっている。

 

以上、グローバル展開を行う企業のPinterestアカウント活用事例をご紹介した。先述したように、特にアメリカでの女性ユーザーが多いことから、この層をターゲットにする企業は利用必須と言える。また、キャンペーンやイベントでPinterestを使用し、企業と消費者が一体となってブランドの世界観を作り上げていくことも可能だ。

Pinterestはオンラインサイトへの誘導やニーズの把握など、消費者とのコミュニケーションを得るには非常に有益なツールである。また、画像中心であることから製品のブランディングを容易に行うこともできる。また、Pinterestでは引用にあたるRepin機能を使用するユーザーが非常に多い。即座に人気で注目度の高い商品を把握でき、スピード感を持って対応できることから、今後も重要なマーケティングツールのひとつとなるだろう。グローバル展開をプロダクトブランドはをぜひ利用をしてみてはいかがだろうか。

 

(文中画像:kate spade new york pinterestFlying Tiger Japan pinterest資生堂 pinterestUNIQLO pinterestHello Kitty pinterestより)

 

 

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かんな
Post Author

かんな

1995年生まれ。静岡出身。首都大学東京経済経営学部に在学し、マーケティングを専攻。カメラが趣味でInstagramを中心としたSNSについて勉強中。